ひなたでゆるり

読書のコトとちょっぴり日々のコトブログ

『すきまのおともだちたち』江國香織

すきまのおともだちたち (集英社文庫)
すきまのおともだちたち
江國香織 こみねゆら・絵/集英社文庫
庭で育てたレモンの木からレモネードを作り、針仕事で暮らしている「おんなのこ」。両親は最初からなく、車も運転できる古びた「お皿」と住んでいる―。仕事で訪れた街で道に迷い、帰れなくなった新聞記者の「私」は、客として彼女たちにもてなされることになるのだが…。けっして変わらないものが存在し続ける、そんな場所で出会った、小さな女の子との、いっぷう変わった長い長い友情の物語。

江國香織さんと山本容子さんの素敵なお話『雪だるまの雪子ちゃん』を読んで、その愛らしさ、不思議だけどどこか懐かしくて温かな世界に夢中になってしまいました。
江國さんの描く童話にまた浸りたい、とそれはもう渇きを潤すかのように欲して選んだのが『すきまのおともだちたち』。
タイトルとこみねさんの描く女の子にぐぐぐっと惹かれて手にとりました。

ん〜っ!もうもうなんて可愛いのでしょうか!雪子ちゃんも愛らしかったけれど、すきまの世界に住む小さな女の子の可愛らしさといったら!女の子のいちいちにキュンとしてしまいました。
こみねさんの挿絵もそれはそれは素敵なのです。ほんわりとやわらかであったかな彩りが心地よく包んでくれます。そう、小さな女の子がお客さまをおもてなししてくれるように居心地の良いどこか懐かしい気持ちにさせてくれるように、このお話もそんな心地で読んだのです。物語の終わりがとても惜しくていつまでもここにいたい、ような。そんな感じ。

新聞記者である「私」は取材で訪れたとある街ですきまの異世界に迷い込んでしまいます。途方に暮れていた私が出会った小さな女の子。私は出会った女の子にお客さまとしておもてなしされます。
小さな女の子ですが、てきぱきと働くその姿は無駄のない動きを見せます。ちょっとお澄ましの態度も凛としていて清々しいほどです。
一緒に暮らしているお皿は自動車の運転をします。お皿の歴史はとても由緒あるもので彼女はその思い出を支えに日々を生きています。
彼女たちに名前はありません。小さな女の子はあくまでも女の子ですし、お皿はあくまでもお皿なのです。
すきまの世界の住人たちもちょっと風変わりです。でも風変わりなのは迷い込んだ私。私にとって不思議なことでもこの世界では当たり前なのですから仕方ありません。私はおもてなしをされるということに少しずつ慣れ、この世界にいることがとても心地良く何故だか懐かしささえ感じ始めます。すっかり楽しくなってきた頃、それは突然やってきます。すきまの世界に突然迷いこんだのと同じく、現実の世界に戻るのも突然なのです。
戻った私は月日の経過と共に生活を変え、年を重ねていきます。年を重ねて老いていくことは私たちの世界では当たり前のこと。それは抗えないことです。

私はまた何回かすきまの世界に来ることになるのですが、この世界では何一つ変わることなくあの頃と同じまんまの風が流れているのです。なつかしい場所に帰ったような気持ちになった私が「ここは変わらないわね」と言うと、女の子は「そりゃあそうよ」と。そして「世界だもの。世界は確固たるものでなきゃあ」と言うのです。
きっと、「当たり前のことよ、何を言っているの?」と凛とした声と姿で言うのです。
私がその時感じる「確固たる世界に、足にぴったりの靴をはいて立っていることの安心と幸福!」がすきまの世界をとても良く表わしていてすごく好きなシーンでもあります。
確固たるもの。ゆるぎない凛としたもの。そういう世界が確実にあるのだ、ということがどんなに支えになることか。生きる上での心配だったり不安だったりがそれでもちゃんと救われてまた立ち向かえるよ、と背中を押してくれると思うのです。
それはいつまでも変わりなく寄り添ってくれるかけがえのないもの、友人ともいえる存在なのです。

そして東直子さんの解説がとても素晴らしいのです。解説のタイトル、「「すきま」に生きる永遠の女の子」はまさしくそうですし、
主人公の現実の世界がどんどん過ぎていっても「すきま」の世界の人は、変わらない。それは、本を開いて別世界へ誘われることと同じだ
というところにとても共感しました。まさにそうなの!と大きく頷いていました。

「すきま」の世界は懐かしく温かでありながら、どこか淋しく切ない気持ちがふわっと広がるのです。

読了日:2010年2月7日
リサ | 著者別あ行(江國香織) | comments(0) | trackbacks(0) | 

『抱擁』辻原登

抱擁
抱擁
辻原登/新潮社
二・二六事件から間もない、昭和12年の東京。前田侯爵邸の小間使として働くことになった18歳の「わたし」は、5歳の令嬢・緑子の異変に気づく―。歴史の放つ熱と虚構の作り出す謎が濃密に融け合う、至高の物語。

ぼんやりとしたうす靄の中で一滴ポトンと滴を落とし、それがいつまでもいつまでも波紋を広げて静まらない。時間が経つごとにこのお話がもたらす不穏な空気がじわじわと浸食してきて息苦しい。
一体どう解釈したものか。幾通りもの解釈がなされるものだと思うのだけど、これが現実か虚構(妄想)かによっても大きな意味を持って成すのでしょう。
衝撃を持って本を閉じ、表紙の絵と金文字のタイトルを見るとぐっと迫るその意味。
なんとこの作品にふさわしい表紙絵とタイトルなのでしょうか。
ゴシックロマンに溢れ、歴史と虚構が絡み合った濃密な世界にくらくらしてしまいました。

二・二六事件から間もない昭和12年の東京・駒場。前田侯爵邸の小間使いとして奉公する十八の「わたし」。わたしは前田家の下のお嬢さま、5歳の緑子の小間使いとして採用されます。お茶目でいたずら好きでお澄まし屋さんのお人形のように愛らしい緑子。その緑子にすっかり夢中になってしまいます。
けれどもある夜がきっかけで緑子に異変が生じるのです。見えるはずのない何かが見えるらしいのです。それは幽霊なのでしょうか。それとも彼女の妄想なのでしょうか。
折しも戦争にと向かう暗い時代。それを微塵も思わせない「駒場コート」の別空間とも思える世界。「駒塲コート」の外と内が現実か虚構かの分け目とも思えて、この別世界がまさに妄想世界の中にあってここに起きていることは全て夢の中のことなのではないかとさえ錯覚してしまう。

緑子のわたしの前の小間使い、ゆきのの存在が圧倒的です。その存在がいつしか「わたし」の緑子に対する気持ちの変化に大きく関わっていきます。
お会いしたことのない、これからも決して会うことのない(それは希望をしても絶対に叶うはずのない)ゆきのという存在が日増しに強く大きくなっていくのはミセス・バーネットの言うとある現象だからなのか。

ある平穏な時間の流れるお昼前、刺繍をする針の反射する光が蝶のようにひらひら翔び交う描写。わたしのそばでお人形を抱いて椅子に座る緑子の様子。誰かにお人形を見せて笑いかける緑子。全てがゆらゆら実体のない白昼夢の中の出来事のよう。けれども確実に誰かが「いる」と思わせる描写。わたしが決断するまでにもう間もないことが緊迫を持って迫ってきます。
決行の時が近い予感めいた気持ちが昂揚していくさま、それがクーデターを起こした将校たちの思いと重なっていくところは物語がクライマックスに向かってぐっと動き出していきます。この場面からはさらに強い力で物語に引き込まれて読み手も「わたし」の思い、将校たちの思いに絡めとられていくのです。

読んでいてあっと思ったのは、物語のベースがヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』にとても似ているということ。実際辻原さんも『ねじの回転』からインスピレーションを受けて書かれたのだそう。これは是非とも再読したいところ。

ささやきは魔法から解かれる言葉か、さらなる謎に彷徨う言葉か。
「わたし」の静かな語りが儚さと哀しみをたたえます。

読了日:2010年2月6日
リサ | 著者別た行(その他) | comments(0) | trackbacks(1) | 

世界探偵小説全集リスト

国書刊行会から出ている「世界探偵小説全集」。
探偵小説ってだけでもわくわくするのに全集ですもの、気にならないわけがありません。
先日読んだ『魔王の足跡』がとても好みで良かったのでこれはこのシリーズ他にも読んでみたい!と。
自分の覚書でリスト書いておきます。

【世界探偵小説全集リスト】
★第1期
1『薔薇荘にて』A・E・W・メイスン
2『第二の銃声』アントニイ・バークリー
3『Xに対する逮捕状』フィリップ・マクドナルド
4『一角獣殺人事件』カーター・ディクスン
5『愛は血を流して横たわる』エドマンド・クリスピン
6『英国風の殺人』シリル・ヘアー
7『見えない狂気』ジョン・ロード
8『ロープとリングの事件』レオ・ブルース
9『天井の足跡』クレイトン・ロースン
10『眠りをむさぼりすぎた男』クレイグ・ライス

★第2期
11『死が二人をわかつまで』ジョン・ディクスン・カー
12『地下室の殺人』アントニイ・バークリー
13『推定相続人』ヘンリー・ウエイド
14『編集室の床に落ちた顔』キャメロン・マケイブ
15『カリブ諸島の手がかり』T・S・ストリブリング
16『ハムレット復讐せよ』マイクル・イネス
17『ランプリイ家の殺人』ナイオ・マーシュ
18『ジョン・ブラウンの死体』E・C・R・ロラック
19『甘い毒』ルーパート・ペニー
20『薪小屋の秘密』アントニイ・ギルバート
21『空のオベリスト』C・デイリー・キング
22『チベットから来た男』クライド・B・クレイスン
23『おしゃべり雀の殺人』ダーウィン・L・ティーレット
24『赤い右手』ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ
25『悪魔を呼び起こせ』デレック・スミス

★第3期
26『九人と死で十人だ』カーター・ディクスン
27『サイロの死体』ロナルド・A・ノックス
28『ソルトマーシュの殺人』グラディス・ミッチェル
29『白鳥の歌』エドマンド・クリスピン
30『救いの死』ミルワード・ケネディ
31『ジャンピング・ジェニイ』アントニイ・バークリー
32『自殺じゃない!』シリル・ヘアー
33『真実の問題』C・W・グラフトン
34『警察官よ汝を守れ』ヘンリー・ウエイド
35『国会議事堂の死体』スタンリー・ハイランド

★第4期
36『レイトン・コートの謎』アントニイ・バークリー
37『塩沢地の霧』ヘンリー・ウエイド
38『ストップ・プレス』マイクル・イネス
39『大聖堂は大騒ぎ』エドマンド・クリスピン
40『屍衣の流行』マージェリー・アリンガム
41『道化の死』ナイオ・マーシュ
42『テンプラー家の惨劇』ハリントン・ヘクスト
43『魔王の足跡』ノーマン・ベロウ
44『割れたひづめ』ヘレン・マクロイ
45『魔法人形』マックス・アフォード
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『魔王の足跡』ノーマン・ベロウ

魔王の足跡 世界探偵小説全集 (43)
魔王の足跡
ノーマン・ベロウ 武藤崇恵・訳/国書刊行会
The Footprints of Satan 1950
ある雪の朝、英国の田舎町ウィンチャムに謎の足跡が出現した。まっさらな新雪に覆われた道の中央に突如現れた蹄の足跡を辿る一行は、野原の真ん中に立つ一本のオークの木へ行き着き、大枝からぶら下がった男の死体を発見する。蹄の足跡はそこでぷっつりと途切れ、足跡の主はそこから虚空へ飛び立ったとしか思えない状況だった。しかも、問題の木には、昔魔女が縛り首になったという伝説があるという。怪奇趣味満点の不可能犯罪派ノーマン・ベロウ、本邦初紹介。

国書刊行会の「世界探偵小説全集」が以前から気になっていたんですが、ようやく読み始めることが出来そう。最初に選んだのは『魔王の足跡』。
ノーマン・ベロウという作家自体知らなかったのですが、読んでみてすごく自分好みであることが判明!
これは是非とも他の作品も読みたいわぁ、と思うものの、残念ながら20作品あるうち邦訳されているのはこの1冊のみなのです。どうやらシリーズらしいのです。
本書の中にも「主教の剣」(The Bishop's Sword 1948)をめぐる事件がちらっと紹介されています。どんな事件だったのか、どう解決したのかすごく気になりますよ。
どうやら海外でもノーマン・ベロウが再評価されているようなので、この流れで日本でも邦訳されてどんどん刊行して欲しいなぁ、と思うのは他のミステリファンもきっと切望しているはずと思います。

さて、本書の事件。
怪奇趣味の不可能犯罪派であるノーマン・ベロウならではの事件の始まり。
「1855年2月8日、悪魔が英国に降り立った。デヴォン州各地で不可思議な蹄の足跡が多数目撃されたのである。」で始まるまえがきからぐいぐい引き込まれていきます。
それから一世紀後のある雪の朝、英国の田舎町ウィンチャムに悪魔が再び舞い降りたのか?!という類似した不可思議な現象が。
雪の上の悪魔の足跡を追うとその先の野原に立つ大木の枝にぶら下がる男の死体。
その木には昔魔女が縛り首になったという伝説もある、曰くつきの大木。
人間でも、動物でもない、蹄の形をした足跡の正体は一体何なのか、何故男は死なねばならなかったのか?自殺?他殺?他殺ならばそこまで誰がどうやって運んだ?
もう足跡自体が怪奇現象なのですから、まずはその正体について延々と推理されていきます。悪魔の仕業?というテーマがこれでもかと延々推理され、その盛り上げようといったら!どこまでも続いていくのでさぞうんざり?なのかと思いきやこれがまた面白く、楽しいったら!一体どうやってこれを終結させていくのか疑問に思いつつ読み進むと、第二の事件が起こって。

「魔王の足跡」という不可能犯罪をどう成立させるのだろうかと途中疑問だらけでしたが、目立たぬけれど重要な伏線をきちんと拾い、いくつかのトリックを成立させていくさまは「なるほど!」と気持ち良く納得させてくれていやはや上手い(多少の強引さはむしろ新鮮ですらあるのです)。

一番のお気に入りは怪奇現象研究家のエミー・フォーブズ。こういった怪奇幻想ものに怪奇現象研究家って一番怪しげ?と思いがちですが、実は一番まともなのが彼女だったりして、彼女のいちいちの言葉に妙に納得してしまう。
ミス・フォーブズがスミス警部に(えっと、このスミス警部がシリーズのレギュラーであるようで、そうすると主役はスミス警部、になるのかな)語る言葉がいちいちごもっともで、もしかしたら彼女こそが探偵役にふさわしいのでは?と思ってしまったほど。
最後の最後まで凛とした言葉にハッとさせられたり。お気に入りキャラです。

読了日:2010年1月31日

【関連記事】世界探偵小説全集リスト

【ノーマン・ベロウ作品リスト】
1.The Smokers of Hashish(1934)
2.Oil Under the Window(1936)
3.The Secret Dancer(1936)
4.It Howls at Night(1937)
5.One Thrilling Night(1937)
6.The Terror in the Fog(1938)
7.Fingers for Ransom(1939)
8.Murder in the Melody(1940)
9.Ghost House(1940)
10.Words Have Wings(1946)
11.The Three Tiers of Fantasy(1947)
12.The Singing Room(1948)
13.The Bishop's Sword(1948)
14.The Spaniard's Thumb(1949)
15.Don't Go Out After Dark(1950)
16.The Foorprints of Satan(1950) 『魔王の足跡』
17.The Eleventh Plague(1953)
18.Don't Jump,Mr.Boland!(1954)
19.The Lady's in Danger(1955)
20.The Claws of the Cougar(1957)
21.The Ghost House(1979) (9.Ghost House(1949)の全面改稿版)
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『プリーストリー氏の問題』A・B・コックス

プリーストリー氏の問題 (晶文社ミステリ)
プリーストリー氏の問題
A・B・コックス 小林晋・訳/晶文社
退屈な人生を送っていたプリーストリー氏は、見知らぬ美女と手錠でつながれ、殺人犯として逃げ回るはめに…。抱腹絶倒のスクリューボール・コメディ。

バークリー別名義作品ということでどんなトリックが?ミステリが?と読み始めましたが、ミステリ云々というよりもユーモアたっぷりな展開にすっかり楽しく一気読み。
ちょっとした犯罪学の実験のつもりが思わぬ大事件へと発展していくさまは喜劇を見ているかのよう。

さえない独身男・プリーストリーの身に降りかかる予想外の事態。
友人から放たれた一言(冒頭から「君はキャベツか!このカブ野郎!ペポカボチャのカタツムリ野郎だ!」と散々な言われよう)、犯罪学を趣味とする友人達の思いつき、謎の美女からのSOS、或る屋敷への泥棒計画、殺人犯となって謎の美女と手錠に繋がれての逃走(まさに表紙イラストのようなことになっているのでした)。
プリーストリーにとって幸か不幸かの羽目になるわけですが、いや不幸に決まっている事態なのですけど、その後の展開が決して不幸なだけでないことが読んでいてにんまり笑顔になること間違いなしなのです。
何の取り柄もなく活気のない人生でも、心優しく誠実な性格はやがて彼にとって良き方向へと向かわせてくれるのです。
どこまでも誠実なプリーストリーとローラのやりとりがほのぼの微笑ましくて好き。
お洒落でロマンチックなラブコメディ+ミステリです。

読了日:2010年1月29日

【関連記事】
晶文社ミステリリスト
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晶文社ミステリリスト

つい最近読んだ、A・B・コックスの(アントニイ・バークリーの別名義だとついこの間知りました…)『プリーストリー氏の問題』がコメディミステリで面白かった。
この『プリーストリー氏の問題』と、レオ・ペルッツ『最後の審判の巨匠』共に図書館で借りてきたんですが、どちらも「晶文社ミステリ」でした。
改めて晶文社ミステリのラインナップを見てみたらまぁ〜魅力的!
てことで、覚書でリストを〜。(★リンク先は感想文です)

【晶文社ミステリ リスト】

『被告の女性に関しては』フランシス・アイルズ
『壜の中の手記』ジェラルド・カーシュ
『ウィッチフォード毒殺事件』アントニイ・バークリー
『探偵術教えます』パーシヴァル・ワイルド
『歌うダイアモンド』ヘレン・マクロイ
『ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎』アントニイ・バークリー
『海を失った男』シオドア・スタージョン
『ヨットクラブ』デイヴィッド・イーリイ
『廃墟の歌声』ジェラルド・カーシュ
『絹靴下殺人事件』アントニイ・バークリー
『死を呼ぶペルシュロン』ジョン・フランクリン・バーディン
『誰でもない男の裁判』A・H・Z・カー
『月が昇るとき』グラディス・ミッチェル
プリーストリー氏の問題』A・B・コックス
『最後の審判の巨匠』レオ・ぺルッツ
『大尉のいのしし狩り』デイヴィッド・イーリイ
『クライム・マシン』ジャック・リッチー
全17冊

『被告の女性に関しては』のフランシス・アイルズがアントニイ・バークリーの別名義なので、A・B・コックスと合わせて入れるとバークリーの作品が多い。
シェリンガムシリーズも気になっているのでいい機会にと読んでみたい。
『ヨットクラブ』は今月改題文庫化になった『タイムアウト』。うう、読みたい。

とりあえず『壜の中の手記』(角川文庫のほう)と、『月が昇るとき』が積読なので読んでしまおうっと。
『クライム・マシン』もすっごく評判良いのでこちらも早く読みたいな、と。

被告の女性に関しては (晶文社ミステリ)壜の中の手記   晶文社ミステリ壜の中の手記 (角川文庫)ウィッチフォード毒殺事件 (晶文社ミステリ)探偵術教えます (晶文社ミステリ)歌うダイアモンド (晶文社ミステリ)ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎 (晶文社ミステリ)海を失った男 (晶文社ミステリ)海を失った男 (河出文庫)ヨットクラブ (晶文社ミステリ)タイムアウト (河出文庫)廃墟の歌声 (晶文社ミステリ)絹靴下殺人事件 (晶文社ミステリ)死を呼ぶペルシュロン (晶文社ミステリ)誰でもない男の裁判 (晶文社ミステリ)月が昇るとき (晶文社ミステリ)プリーストリー氏の問題 (晶文社ミステリ)最後の審判の巨匠 (晶文社ミステリ)大尉のいのしし狩り (晶文社ミステリ)クライム・マシン (晶文社ミステリ)クライム・マシン (河出文庫)
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『ドリーマーズ』柴崎友香

ドリーマーズ
ドリーマーズ
柴崎友香/講談社
目の前にある世界が、夢のように思える瞬間がある。いくつもの風景からあふれ出す、大切な誰かへのたしかな想い。現実と夢のあわいを流れる時間を絶妙に描く表題作ほか、ゆるやかな日常からふと外れた瞬間をヴィヴィッドに映し出す、読むたびに味わい深まる短篇集。

夢と現の曖昧さが不明瞭でいつもの柴崎さんの描く世界とは一味違う感覚。
しっかり生きている人間のそれぞれのドラマに中に時折差し挟まれる不可思議なこと。
私たちと変わらぬ普通の何気ない日常を切り取って淡々と描く中に見えぬけれども確かに指し示す方向に穏やかな光が在るのを感じるのです。
印象的だったのは、表題作「ドリーマーズ」。心許なく佇む父の姿がヒヤリと怖い。
「束の間」は好き。

名久井さんの装丁がこれまた綺麗です。暗闇を背景に彩り鮮やかな世界が幻想的。

読了日:2010年1月22日
リサ | 著者別さ行(柴崎友香) | comments(2) | trackbacks(1) | 

『雪だるまの雪子ちゃん』江國香織

雪だるまの雪子ちゃん
雪だるまの雪子ちゃん
江國香織 山本容子/偕成社
あいらしく、りりしい野生の雪だるまの女の子雪子ちゃんの毎日には生きることのよろこびがあふれています。著者が長年あたためてきた初めての長編童話にオールカラーの銅版画を添えた宝物のような1冊。

山本容子さんの装丁が素晴らしく綺麗〜。
美しい雪の結晶と雪子ちゃんのイラストがぎゅっとしたくなるくらいの愛らしさ。
野生の雪だるまの雪子ちゃんのお話しと挿画がそれはもう素敵でほわわ〜んとした気持ちで読みました。
悲しい物語だったらどうしようと物語の行く先をドキドキしながら追いましたが、初めから終わりまでぽかぽかした陽だまりのような温かさに包まれていました。ん〜素敵!

冷えたバターをひと欠片食べたり、百合子さんとの夜の時間だったり、子供たちとの楽しいやりとりだったり、全てが愛おしさに溢れていました。
大人の絵本として最高の1冊。ぽわぽわあったかな読後感でした。

読了日:2010年1月21日
リサ | 著者別あ行(江國香織) | comments(2) | trackbacks(0) | 

『後藤さんのこと』円城塔

後藤さんのこと (想像力の文学)
後藤さんのこと
円城塔/早川書房
後藤さん一般、後藤さん、後藤さん、後藤さん、反後藤さん、分後藤さん、偏後藤さん性―後藤さんについての考察が宇宙創成の秘密に至る「エクス・ポ」連載の4色カラー表題作ほか「早稲田文学」「思想地図」から「SFマガジン」まで、現代文学の最先端で試みられた、難しくてためにならない、でもなぜか心地いい言語遊戯6篇+α。

「後藤さんのこと」「さかしま」「考速」「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」「ガベージコレクション」「墓標天球」6編の短編集。
帯の「index」が面白いです。

表題作の「後藤さん」や「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」は突拍子ない方向へ突き進む話しにクスクス笑える余裕があったのですけど、他4作品はなかなか難解で、ゆえに読み進むスピードは落ち、瞼はひっつき、うとうとすることも(いやその正直書くとそういうことになってました。まさに「さかしま」とか。)。
ひとつひとつの言語がもう意味不明なのだからそれの連なりの世界はそれは奇妙奇天烈。すごい、この思考。

お気に入りは表題作の「後藤さんのこと」。4色カラーの後藤さん。後藤さんについての考察が楽しい。
特に"後藤さんの分割の性質について"は爆笑。
銀河帝国のこと「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」も楽しい。
難しいと言いながらも気に入っているのは「墓標天球」。

読了日:2010年1月20日
リサ | 著者別あ行(その他) | comments(0) | trackbacks(0) | 

『お好みの本、入荷しました』桜庭一樹

お好みの本、入荷しました (桜庭一樹読書日記)
お好みの本、入荷しました
桜庭一樹/東京創元社
作家サクラバカズキは、本と一緒にお風呂に入る。毎日毎日本を読みつつ、ラスベガスへ、アイルランドへ、そして鳥取へ、稀代の読書魔は世界をめぐる!そして突然の結婚に至るまで。『私の男』『赤朽葉家の伝説』『製鉄天使』の桜庭一樹が縦横無尽に読んで過ごした一年間。

またまた読みたい本がドカドカ増えそうです。嬉しい悲鳴。
WEBの「桜庭一樹読書日記」も毎月楽しみに読んでいますけど、こうして本になって何が楽しみかというと下段に書かれる註。これがすごく参考になるのです。桜庭さんや編集者さんのつぶやきもボソッと入っているところも面白い。

そしてそして今作もやっぱり良い。本好きの心をくすぐること!
本読みたいの気持ちをさらに高めてくれてついでに本も増えそうで、怖い。けど嬉しい。
読みながら気になった本、話題などに付箋をダダダッと貼って、2回目にメモしまくる。
チェック本がこれでもかとあって、それを古書店で探すか、図書館で探すことの行為がまた楽しいのですよねぇ。とにかく知らなかった古い作品を知ることが出来るのは幸せ。

それにしても桜庭さんも編集者の方々も知識の豊富さとそして記憶力!
読んだ作品のいちいちをちゃんと事細かに覚えて会話にさらりと入れることのカッコ良さ。
古い本のことだったら結構さらっと思い出して内容も言えるのですけど(読んだ時の環境や状況も思い出せることさえ)、ここ最近読んだ本については本当に思い出せるのは限られてきていて。
それはバタバタとした中で無理やり読んでいるから?じっくり本と向き合っていないから?
それでも桜庭さんや編集者さんたちの読書量は半端なく多いのですから、それはやっぱり記憶力の低下、なんでしょうかね。
年々脳が衰えて記憶のネジが壊れかけている私、その衰えぶりと比較して落ち込むのでした…。

本を読むことの楽しさを改めて実感させてくれる桜庭さん読書日記です。

読了日:2010年1月19日
リサ | 著者別さ行(桜庭一樹) | comments(0) | trackbacks(0) |