ひなたでゆるり

読書のコトとちょっぴり日々のコトブログ

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

スポンサードリンク | - | - | - | 

『オー!ファーザー 』伊坂幸太郎

オー!ファーザー
オー!ファーザー
伊坂幸太郎/新潮社
みんな、俺の話を聞いたら尊敬したくなるよ。我が家は、六人家族で大変なんだ。そんなのは珍しくない?いや、そうじゃないんだ、母一人、子一人なのはいいとして、父親が四人もいるんだよ。しかも、みんなどこか変わっていて。俺は普通の高校生で、ごく普通に生活していたいだけなのに。そして、今回、変な事件に巻き込まれて―。

これぞ伊坂作品!と大満足の作品でした。4人の父親という設定が何よりも楽しい。
父達は由紀夫にめっぽう弱くて、由紀夫への愛はそれはもう溢れんばかりに満ちていて、何だかんだ言って満更でもない由紀夫の照れた感じがまた良いなぁ。
その由紀夫もパパ達も大きく包んでしまう母の愛が最高!

伊坂作品の醍醐味、散らばった伏線がパチンパチンとパズルのピースのようにはまっていくさまがそれはそれは気持ちよくて、特に野球選手の話には思わず「おおおーっ!」と声あげて喝采しておりました。
あり得ない事件に巻き込まれてしまった由紀夫ですが、これでまた家族一丸となって何だかんだ言ってみんなこれからも一緒に暮らしていくんだろうなぁ、とあったかな気持ちで読み終えました。う〜ん良い!

ここ最近伊坂作品がどうにもしっくりこなくて、それがどうしてなんだろうかと思ってて、でもこの作品は久しぶりに大いに堪能して昔の伊坂さんだ!と懐かしくて。
あとがき読んで納得。それはそれで寂しいのかな。でもこれからも楽しみなのであります。

読了日:2010年4月27日
かりさ | 著者別あ行(伊坂幸太郎) | comments(2) | trackbacks(3) | 

『フィッシュストーリー』伊坂幸太郎

4104596027
フィッシュストーリー
伊坂幸太郎/新潮社
livedoor BOOKS 書誌データ / 書評を書く
あの作品に登場した脇役達の日常は? 人気の高い「あの人」が、今度は主役に! 小気味よい会話と伏線の妙が冴える伊坂ワールドの饗宴。

「動物園のエンジン」「サクリファイス」「フィッシュストーリー」「ポテチ」の4編収録。
伊坂さんの文章はそれがどんなものであってもするすると糸を解くように何らつっかえもなく読める。ひたすら心地良い。しみじみ伊坂作品が好きなんだなぁと実感する。毎度毎度。もちろん本作品も然り。以下、各作品の感想。

「動物園のエンジン」
このタイトルが秀逸。んん?と首を傾げるタイトルでも読めばしっくりくる。文体は初期の伊坂作品を彷彿とさせ楽しめる。河原崎の無意味な推理ごっこも実は好きだったりする(笑)

「サクリファイス」
一番好きな作品である。いつもの伊坂作品とは毛色の違う民俗学的な雰囲気や世界。黒澤が人探しのために訪れた村には古くから伝わる「こもり様」という風習があった。黒澤の落ち着いた性格が妙にこの作品の世界に合っていてこれは大成功なんではないかとほくそ笑んでしまう。
ここに登場する唄子ばあちゃんが最高!彼女の方言は宮城弁なのだろうか。唄子さんが黒澤を気に入る様子など微笑ましく、もっと唄子さんにしゃべって欲しかったなぁ、などとつい切望してしまった。私はある箇所でうるうる目を潤ませてしまったのだ。そんな話しではないはずなのに…。ラストのオチににやり。

「フィッシュストーリー」
すごく素敵なお話し。時空を超えた物語はあるバンドのレコードに収録された曲から発生する。不思議な話しだが、私たち人間もこういう運命だったり縁だったりで繋がれていくのだよなぁ、としみじみしてしまった。
バンドメンバーが込めた思い。それがあるきっかけを作りどんどん大きな繋がりへと広がってゆく。それはまるで伊坂さんの作品間にもあるような繋がりを思わせる。気がつかないうちにこんな時空を超えた繋がりが自分にも存在しているのかもしれない。そう思うととてつもなく壮大で宇宙な感じ。

「ポテチ」
本作品唯一の書き下ろし作品。これは良い。とても良い。穏やかな優しい性格の今村の胸に広がるもの、その実体は途中から何となく分かってくるが最後まで読むとこれがくぅ〜っとくる。今村の母親が実に気持ちの良い人。これだけ大らかで度量のある人ならば息子の思いなんて些末なことだよ、と笑い飛ばしてその豪快さでやわらかく包んでくれるのかもしれない。大西も似たような性格で同じく今村を温かく包んでいくんだろう。だから私たちは「彼は大丈夫」と確信して読み終えることが出来るのだ。

読了日:2007年2月13日


伊坂さんの新刊!てことで楽しみにしていました。初めの「動物園のエンジン」から「ああ、伊坂さんの文章ってやっぱり好き♪」なんて心地良く浸ってました。初期作品に近い文体だったように感じます。この頃の伊坂さんも好きなのです。デビュー作『オーデュボンの祈り』を愛してますから〜。
そして伊坂作品の醍醐味は作品間リンク。これまでの著作に登場した人物がひょっこり現れて「おっ!」と楽しませてくれます。ん〜でもそこに気がついても(何となく違和感を感じるのです)「誰だっけ?どこに出てたっけ?」となるともう気が散って仕方ありません。そうなると何が何でも突き詰めたくて著作品をドカッと横に積んでせっせと調べるのです。結構見つけたつもりでいますが、もしかしたら気がつかずにそのまま読み進んでしまった箇所もあるかもしれません。それは悔しいな。
初読の方には作品間リンクがあるだなんて言うと躊躇してしまうかもしれませんが、どこから読んでも何ら問題はありません。むしろここからでも他の作品からでもその繋がりを楽しめるのです。あの時読んだあれはこの人だったか!という発見も面白いものです。

伊坂さんの作品には文中にところどころ伏線が張られていて、読んでいる時には気がつかなくても読み終えて「あ!」とポンッと膝を打つ。その心憎い演出にさらに伊坂作品の虜になってしまうのです。本作では特に「ポテチ」でしょうか。さり気なく出てくる小道具が後々繋がっていくというのがああ、上手いなぁと惚れ惚れするわけなのです。
かりさ | 著者別あ行(伊坂幸太郎) | comments(20) | trackbacks(17) | 

『砂漠』伊坂幸太郎

4408534846
砂漠
伊坂幸太郎/実業之日本社
「大学の一年間なんてあっという間だ」入学、一人暮らし、新しい友人、麻雀、合コン…。学生生活を楽しむ五人の大学生が、社会という“砂漠”に囲まれた“オアシス”で超能力に遭遇し、不穏な犯罪者に翻弄され、まばたきする間に過ぎゆく日々を送っていく。パワーみなぎる、誰も知らない青春小説。

ああ、これは良かった!!拍手喝采、ブラボー!伊坂さんってばまたすごいの書いたんだね。何と言うかなぁものすごく偉そうなんだが、読むたびに「あ、また上手くなったな」とか思うのだわ。それをまたこの『砂漠』に感じたのである。何と言ってもそれはあのキャラの存在でしょう。強烈すぎるよ、あの人は。

伊坂さんの作品はどれもこれも好きだが、『チルドレン』の陣内に会ってからその強烈なキャラにすっかり心奪われ、好きな作品といえば『チルドレン』でしょう、と決めていた。が、あっさりその位置を奪う作品が登場したんである。それがこの『砂漠』である。陣内よりももっともっと強烈なキャラがここには存在していたのだ。西嶋、その人である。
偉そうながら語尾に敬語を使う独特な口調、自らを恥じず、臆さず、行動する。そう、西嶋は臆さない。かなり強烈である。そして西嶋の言葉たち。こういうの好きだわ〜。西嶋語録集を作りたいくらい。この西嶋を形成したきっかけが何とあの人なのである。おおっ、ここで出会うとは!もう〜にんまりでありましたよ。
いろいろと苦労した西嶋であったが、彼のこの大学生活は幸せな日々だったことだろう。そんなことをちらっと語っていた彼がものすごく愛おしくて読んでいて泣けてしまった。良かったね、西嶋くんよ。

西嶋だけでなく、語り手である北村も鳥井も(鳥井カッコいいよ!あたしゃあんたに一番拍手を送りたい)、南も東堂もみんなみんな良い。鳩麦さんも古賀さんも幹事の莞爾くんだって魅力的。こんなに人物に入り込んで読んでしまったら読み終わった後寂しいじゃないか〜とまたパラパラ戻って読み返してみたりする。
そして莞爾くんの最後の言葉、しみじみしてしまった。読み手みんなそう思ったんじゃないだろうか。たぶん最も共感した言葉だろうと思うのだ。仲間というのはとても良いものだな。学生時代わいわいやっていたあの頃が懐かしい。

とてもとても大好きな作品なのだが、ひとつ残念なこと。この作品の大半を占めている麻雀を一度も(そう一度も!牌を触ったこともない)やったことがないので、その楽しみ方が出来ず少し置いてけぼりをくらったようなもどかしさがあった。麻雀知ってたらもっともっと楽しめたんだろうな、と思うと残念でしかたない。今からでも覚えるか?ほら、知らないのって悔しいではないか。本気で覚える気でいますよ、私は(笑)

彼らは思うだろうか「あの頃が一番良かったな」。そう言ってこの大学生活を振り返り懐かしむだろうか。多少そんな時もあるかもしれない。でも彼らなら今をあの頃よりさらに楽しんで生きるはず、だろうと思う。4年という歳月は長いようで短くともその時間は濃く深い。その間に形成された絆というものはそうそう切れることはないのだ。だから彼らは大丈夫。…そう無理矢理自分に思わせて気持ち良く本を閉じるのだ。

ああ、いけない。また西嶋が頭の中でしゃべっている。北村が、鳥井が、南が、東堂がいる。ああ、完全に脳内に映像化され取り込まれてしまったようだ。

読了日:2006年7月8日


第135回直木賞候補作に選ばれました。当初まだ未読だったため『砂漠』かぁ、どうだろうな〜と思ったのですが、これは分からなくなりましたぞ。だってこれすごくいいもの!ただの青春小説じゃないもの。どうなるかな、とドキドキであります。

そういえば、登場人物の中の古賀さんがすごく謎の人物で、あれ〜?もしやこの人以前どっかに出ていたか?としきりに過去の作品を思い返してしまった。う〜んでも初めて登場したような…。この人ちょっと覚えておこうと思いましたわ。

作中、西嶋の愛読書としてサン=テグジュペリが出てきます。その作品「人間の土地」は残念ながら未読。是非読んでみたい!と思わせてくれました。
サン=テグジュペリといえば、箱根にある「星の王子さまミュージアム」はとっても素敵なところです。こじんまりとした中にもしっかりメルヘンな世界が作られていて印象的なところでした。サン=テグジュペリ教会なんてのもあって、結婚式も出来るんですよねぇ。
展示ホールにはサン=テグジュペリの手紙や愛用品と共に彼の生涯を見る事が出来ます。ここがとても良く出来ていて興味深いのです。是非また訪れたい場所です。
かりさ | 著者別あ行(伊坂幸太郎) | comments(16) | trackbacks(12) | 

『チルドレン』伊坂幸太郎

4062124424
チルドレン
伊坂幸太郎/講談社
こういう奇跡もあるんじゃないか?まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。信じること、優しいこと、怒ること。それが報いられた瞬間の輝き。ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。

「大人が格好良ければ、子供はぐれねえんだよ」…とは、登場人物・陣内の言葉。
格好良い大人?はて?どういう大人が格好良いのか。それは陣内を見ていれば分かる。これが格好良い大人の見本…いや褒めすぎか(笑)

本書は「バンク」「チルドレン」「レトリーバー」「チルドレン供廖屮ぅ鵝5編の短編と見せかけた長編小説(なのだそう。作者曰く)。読めばわかるのだ。なるほど〜と大いに頷ける。
「バンク」で知り合った陣内、鴨居、永瀬、「チルドレン」から登場する陣内の同僚・武藤、「レトリーバー」からの登場、永瀬の恋人・優子、そしてベス。陣内を巡る5つの物語にそれぞれが語り手となる(あ、ベスは語り手じゃありません)。
いかに陣内というやつが突拍子も無い人間か、自己中心的か、自信と正義感に溢れているか、いつの間にか魅了されてしまう人間かが語られる。彼らは陣内という人間には「やれやれ仕方のないやつだな」という調子で呆れながらもどこかで楽しんでいる。確かにこんなのが友達だったり、同僚だったりしたら困るけど…それでもこんな大人がいてもいいんじゃない?って羨ましくすらある。
つまり純粋なのだな。だからこそ全盲の永瀬にも「ずるい!」とつっかかる。全盲の彼だけ何故特別扱いなんだ。何故オレにも同じ扱いをしないのだ、と。ここでもう陣内という人間が色眼鏡で人を判断しないことが良くわかる。気持ち良いのだ、陣内を見ていると(まぁ子供じみているとこともあって笑えるところもあるのだけど)。

さて、「チルドレン」で陣内の職業が明かされる。一体どんな仕事なんだ、と思ったらなるほど〜そうでしたか。陣内らしいといえばらしいのかな。自分の手で奇跡を起こせる仕事。そんな奇跡の中でも「チルドレン供廚呂海譴彰饑廖秀逸な物語である。

子供は産み落としたその日から戦いの火ぶたが切って落とされる。理想通りの子育てなんて絶対あり得ないのだ。試行錯誤、紆余曲折しながら育てて育つんだな、親も子も。親は子供が頼ってきた時しっかり受け止めてあげられれば充分。その時どれだけの度量を見せられるかが重要。陣内のように揺るぎない自信があれば何も怖くない。

とにかく『チルドレン』最高。未読の人すぐに書店へ走れ!

読了日:2006年2月20日

関連記事
2/13:購入本(2006/2/13)
かりさ | 著者別あ行(伊坂幸太郎) | comments(24) | trackbacks(15) | 

『魔王』伊坂幸太郎

4062131463
魔王
伊坂幸太郎/講談社
「小説の力」を証明する興奮と感動の新文学
不思議な力を身につけた男が大衆を扇動する政治家と対決する「魔王」と、静謐な感動をよぶ「呼吸」。別々の作品ながら対をなし、新しい文学世界を創造した傑作

伊坂さんが「自分が読んだことのない小説が読みたい」との思いで書いた作品。伊坂さんが発したメッセージは読み手に果たして伝わるだろうか。これはたぶん読み手の評価を二分する作品なのだろうなぁ、と読み終えてしみじみ感じた。

雑誌「エソラ」で初めて「魔王」を読んだ後、何が言いたいのか、何を伝えたいのか、それが分からず悶々とした。読み足りないのだろうか、まだ自分には理解できないのだろうか、少し悔しい思いをしていた。しかし刊行されて再度読み返してみてまだ漠然とだけど、伊坂さんの書きたかったものについて理解出来たような気がした(それに刊行順に読むと分かる嬉しいお楽しみが!)。
ふとした拍子にある能力を得た主人公が、ファシズムに傾倒していく流れを危惧し彼なりにその流れを止めようと試みる。"魔王"に立ち向かっていく…。
伊坂さん独特の想像の世界と現世界がマーブル化した不思議な物語を読むにつれ、私も何かに憑かれたように時を忘れ一心に読みふけっていた。
作中の宮沢賢治の詩にハッとする。時折見せる優しさ、力強さに思春期の頃は影響されていたけれども、ある程度年を重ねて再び出会ってみても新鮮さを失っていない。ここでは効果的に描かれているけれど、実際にこんなことがあったら私は嫌だな。ともかくも「魔王」の結末はひたひたと暗黒から忍び寄るような不気味さを漂わせている。

続編の「呼吸」は「魔王」の不気味で攻撃的なものとは反して、温かく穏やかな話し。「魔王」から5年後の世界。果たして世の中はどう変わったか。ここでは弟の恋人(「魔王」では恋人)の視点で描かれる。変わらずほのぼのとしている弟・潤也と彼女・詩織の生活がとってもいい。流れていく世の中に対して躊躇しつつも彼らは彼らなりの生活をしていくしかないのだ。しかし、穏やかでほのぼのとした彼らの生活も変化が訪れているようだ。

『魔王』は政治に対するメッセージに受け取られがちだが、本質的なものはきっと別のところにある。情報過多な世の中、ネットという媒体によりいつでも情報が引き出せ、そのひとつの情報を信じてしまう。たやすく得ることの危機感と、疑いを知らず真に受けてしまう素直な国民性の行く末、流れに逆らえないことを利用されたら…そんな恐ろしさを『魔王』に織り込んでみたのかもしれない(あ、でも考えすぎかも…)。私たちはもっともっと「考え」なければいけない。自分の中で吟味し噛み砕いて結論を出さなければいけない、そんな風に考えてしまった。
魔王、ムッソリーニ、宮沢賢治、死神…さまざまな小道具が見事に配されている本書は文学的な香りを漂わせる。

兄が見た夢、空飛ぶ鳥、それを見つめる弟…何だか悲しいけれど美しくも感じた。晴れた秋空のような清々しさが吹き抜けていく。

読了日:2005年11月24日


前の記事にも書きましたが、『魔王』への伊坂さんのコメントが紹介されています。
★こちら→魔王が呼吸するまで
かりさ | 著者別あ行(伊坂幸太郎) | comments(10) | trackbacks(4) | 

魔王が呼吸するまで(小冊子「本」より)

10/22:購入本」の記事にも書いた、伊坂幸太郎さん『魔王』のサイン本。届けられた段ボール箱の中にもう1冊、講談社の小冊子「本」が一緒に入っていました。箱を開けたとき「ふぅん」としか思っていなかったこの小冊子でしたが、先ほどパラパラと読んでいたら、目次に伊坂さんの名前が!タイトルは「魔王が呼吸するまで」。タイトルからして『魔王』に関するものだろうな、と思いいそいそと読み始めました。『魔王』が生まれるエピソード、「魔王」への思い、そして「呼吸」のこと。大変興味深く読みました。
是非とも伊坂ファンの方にも読んで欲しいなぁ、でも小冊子だしなぁ…でももしかして…と
講談社HP確認して見たら、ありましたー。

こちらです→魔王が呼吸するまで

『魔王』を読んでからも良し、『魔王』を読む前に読んでも良し。私は作品読む前に読んでしまいましたが、全く支障ありません。
こういう裏話的なものって作品をさらに面白くさせるので、好きです♪

愛読随想 まなさんのこちらの記事にサインのお写真が載っています〜。
かりさ | 著者別あ行(伊坂幸太郎) | comments(2) | trackbacks(0) | 

『死神の精度』伊坂幸太郎

4163239804
死神の精度
伊坂幸太郎/文藝春秋
俺が仕事をするといつも降るんだ
クールでちょっとズレてる死神が出会った6つの物語
今回は雨男で音楽好きな死神が主人公。彼らの仕事は死を目前にした人間の調査に当たり、その人間が死を実行するのに適しているかどうかを判断し報告する。ここでは死神・千葉が担当した6つの仕事の物語。
今までの作品から比べてしまうと実に淡々とあっさりした感がありますが、そこは伊坂さんです、そこここににんまりさせてくれる要素をしっかり入れてくれています。死神のキャラクターが実に愛らしく、少しずれたところがまた笑えて面白い。恋愛ものからちょこっと本格ミステリーものといろんな味を楽しめる短編集でした。装丁がまたいい!モデルの近藤良平さん(コンドルズ)が飄々とした死神の雰囲気そのまんま。短編ごとの写真もその物語のイメージぴったり。その過程はこちらに詳しく載っています。さて短編それぞれちょこっと感想を。

死神の精度
第57回日本推理作家協会賞短編部門受賞作。
ミュージックをこよなく愛する千葉が担当したからこそ活きるのだろうお話し。人間生きている先に何が転がるかわからないよね。その判断は果たして正しかったのか…さてどうでしょう。

死神と藤田
やくざもの。不死身な死神ゆえのおかしさがたまりません。藤田、どうなったんだろうなぁ。

吹雪に死神
吹雪に閉ざされた洋館に数人が足止め、外部への通信手段は断たれている…そして殺人。この状況だけですでにわくわくしてしまいました。本格ミステリーな要素たっぷりのお話し。「そういうことでしたか!」とラストはにんまり。

恋愛で死神
これはちょっとやるせなかった。切ない、というよりもやるせない。他作品と進行具合が違うのですが、この書き方によって最後に感じる気持ちがさらに増す。はぁぁ。

旅路を死神
ひょんなことから殺人犯と旅路を共にすることになった死神。いえいえ担当する人間なので、予め用意されたものなのです。さて読み進むと「まさか!」が待っています。

死神対老女
これは良かった。老女がどういう人生を歩んできたのか、そして死神との出会い…こういうこともあるんですねぇ。ラストがとっても綺麗。清々しく読み終えました。

読了日:2005年7月9日
かりさ | 著者別あ行(伊坂幸太郎) | comments(16) | trackbacks(20) | 

伊坂幸太郎作品BEST3!

トラキチさんの新しい参加型ブログ「My Best Books!」が開設されました。
現在、伊坂幸太郎さんと恩田陸さん作品ベスト3の投票を行っています。
私も先ほど投票してきました。で、こちらにも書いてみます。
まずは伊坂氏から。恩田さんはあまりにも作品が多すぎて3つに決めれらず。
もう少し悩んでみます。

伊坂幸太郎作品BEST3
難しいですー。どれも好きな作品なので。でも悩みながらも決めてみました。

1位「オーデュボンの祈り
4101250219
オーデュボンの祈り

やはり一番最初に読んだ作品には思い入れがありまして…。伊坂さんは奇抜な作品が多いのですが、特に群を抜いて不思議な世界を描いたこの作品は大好きです。全ての作品の原点、核にもなっていますし。私にとっても原点である作品です。

2位「ラッシュライフ」
4106027704
ラッシュライフ

本当は「重力ピエロ」も「鴨とアヒルのコインロッカー」も同じくらい評価高いのですが、綺麗に終結したこの作品は圧巻。自分の中でだまされた感が強かったこの作品を2位にします。

3位「陽気なギャングが地球を回す」
4396207557
陽気なギャングが地球を回す

こういうノリ大好きですー。伊坂さん、こんなのも書けるんだ!と新鮮な気持ちで読みました。今度映画化されるとか。非常に楽しみです。

他の方の評価が高い『チルドレン』が未読なのでもしかしたら順位が変わるのかもしれませんが、1位はきっと不動だろうと思います。
今月新刊も出ますし、ますます楽しみな作家さんです。

かりさ | 著者別あ行(伊坂幸太郎) | comments(0) | trackbacks(3) | 

『グラスホッパー』伊坂幸太郎

4048735470
グラスホッパー
伊坂幸太郎/角川書店
復讐。功名心。過去の清算。それぞれの思いを抱え、男たちは走る。3人の思いが交錯したとき、運命は大きく動き始める…。クールでファニーな殺し屋たちが奏でる狂想曲。書き下ろし長編。
『グラスホッパー』読了。
読み始めてあぁ…もしかしたら合わないかも、と嫌な予感がしていたのですが、これはこれでまた最高の1冊になっています。前回読んだ『陽気なギャングが地球を回す』があまりにも愛おしく感じたのでギャップが激しかったのかもしれません。今回は殺し屋の話し。登場するのは鈴木、鯨、蝉。槿(あさがお)なんてのも出てきます。愛おしいだなんて到底思えない人物達。でもそれが不思議と愛着を感じるようになるんです。ほっこりと小さな温かみがじんわり湧いてくる読後感。
「バカジャナイノー」がこびりついて離れない。神様のレシピがあるんだとしたらもう私の未来は決まっているんだな、うん。

読了日:2004年11月16日
かりさ | 著者別あ行(伊坂幸太郎) | comments(4) | trackbacks(6) | 

『ラッシュライフ』伊坂幸太郎

4106027704
ラッシュライフ
伊坂幸太郎/新潮社
歩き出したバラバラ死体、解体された神様、鉢合わせの泥棒−。無関係に思えた五つの物語が、最後の最後で一つの騙し絵に収斂する。これぞミステリー!

『ラッシュライフ』読了。多重進行する5つの話しが表紙の騙し絵のようにぐるぐると交差し、読んでいるうちに登場人物の名前がわからなくなり私の頭の中もぐるぐる…。これは一気に読むべきでした。途中わけがわからなくなり何度も読み返す羽目に。進行していくうちにそれぞれがハラハラするようなことをしてくれちゃうので一体これがどう終結するの〜とドキドキしながら読んでました。そのラストはお見事です!多少の余韻もいい具合に残してくれています。そして伊坂作品ならではのお楽しみもちゃんと用意されていて、にんまり。

「神様のレシピ」は何か困難にぶつかった時のおまじないとして覚えておこう。

読了日:2005年1月8日
かりさ | 著者別あ行(伊坂幸太郎) | comments(0) | trackbacks(3) |