ひなたでゆるり

読書のコトとちょっぴり日々のコトブログ

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『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』万城目学

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)
かのこちゃんとマドレーヌ夫人
万城目学/筑摩書房
かのこちゃんは小学一年生の元気な女の子。マドレーヌ夫人は外国語を話す優雅な猫。その毎日は、思いがけない出来事の連続で、不思議や驚きに充ち満ちている。

万城目さんの作品です。あの万城目さんです。
これまで京都、奈良、大阪とその場所の歴史を絡めたテンポある面白く、そして摩訶不思議な物語で楽しませてくれました。クスッと笑顔になってそしてちょっぴりホロッとくるお話たちでした。
その万城目さんの描くお話、やっぱりクスッと笑顔になって、ホロリと涙させてくれるお話は変わりありませんでしたが、これまでの作品とはちょっと異なった新しい万城目さんの世界なのですよ。これがとってもあったかくてとにかく素敵で素晴らしかった!
万城目さん、こんなに素敵なお話を書いてくれてありがとう!と感謝したいくらい可愛らしい物語。

小学一年生になった小さな女の子・かのこちゃんと、かのこちゃんの飼い猫になった(その経緯がまたとーっても素敵!)マドレーヌ夫人の日々のお話し。
かのこちゃんと刎頸の友(この「ふんけーの友」となる出来事がまた可笑しくて可愛い)すずちゃんの可愛らしい交流、猫のマドレーヌ夫人と柴犬の玄三郎(かのこちゃんちの飼い犬)の種を超えた夫婦の愛の交流、それぞれのやりとりがとてもとても温かくてほわんと優しい気持ちになるのです。
小学生になって初めてのお友達すずちゃんとのお茶会の様子とか(ござるござるなのでござるよ)、お祭りでの思い出作りとか、可愛くてちょっと切なくてぐっときてしまった。
そして何よりも好きなのはマドレーヌ夫人と玄三郎の互いを思い合う気持ちの温かさ。
人ならぬ動物の痛みをちゃんとわかってあげられるなんて、人間の夫婦も見習うべきところがいちいちあって、その都度反省させられたり、見習わなくちゃ、と思わされたり。
マドレーヌ夫人と玄三郎の交流にはじ〜んときて涙、涙でした。
猫の恩返しも素敵だった。

そして!ひとつにんまりするシーンがあるのです。万城目作品を追いかけている方ならば「おおっ!」と思うこと間違いなしの場面なのですが、かのこちゃんが「かのこ」の名前の由来をお父さんに聞くのです。その時のお父さんの答えがうふふ、なのです。それは読んでのお楽しみ。
このちょっとした仕掛けからそれはそれは大いに想像、いや妄想に発展しこれまた楽しい読書となるのです。

わが娘もこの春から小学1年生になります。かのこちゃんがすずちゃんという素敵なお友達(ふんけーの友、ね)が出来たように、娘にも素敵なお友達が出来るといいなぁ。
なんて親心ちらり。

全てが純粋でキラキラと優しい愛に満ちていてとっても好きです。
さて、マドレーヌ夫人、どうしたかな。どうするのかな。

読了日:2010年2月9日

【関連記事】
筑摩書房 「新たな一歩」万城目学
かりさ | 著者別ま行(万城目学) | comments(2) | trackbacks(2) | 

『ホルモー六景』万城目学

ホルモー六景
ホルモー六景
万城目学/角川書店
このごろ都にはやるもの、恋文、凡ちゃん、二人静。四神見える学舎の、威信を賭けます若人ら、負けて雄叫びなるものかと、今日も京にて狂になり、励むは御存知、是れ「ホルモー」。
「鴨川(小)ホルモー」「ローマ風の休日」「もっちゃん」「同志社大学黄竜陣」「丸の内サミット」「長持の恋」6編の連作短編集。

鴨川ホルモー』の続編、というか番外編な短編集。それもただの短編ではなく恋の短編集なのでありました。
『鴨川ホルモー』の如く抱腹絶倒なお話しばかりを予想していましたら、これが見事に裏切られまして。それはそれは素敵なお話しが詰まっていて、特にラストの「長持の恋」は泣かずにはおれず、しんみり泣くというどころではなく涙がボタボタ落ちて鼻水も垂れるというくらいのひどいありさま。うわー泣かされるとは思わなかった。不意打ちだ。ああ。

初っ端からあの高村(要注意人物!彼には注意せよ!さもなくばゲラゲラ笑いの刑に処せられる)が登場して「ううう、やばい」と身を引き締めるもゲラゲラほどではなくクスクスに留まってホッと安心したのも、次には別の章で泣かされるという、高村には本当に油断ならない。でも彼へのイメージは変なヤツ、から実は優しい素敵な人、に見事に変わってこれはもう素晴らしいくらいに華麗に私の中でイメージチェンジしたのでありました。

「鴨川(小)ホルモー」
オニが街中をわらわら歩く様子とか、ちんまり待機している姿とか、いちいち想像してうふうふしてみたり、「鴨川の等間隔カップル」って?とこっちは想像出来ずにポカン。
彰子と定子の決闘はさぞ迫力あっただろうな。鬼語のところ定子には悪いけど笑っちゃいました。でも二人静、カッコいい。

「ローマ風の休日」
凡ちゃんの才能とか(おお〜ここでも発揮されてましたか)数学のことを話す情熱さとか、裏話的に読めたのはすごく嬉しい。楠木ふみのファンとしては(笑)
不器用な凡ちゃんを同じバイトで働く年下の男の子(高校生)の視点から描かれています。その凡ちゃんが実に可愛い。『鴨川ホルモー』の裏話、うふうふと楽しませてもらいました。

「もっちゃん」
もっちゃんは切ないなぁ。最初もっちゃんなんて人いたかしら?なんてとんちんかんなこと考えてましたけど、ええ全然違う方です。あの方です。とっても有名な方。
安倍が出てくるのでちょっと錯覚してしまいました。
読んでいくうちにもっちゃんの作品を読みたくなってここにも登場する作品を久しぶりに再読。もっちゃんの小説は詩的で美しい。繊細な硝子細工のような。
そういえばもっちゃん(まだ読んでない方のために本人の名を伏せましょう。読めばわかりますが)のある作品の碑が三重県松阪市松阪城址にあるのですよね(←これで分かってしまうかも)。三重に在住していた時に行っておけば良かった、と今になって後悔。
何だかもっちゃんの話しで熱くなってしまった。
この「もっちゃん」はすごく上手い。大好き。

「同志社大学黄竜陣」
こちらもなかなか壮大なお話しでありました。ここでの主役・巴ちゃんの元彼が芦屋満!なんとまぁ面白いところに繋がってました。
同志社大学の開校にまつわる話しや、そこに眠る黄龍のこと、すっかり堪能していました。さあ、黄龍はよみがえるのかどうか!?

「長持の恋」
泣きました。ボロボロ泣きました。そんな、そんなことって。そうして素敵なラスト。思わずキュンとしてしまったではないか。なんと可愛いのを用意してくれていたんでしょうか。しかもこの「長持の恋」が最後のお話し。最後だから余韻に浸れてなお良し。
時空を超えた恋。そして衝撃の事実。感動のラスト。一番好きなお話し。

いやはや「ホルモーとは何ぞや?」な妙なお話からこんなキュンとさせてくれる恋物語も書けてしまうんだなぁ、万城目さんったら。
とにかくサラッと流れていくようでいてけれども実に緻密に物語の構成が成されていて、これはもう唸りっぱなし。それでこちらの感情も揺さぶられてしまうのだからホント、油断出来ません。素敵すぎてうっとりしてしまいます。
ということで、お気に入りは「ローマ風の休日」「もっちゃん」「長持の恋」。
かりさ | 著者別ま行(万城目学) | comments(10) | trackbacks(6) | 

『鹿男あをによし』万城目学

鹿男あをによし
鹿男あをによし
万城目学/幻冬舎
「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」
神経衰弱と断じられ、大学の研究室を追われた28歳の「おれ」。失意の彼は、教授の勧めに従って2学期限定で奈良の女子高に赴任する。ほんの気休め、のはずだった。英気を養って研究室に戻る、はずだった。あいつが、渋みをきかせた中年男の声で話しかけてくるまでは……。
前作『鴨川ホルモー』では京都が舞台、そして今作『鹿男あをによし』では奈良。はてさてその奈良で一体何がどうなるのか。
あの万城目さんである。あのホルモーを書いた万城目さんである。はてさて今回はどう楽しませてくれるのか。期待は高まる。読み始める。ちょっと拍子抜けしたと思ったらいやいやこれはやっぱり万城目ワールドなんだ、そうしてぐいぐい引き寄せられたかと思ったら…あうう、やられた。なんとなんとうるうる涙目になって読み終えたんである。素敵だった。
とーっても素敵だった。万城目さん2作目にしてこの力量。素晴らしい。

奈良と言えば、修学旅行で行ったきり。それも京都と1日ずつ巡ったのだがどうにも奈良というところは京都に比べて地味である。やっぱり雅な京都と比較してしまったら仕方ないのかもしれないが、実は子供ながらに奈良のその地味さ加減に(失礼)その古の都に心惹かれるものがあった。それは古墳好きだからってのもある(注:古墳マニアではありません)。まぁその当時中学生くらいの女子が「私古墳好きだから〜」なんて言えるはずもなく、密かに独り石舞台古墳のあの石室を見ながらドキドキしたもんである。そんな遠い昔の記憶を手繰り寄せながら奈良を舞台にした本書を堪能した。そして、お隣りの三重に住んでいた時に行っておけば良かったなぁ、などとちょっぴり後悔してみたり。

さて、鹿男である。そうそう奈良といえば鹿である。ちょっと小首傾げる様子だったり、お辞儀してくれたり、唐突にぼろぼろと盛大にフンをしてみたり、いやはや可愛いのである。この鹿との関わりでとんでもないことに巻き込まれてしまう主人公の悲哀がなかなか可笑しい。女学生との絡みも可笑しい。本人は神経衰弱になってしまうほど悩んでいるのだけど…それがまた微笑ましい。主人公を取り巻く面々もこれまた愛らしい。かりんとう先生とか。
そして特筆すべきは歴史を織り交ぜながら幾重にも仕掛けていく物語の構成。ホルモーでもそれは見えていたのだけれど、今回はその歴史を邪馬台国にまでめぐらせる。物語に深みが増す。だからと言って決して押し付けがましくなく実にさらっと、あくまでも爽やかにすんなりと進めていく。この味付けが絶妙。う〜ん、万城目さんいいわぁ。ますます好きになってしまったわ。
ホルモーも良かったのだけど、すごく好きなのだけど、鹿男はさらに好き。いい。

いや、ホント。ラストうるうる泣いてしまったもん。思わず、グッときちゃったもん。ああ、ずるいよぉ。こんなラスト用意してくるなんて。思わずキュンとしちゃったじゃないかー。
初夏の爽やかな風舞い込む午後、しっとり余韻に浸った。じぃ〜んと。

読了日:2007年4月30日
かりさ | 著者別ま行(万城目学) | comments(28) | trackbacks(17) | 

『鴨川ホルモー』万城目学

鴨川ホルモー
鴨川ホルモー
万城目学/産業編集センター
謎のサークル京大青竜会に入った安倍を待ち構えていた「ホルモー」とは? 恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒濤の狂乱絵巻。前代未聞の娯楽大作、ここにあり!
誰がこんな話しと想像しようか。ホルモーとはなんぞや?という疑問からぐいぐい引寄せられてしまったわけだが、まさかまさかこんな荒唐無稽な話しが待ち受けていようとは。けれどこれがまぁ面白いんである。「なんじゃぁこりゃぁ」などと言いながらもにまにまと気味の悪い薄笑いを浮かべて読むのである。

上手い!この一言に尽きる。始まりから終わりまで無駄のない計算された構成。う〜む、デビュー作でかなりの完成度の高さ。しかも面白い。いや可笑しい。そしてただオモシロオカシイだけでない、ときに背筋をゾゾゾーっとさせる描写もあるし、思わず手に汗する場面もあるし、何よりも春風がさぁ〜っと心地良く吹き抜けるような爽やかさもある。ちょうど春香る今の時期に読むのがピッタリな爽快さ。偶然にも春という季節にこの本を手に取れてその爽快さを体感することも出来て嗚呼、幸せ。

抱腹絶倒みたいなものを期待するといけない。それはあっけなく裏切られる。腹抱えて笑える場面はないが、こう笑いをかみ殺すような、我慢したけど吹き出しちゃいましたみたいな笑いはそこここに散らばっている。それがひょんなところにあるものだからいけない。何かを飲みながら読んだりしているとブーッとやってしまいそうになる。危ない危ない。
特に高村には注意せよ。

舞台が京都ということでここに展開する魑魅魍魎な世界もだからこそ効いてくる。謎めいたホルモーも京都だからこそ活きてくる。もっと軽い内容をイメージしていただけに意外や意外(ものすごく失礼)その背景やら歴史やらそこから展開する仕掛けやら期待していなかっただけになかなかどうしての骨組みに驚かされると共に充分すぎるくらい楽しめたのである。願わくばホルモーのことをもっと掘り下げた番外編みたいなものも読みたい。もっともっと幻想的でホラーちっくな感じだとなお嬉しいかも。

さて、この表紙。見てそのまんまビートルズ「アビー・ロード」のパロディ。ここに並ぶ面々が登場人物の誰かというのは読めば次第に判明してくる。
で、思うこと。楠木ふみ…可愛いじゃん(笑)

これを読んだその夜、風邪が悪化し発熱した。朦朧とした頭の中で見せた夢の中にアレが出てきた。自ら想像し創造したアレである。それはそれは恐ろしい姿形であった。それがわらわらと私の体に張り付く。特に顔!顔を狙っているようである。目玉をくり貫くのか、顔の皮を剥ぐのか、鼻の穴を塞ぐのか、とにかく顔にわらわらと何百何千のアレが群がる。苦しい!痛い!一体なんの罰なのだ。私が一体なにをしたというのだ。「ギャーーーッ!!」断末魔にも似た悲鳴を実際にあげたかどうかは分からぬが必死に空をかきながら起きたその体は汗でびっしょりだった。悪い夢を見た。だがその悪夢によって解放されたようである。熱はすっかり下がっていた。

読了日:2007年4月23日
かりさ | 著者別ま行(万城目学) | comments(22) | trackbacks(13) |