ひなたでゆるり

読書のコトとちょっぴり日々のコトブログ

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『六つの星星』川上未映子

六つの星星
六つの星星
川上未映子/文藝春秋
精神分析、生物学、文学、哲学をめぐって、第一線と語りつくす。川上未映子の思考の軌跡。

精神科医・斎藤環、生物学者・福岡伸一、作家・松浦理英子、歌人・種村弘、
作家・多和田葉子、哲学者・永井均…知の最前線6人とのめくるめく対話集。

作家・川上未映子さんの魅力がさらに大きく膨らんだだけでなく、対話された方々のお話も深い知識と見識に満ち溢れていて、大変豊かな読書時間をいただけました。
川上さんの好奇心の旺盛さ、そこから得る知識の方向性、独特の感性が対話の中で見事に表され感嘆しました。
中でも一番好きなのは生物学者・福岡伸一氏との対話。
「入れ子」から「蚊柱」「動的平衡」…もっと読んでいたくなるくらい興味深い話。
同じ女流作家である、多和田葉子さんとの対話も奥深い。
六つの星星…無限の宇宙のように対話は果てしなく終わりがない。
私の狭い世界の入り口を開いてくれた本。一読でなく何度でもおさらいしたい本。

最も私の気持ちをガツンとさせてくれたのが、斎藤環さんのお話に出てくる「マゾヒスティック・コントロール」。献身的な母親を持つと、娘が母親への罪悪感によって縛られるというお話。
私の母との関係性が見事に書かれていて一瞬息苦しくなったほど。
その後、ああそうか、そういうことだったんだ、とそれまでの呪縛みたいなものがゆるやかに解きほぐされた。
だから私にとってこの対話集は神様みたいな本。
ありがとう、ありがとう。

★福岡伸一さんの著書にとても興味があるので覚書。
『ルリボシカミキリの青』『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』『世界は分けてもわからない』

読了日:2011年11月11日
かりさ | 著者別か行(川上未映子) | comments(0) | trackbacks(0) | 

『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』川上未映子

そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります
そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります
川上未映子/ヒヨコ舎
女子の世界は妖しくて愛しくて我武者羅でときどき、こわい。文筆歌手・未映子の三年に渡る日記。
いやはや、いやはや、参った。
こりゃもうどうしたもんか、とじたばたしてみるけれどま、しばらく時間を置くしかないね、てことで読み終えてから早数日が経とうとしていて、ようやくこうして感想を書けるまでに言葉が戻ってきたというか何と言うか。
未映子さんの言葉は強烈。これまでに触れたことのない言葉や文体、そして世界。まぁタイトル通りすこんっと気持ち良く脳内に入ってきちゃって。音もなく浸透して満ち満ちて溢れんばかりになりそうして感化される。そしたらどうなるか。私の言葉の崩壊でありますよ。
頭で構築し、脳からの命令で両手指がタカタカと動くのはいつもと同じだけれども、リズム感がまるで違う。ついでに綴る言葉もいつの間にか変貌している。まんま未映子やん。これ、未映子さんの言葉乗り移っているやん。どうしたん?自分。
まぁ感化されやすい私のことなので、何ら不思議なことでもなく当然とすら開き直ってしまうのだけど、それにしてもこれはあかんやろ。皆笑うやろ。ふふふん、とせせら笑うやろ。
普段あまり人のことなんぞ気にせずに生きているけれど、見えない誰かが知らんところで笑っている、という図はどうにも耐えがたく、そしたらもう少しほとぼりが冷めるまで時間を置くしかないね、と結論付けて感想書くの保留。
でも、こうして書いてはみたけれどちらほらと残ってはいるみたい。大阪弁が使えたらこれ全部大阪弁にしてスラスラ書いたらまだマシかもしれないけれど、残念ながら東京弁(どっちかというと下町育ちなのでべらんめぇ口調)しかわからないので、ええ。

何が言いたいのかというと、もうこの川上未映子ワールドにですね、すっかり魅了されたというか恍惚しうっとりしてしまうというかとにかく惹きこまれてしまいましたの。
わたくし率イン歯ー、または世界』でもリズムある心地良い調べ、でもそこはかとなく漂う鬱々とした色合い、この絶妙な組み合わせにもうっとりし、「もう〜好き好き!」の威勢であったもんだけど、本書読んでさらに度合いは強くなり「好き好き大好き!」ときゃぁきゃぁ。

日記と言うよりは思弁色濃い随筆といったほうがしっくりくる。文章ひとつひとつ掬い取っても個性ある結晶であり、それはキラキラ眩しく輝いていて…うん、美しい。
「キャロルとナンシー」でゲラゲラ笑ってみたり、「女子部の悲鳴」ではちょこっと共感してみたり(それにしても彼女の勘違いにビックリ)、まるで記号のようなその文章の連なりに恍惚してみたり、サボコの話しにしんみりしてみたり、むむむっと考え込んでみたり。

混沌とした頭の中をさらなる混沌の海に投げ出すみたいな、妙な感覚にすっかり病みつきになってしまったんでありました。

読了日:2008年1月30日
かりさ | 著者別か行(川上未映子) | comments(10) | trackbacks(2) | 

『わたくし率イン歯ー、または世界』川上未映子

わたくし率イン歯ー、または世界
わたくし率イン歯ー、または世界
川上未映子/講談社
デビューと同時に激しめに絶賛された文筆歌手が魅せまくる、かくも鮮やかな言葉の奔流!リズムの応酬!問いの炸裂!“わたし”と“私”と“歯”をめぐる疾風怒濤のなんやかや!とにかく衝撃の、処女作。第137回芥川賞候補作。

大阪弁がつるつると澱みなく流れていくのを心地よく感じながら、でもここにあるものは決して心地よいものではなく、むしろ恐怖。女の独白がどこに向かっているのかわからないまま、それを不安に感じながら、あ、でもこの文体めっちゃ気持ちいい、なんて矛盾した感情を隣合わせにしながら、そうして突き進んだ先のアレ。
それが一体どんな理由なのか次第に明かされるものを苦々しく思いながら、女の狂気を一瞬感じゾッとした気持ちが段々と切なさで苦しくなっていく。
揺さぶられた感情が少しずつトーンダウンし、しんと静まりかえったところに響く空しさがいっぱいに広がってぱんぱんになってはち切れそうで、苦しい。
圧倒的な筆力がぐんぐん迫ってくる感覚がクセになりそう。
…いや、もうどっぷりはまったかも。

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えっと、読んですぐ忘れないようにとりあえずササッと書き留めた感想が上記。
いや〜書き留めておいて良かったかも。この作品読んだのが先々月?まだ猛暑厳しくて「暑い、暑い」を連呼していた頃。やっとここうして感想書けるようになりましたわ。

何たってこのタイトル。「なんじゃ?コレ?」なタイトルにだからこそ惹かれてしまったのだけど、読み始めて「なんじゃ?コレ?」がますます膨らんで、でもそれが妙に心地良くて読んでいくうちにすっかり著者の手中にはまってしまったというわけ。
まさかこういう結末に導かれていくとは思いもしなかったもの。そうして恐怖感が襲ってくるというか、鬱々したものに呑み込まれそうになるというか、自分だって本当のところはどうなんだろうか?とじわじわ不安になったりして。
あ。
今もう一回上記の感想読み返して思ったのだが、「切なさ」ってのはちょっと違う。切ないてのは安易すぎかも。切ないというよりも「哀れ」といったほうがしっくりくるかもしれない、この場合。哀れと思ってしまったらそれはもう同情になってしまうのかもしれないけれど、同情とはまたちょっと違ってここがどう表現すればいいのか難しいところ。
哀れで苦しいだなんてあまり感じるもんじゃないのだが、そんな新鮮な感情を呼び起こしてくれたところにもハッとさせられる要素があって、だからますますこの作品にどっぷり浸って魅せられてしまうのかもしれない。漠然とだけど。

文体が魅力的。文章にリズムがある。というか踊り狂っているというほうが的確か。最初はそのテンポに躊躇することなくついていけたのが、あるところを境に(真実が明かされ出した頃に)戸惑い、一瞬足を止め、この先を進むべきか迷い、やっぱり最後まで辿るべきと決め、辿りついた先のあのなんとも言えぬ妙な感覚。
ああ、これは病みつきになりそう。次作はどう出るか、今から楽しみなんである。

読了:2007年8月
かりさ | 著者別か行(川上未映子) | comments(6) | trackbacks(2) |