ひなたでゆるり

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『黒百合』多島斗志之

黒百合
黒百合
多島斗志之/東京創元社
「六甲山に小さな別荘があるんだ。下の街とは気温が八度も違うから涼しく過ごせるよ。きみと同い年のひとり息子がいるので、きっといい遊び相手になる。一彦という名前だ」父の古い友人である浅木さんに招かれた私は、別荘に到着した翌日、一彦とともに向かったヒョウタン池で「この池の精」と名乗る少女に出会う。夏休みの宿題、ハイキング、次第に育まれる淡い恋、そして死―一九五二年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年たちを瑞々しい筆致で描き、文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。
あわわ…こ、これは!!そうだったのかっ!と思わず声に出してしまったほどビックリの真相でした。後半の混乱ぶりが激しくて「え?あれ?ええ?」てな感じで何度も元に戻って読み返しておりました。
ミステリと感じさせない物語の運び、けれどもしっかりミステリしているところ、全てが繋がったときの感嘆。そして静かに広がる余韻の深さ。素晴らしい!!

少年少女の一夏の淡い思い出と芽生える恋を綴った青春小説にミステリの欠片はこれっぽちも存在しなかったはず、だったのですけどいやはやこれはしっかりミステリでありました。
また伏線の緻密なこと!ややこしいといえばそれまでなのだけど(いや実際かなりややこしいことになっているのですけど)、これは見事に良く考え練られたものでもう感動すら覚えました。

ものすごい衝撃ではないの。でも静かにじんわりとその意味が沁みてくるの。
その余韻の深さに溜息。そうしてまた再読してしまうこと間違いなし。

読了日:2009年1月12日

多島さんはこの前に『少年たちのおだやかな日々』を読みましたが、こちらは怖いというか後味の悪さと救いようのない話しにぐいぐい引き込まれまして、ある意味いい具合の疲労感(充実感、という)だったのですが、『黒百合』はまた違った作風でこういうきゅっと切ない思いをさせてくれるんだ!と俄然他の作品にも興味を持ち始めています。
『症例A』や『不思議島』などなど読んでみたい。

少年たちのおだやかな日々 (双葉文庫) 症例A (角川文庫) 不思議島 (創元推理文庫)
かりさ | 著者別た行(多島斗志之) | comments(4) | trackbacks(1) |