ひなたでゆるり

読書のコトとちょっぴり日々のコトブログ

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『猫を抱いて象と泳ぐ』小川洋子

猫を抱いて象と泳ぐ
猫を抱いて象と泳ぐ
小川葉子/文藝春秋
伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの、ひそやかな奇跡を描き尽くした、せつなく、いとおしい、宝物のような長篇小説 。

ゆらゆらと深海をたゆたうような感覚。詩的で感覚的な物語。
それはひたすらに孤高で美しくて儚げなのだけど、でも力強い。
深海の静けさにチェスの音が心地良く響き渡る。
それはまるで鎮魂歌でもあるように。

小さなリトル・アリョーヒンが愛おしくてたまらない。
そしてリトル・アリョーヒンのかけがえのない人々、みんなみんな愛おしい。

読了日:2009年4月18日
かりさ | 著者別あ行(小川洋子) | comments(0) | trackbacks(0) | 

『博士の愛した数式』小川洋子

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博士の愛した数式
小川洋子/新潮社
記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した…。頻出する高度な数学的事実の引用が、情緒あふれる物語のトーンを静かに引き締め整える。著者最高傑作の呼び声高い1冊。
とうとう読み終えてしまいました『博士の愛した数式』。もっと時間をかけて大切に読もうと思いながらもずんずんリズミカルに読み進んで気がついたら終盤に差し掛かっていました。 ダ・ヴィンチで紹介されていた一文で興味を持ち、また大好きな小川洋子さん著作ということで迷わず購入した作品。もちろん内容は小川ワールドに彩られていました。つい先日"書店員が選んだいちばん売りたい本"として今年の本屋大賞に選ばれたそうです。装丁がまた読み終えた後にしみじみ見るときゅぅっと切なくなってきます。

80分しか記憶が持たない天才数学者の博士、その家政婦私、その息子ルート。大きなどんでん返しがあるわけじゃない、派手なことも特に起きない、その代わり深々とした静けさが浸透し優しさを感じたり、泣きたくなったり、相反する感情が浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返しながら読んでいました。
小川さんの本は『冷めない紅茶』『密やかな結晶』『凍りついた香り』『薬指の標本』と読んできた中で一番好きな作品が『薬指の標本』。小川さん独特の生々しい世界観、奇妙で現実離れしたものを最も好む私には肌の合う作品。なので今回の『博士の愛した数式』はまともな、どちらかというと誰が読んでも受け入れられる自然さが私にはピタリとはまらなかった。それでも数学という高尚な分野(少なくとも私にとっては)を織り交ぜることによって
生まれる上品さが全体を静かに包む。

やはりこの作品は一気読みなどという行為は相応しくない。大切に噛み締めながら博士のように素数を愛しみながら読む作品です。再読する時はゆっくりゆっくりと読もうと思います。

読了日:2004年4月23日
かりさ | 著者別あ行(小川洋子) | comments(3) | trackbacks(1) | 

『寡黙な死骸みだらな弔い』小川洋子

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寡黙な死骸 みだらな弔い
小川洋子/中央文庫
息子を亡くした女が洋菓子屋を訪れ、鞄職人は心臓を採寸する。内科医の白衣から秘密がこぼれ落ち、拷問博物館でベンガル虎が息絶える―時計塔のある街にちりばめられた、密やかで残酷な弔いの儀式。清冽な迷宮を紡ぎ出す、連作短篇集。
『寡黙な死骸みだらな弔い』読了。小川洋子のシュールな世界に久し振りに浸ることが出来て幸せ。読み終えるのが勿体無くてゆっくりゆっくり噛み締めるように読みました。なので、読了後すぐの感想は「あぁ終わっちゃった…」。
この作品は最高に素晴らしい仕掛けが用意されていて、数倍楽しめます。底のない穴に落ちているような(アリスのように)絶望感が漂っている。だからこその小川ワールド。評価の高かった『博士の愛した数式』よりはこちらの世界観が好みです。 『薬指の標本』に似た雰囲気。

読了日:2004年6月6日
かりさ | 著者別あ行(小川洋子) | comments(2) | trackbacks(1) | 

『凍りついた香り』小川洋子/幻冬舎文庫

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凍りついた香り
小川洋子/幻冬舎文庫
プラハからウィ―ンへ。孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数学の問題…・いくつかのキーワードから死者を訪ねる謎解きの旅が始まる。
『凍りついた香り』読了。 ―孔雀の羽、記憶の泉、調香師、数学の問題…いくつかのキーワードから死者をたずねる謎解きが始まる(あらすじより)。小川さんの作品は久しぶりです。大好きな作品に『冷めない紅茶』や 『密やかな結晶』がありますが、今回の作品もそれらと共通する喪失感が描かれています。大事なものが自分から去ってしまった時、その原因を追求すればするほど深みにどんどん入り込んでしまい抜け出せなくなる。もっともっと苦しむことにもなる。今まで見えなかったものまで嫌でも見てしまうことになる。それが吹っ切れた時また人は強くなっていくのだろうと思う。しみじみと切なく本を閉じました。(日記より抜粋)

読了日:2001年8月6日
かりさ | 著者別あ行(小川洋子) | comments(0) | trackbacks(0) |