ひなたでゆるり

読書のコトとちょっぴり日々のコトブログ

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

スポンサードリンク | - | - | - | 

『百鼠』吉田篤弘

448080384X
百鼠
吉田篤弘/筑摩書房
僕らは空の上から物語を始める。「クラフト・エヴィング商会」の物語作家による書き下ろし小説。3つのおはなしによる、この世ならぬ喜びを伝える一冊。
クラフト・エヴィング商會の吉田篤弘さんが描く物語。「一角獣」「百鼠」「到来」の3編収録。今回もとても不思議な世界に誘ってくれて大満足です。
どれもとても素敵なのですが、一番好きなのは「一角獣」。モルト氏とその彼女の関係のじれったさがこれまたいい具合に描かれていてほぅ〜っとなっていました。誰かの所有物になるのはなかなか勇気のいること。それが自分の環境がある程度形成されてしまってからは尚更。相手は欲しいけど、自分の領域は侵されたくない、時々傍にいてくれたらいいかな。って感じかなぁ。でもそれは誰かの所有物(こういう言い方は語弊があるか)になっても思うこと。互いに干渉せず付かず離れずが一番いいのかな、って思うのはきっと我がままなのかもしれませんね。…なんて思いながら読んでいました。
表題作の「百鼠」はまさかこういうお話しとは思っていなくて、そういう意味ではすごく楽しめた。"朗読鼠"の話しなのです。吉田さんならではの素敵な話し。
「到来」は先の2作に比べたら普通の母親と娘の話しなのですが、これまたラストにちょっとした仕掛け(というほど大げさではありませんが)があって、おっ!と思わせてくれました。舞台の京都の路地にふと迷い込んだかのような不思議な感覚。

吉田篤弘さんの作り出す世界はクラフト・エヴィング商會とはちょっと違っていてそこがまた面白い。今度はどんな人たちに出会えるのかなぁ、と早くも待ち遠しいです。

読了日:2005年6月21日

かりさ | 著者別や・ら・わ行(吉田篤弘) | comments(0) | trackbacks(0) | 

『針がとぶ』吉田篤弘

4104491020
針がとぶ Goodbye Porkpie Hat
吉田篤弘/新潮社
パリッと月がくだけた夜、あたたかい記憶と物語の扉が開く−。クラフト・エヴィング商会の物語作者が紡ぐ、月と追憶と旅をめぐる七つのストーリー。
吉田さんの紡ぎだす世界が詰まった一冊。不思議で温かくてちょっぴり切ないお話し7編。
特に大好きなのは「金曜日の本-『クロークルームからの報告』より」。本に魅せられるというのに思いっきり共感出来る。またその姿を見るのも最高に良い。「月と6月と観覧車」も切なくて好き。7編が独立しているようでいて実は違っていたり、そんなお楽しみが嬉しい。何たってクラフト・エヴィング商會の吉田さんです。背景や人物、小物まで丁寧に描きこまれている。たった一行の文にハッとさせられたり、温かくなったり、魔法のよう。また素敵な作品を読めて幸せです。

読了日:2005年1月19日
かりさ | 著者別や・ら・わ行(吉田篤弘) | comments(2) | trackbacks(1) |