一瞬の風になれ 第三部 -ドン- 佐藤多佳子/講談社
部長になった新二とエースの連。春高陸上部の仲間たちとのハードな練習の向こうに見据えるのは、この部で、このメンバーで、インターハイに行く、ということ-。陸上青春小説、圧倒的迫力の完結編!
とうとう完結編!
読んだ、読んだ。手に汗して心臓ドキドキさせて、彼らの頑張りにエールを送って読んだ。私も彼らと共にひたすら走った。端から見たら必死こいて読書している姿はさぞ異様な光景だったに違いない。彼らのリレーが始まれば体に力が入って強ばったように読んだり、恋の話しには頬ゆるませてにんまりしていたり、感動して号泣していたり。娘が泣いている私にいそいそとティッシュをもってきて涙をグリグリ拭ってくれたりして。それにまた感動してオイオイ泣く私。ハハハ。
春高陸上部のメンバーそれぞれが個性的で素敵で可愛くて、気がついたら母親の目線で彼らを温かく見守っていた。個々の魅力もいいのだがやはり抜群に魅力的なのはチームワーク。この連帯感の素晴らしさに感動していた。個人競技の場面もドキドキさせてくれるのだけど、それ以上にドキドキさせてくれるのがリレーのシーン。陸上のリレーって学校の運動会みたいなあんなものじゃないのだね。とにかくこのリレー本番で成功するかどうか冷や冷やさせられてしまうほどの臨場感。新二の思いが重なって新二と共に一喜一憂し、思いっきり感情を揺さぶられてしまう。
新二も連も本当に成長したなぁ。体はもちろん心がかなり鍛えられた。兄・健一に常に憧れと劣等感を持っていた気持ちもいつしかそれを乗り越えられたんだろう。グズグズと悩む新二の姿は欠片もない。恋に関してはまだまだグズグズしているけれど(笑)
春高メンバーももちろん素敵だが、ライバル校・鷲谷高校の仙波や高梨もいいキャラである。いい意味でのライバル、お互いの存在が自分の成績を向上させ、闘志を燃やすエネルギーになる。ライバルだけどきっとこれからいい仲間になっていくんだろう。新二のささやかな希望が叶うといい。それは遠からず近いものかもしれない。
ラストはある人の心温まる贈り物に(もう〜これに号泣。素敵すぎる!)これ以上ないくらい結束したリレーチームの絆がさらにさらに強く繋がる。ラストは可能性を信じた彼らの姿に感動しっぱなし。読み終えてもまだ彼らから去りがたく1巻〜3巻をまたなぞるよう読み返してみたりして、しばらく余韻に浸っていた。この作品を読めたことは本当に幸せ。そして著者・佐藤さんへ感謝でいっぱい。
最後に…浦木さんーっ、やっぱりあなたは素敵だ!そして春高陸上部!最高!!
読了日:2007年1月15日
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いや〜素敵な作品でした。未だ興奮冷めやらずで何を書いているのか支離滅裂ですが…。陸上ものだからと尻込みせずに読んで良かったです。まだこの世界から去りがたくて3冊読み返して彼らの成長をなぞって一人感動したりしておかしなヤツです。
実際に陸上を見たのって箱根駅伝の復路ゴールを見たことがあるくらい。あの時必死にゴール目指して走りきる選手の姿に何やら得体の知れない感動が沸々湧き上がってつい涙してしまったのを覚えています。ああいうみんなで1本のたすきをバトンを繋いでゴールに向かうという姿には感動してしまうものですよね。
高校生の新二や連の成長物語である本作は新二の内面を通して描くことによって等身大の姿がわかりやすく成長の過程も楽しめました。
三輪先生の優しさが特に素晴らしく、子育てもこんな風にやっていけばいいんだろうな、ととても勉強になりました。そして私のお気に入りは浦木さん。完結編でさらにさらに浦木さんに恋しています(笑)ライバルだけど大切な仲間。いいなぁ、本当に素敵。今書くだけでもまた泣けてきちゃいます。
直木賞とれるかな?選考日は今夜(今日は1/16です)。ドキドキしながら結果を待とうと思います。
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