ひなたでゆるり

読書のコトとちょっぴり日々のコトブログ

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『カクレカラクリ』森博嗣

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カクレカラクリ―An Automation in Long Sleep
森博嗣/メディアファクトリー
廃墟マニアの郡司朋成と栗城洋輔は、同じ大学に通う真知花梨に招かれて鈴鳴村にやって来た。天才絡繰り師によって、120年後に作動するように仕掛けられた謎の絡繰りとは? コカ・コーラ120周年記念作品。

謎というものは解き明かされる前のドキドキやわくわく感が楽しいのであって、明かされてしまうと「ふぅん、そんなもんか」となるわけである。もちろん「おおぅ!そうだったのか!」とか「ふむふむなるほどそういうわけね…てことはあれか?(云々云々)」とか明かされた内容によっては感動もするだろう。けれども、とてもとてもライトに仕上がった『カクレカラクリ』については謎の種明かしに感動はしなかったのだな。むしろラストもラスト、あの二人にじんわりきてしまったのだ。そしてその二人の会話に「おお〜!そうでしたか!」とそこに感動したんである。ハハハ、全くもう…してやられた、てなもんである。

まず表紙カバーの写真がすごく好き。この森林の美しい緑色。靄がかったこの先には今はもうただ朽ちていくだけの廃墟があるんじゃないかと想像するだけで胸が高鳴る。そう廃墟マニアの彼らと同じ気持ちで私も興奮していた。廃墟ってすごい魔力を秘めているのだ。何故に惹きつけられてしまうのかわからぬが、どうしても魅力を感じてしまう。16歳だかの頃(確か高校生だった)ちょっと遠くの図書館まで自転車を走らせ良く通ったのだが、その目的は図書館の地下室のある一角。そこには写真集が書架に収められていた。少しひんやりした空気を肌に感じつつ私はそちらへしずしずと進む。そこには古城の写真集があり、私はそれを取り出し床に座り込んで眺めていた。凄惨な歴史の舞台となった古城の写真に恐ろしく感じながらも、その惹きつけてやまない魅力さ。その秘めた行為をいつまで続けていたのだったか。

話しがそれた…。この作品、非常にライトで読みやすい冒険ミステリ。軽快な会話は森さんならではだし、花梨の妹・玲奈の天然ぶりが微笑ましい。理系な彼らの会話は私にはチンプンカンプンな部分もあったが、それさえも嫌味ではなくさらっと読める。120年後に作動すると言われている絡繰りの在り処、そこに隠されているという財宝。仲違いし続ける真知家と山添家の行方。さまざま思惑を散りばめつつ一気に終結させる。それも森さんらしい手法で。うん、見事であろう。

さて、この作品がコカ・コーラ120周年記念に書かれたものだということは読む前から知っていた。が、その120周年記念と120年封印されている絡繰り…120年をかけていることに読み終えてから気がついた私。ハハハ何ともはや。お恥ずかしい。
ドラマは録画しつつまだ見ていない。

読了日:2006年9月15日

関連サイト
TBSスペシャルドラマ「カクレカラクリ」

作中に書いた写真集はコレ→『幽霊城』(サイモン・マースデン)
あまりにも気に入ってしまい、これはもう手元に置くしかないと大人になってようやく買いました。今は好きなときに好きなだけ眺めていられるのです。
かりさ | 著者別ま行(森博嗣) | comments(20) | trackbacks(9) | 

『εに誓って』森博嗣

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εに誓って
森博嗣/講談社ノベルス
山吹早月と加部谷恵美が乗車していた東京発中部国際空港行きの高速バスがジャックされた。犯人グループは、都市部に爆弾を仕掛けたという声明を出していた。乗客名簿には《εに誓って》という名前の謎の団体客が。《φは壊れたね》から続く不可思議な事件の連鎖を解く鍵を西之園萌絵らは見出すことができるのか?

Gシリーズ4作目である。1作目を読んだとき、これって続くの??と正直期待薄だったのだが、なんとなんと4作目である。そして驚くことにこの4作目が一番面白かったのだ。何でかって言うと、一番分かりやすかったから(笑)
いやいや分かりやすいといえどもすっかり騙されてしまったのだが。読んでいるうちにどうしようもない違和感はあった。おかしいなぁ、この符合性を感じられない感覚は何だろう、と思ってはいたのだ。それがますます強まった後半になってようやく気がついた。そういうことでしたか、はぁぁ脱帽である。

相変わらずサラリと書いているようであちこちにその伏線を張っている。読みやすさからつい見落としてしまいがちなのだが、必ずその布石は存在するのだ。読み返してみるとそれが実にさりげなく置かれている。もっとも注意深い人間ならばすぐに発見出来るであろうけれども。残念ながら私はそういう人間ではないのである。したがって最後の最後まで見破ることが出来ず、綺麗に騙されてしまうのである。まぁ騙されるのも案外心地良いものであるが。
さて、真の謎は果たしてどこにあるのだろう。それはますます謎を深めて読者を惑わすが全容が見えてくるのもきっと唐突なのだろうな。いくつか仮説を立てている方もきっといるかもしれないが、私にはさっぱりなのである。非常に残念なことである。

最後に…このシリーズで萌絵ちゃんの成長振りに驚いているのであるが、4作目にしてそれを強く感じた。何とも大人になったではないか。その分人間臭さが出てきて切れ味が少々鈍ってきた感はある。それはそれでまた違う一面を見ることが出来て嬉しいことではあるが。しかし犀川先生は相変わらず。それどころかあの頃から全く先に進めていないのではないか?彼女に捕らわれ、未だ放たれていないようである。

次回作のタイトル(「λに歯がない」)もすでに決まっているし、どう楽しませていただけるか、珍しく期待している私である。

読了日:2006年6月11日
かりさ | 著者別ま行(森博嗣) | comments(2) | trackbacks(1) | 

『τになるまで待って』森博嗣

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τになるまで待って
森博嗣/講談社ノベルス
森林の中に佇立する《伽羅離館》。超能力者神居静哉の別荘であるこの洋館を、7名の人物が訪れた。雷鳴、閉ざされた扉、つながらない電話、晩餐の後に起きる密室殺人。被害者が殺される直前に聴いていたラジオドラマは『τになるまで待って』。ミステリーに森ミステリィが挑む、絶好調Gシリーズ第3弾!!
Gシリーズ3作目。今作はううーんちょっと面白くなかったかも。ラストの「あれ?もしかして?」というほのかな期待を残して終わったところしか印象にないのがとっても残念。
どんな館ミステリーになるんだろう?なんてわくわくしていたんですけどね、「え?これでいいの?」というのが読み終えてすぐの感想でした。
広げればもっと面白くなりそうな素材が揃っているのに、それらをこれ以上広げる気はないようですね。そのあっさり感は相変わらずなのですが、今まで以上にあっさりし過ぎていて、期待していた読者は肩透かしを食らうという。これも森さんの思惑なんでしょうか。

ミステリーとしては楽しめなくてもキャラクターそれぞれが活きているのでそちらを重視して見れば面白くもあります。犀川先生と萌絵ちゃんの微妙な関係とかも妄想しそうになる自分がいたり(笑)山吹くんや海月くんも好感持てます。が!加部谷さんはどうにも好きになれなくて、もしかするとそんな苛立ちが作品を楽しむことを妨害しているのかもしれない…。でもムードメーカーな加部谷さんはこのシリーズになくてはならないキャラなんですよねー。ただもうちょっと違う設定に出来なかったもんかな、と勝手に思っています。何かのきかっけで可愛いと思える日も来るだろうか…。
もはやGシリーズはS&Mシリーズ、Vシリーズと順番に追いかけているからという理由だけで読んでいるのですけど、まぁこれからの展開も気になるし、あちこち散らばっている謎も、あの探偵の正体も気になるし…なんだかんだ言いながら追っかけていくんだと思います。

読了日:2005年12月2日
かりさ | 著者別ま行(森博嗣) | comments(8) | trackbacks(3) | 

『θは遊んでくれたよ』森博嗣

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θは遊んでくれたよ
森博嗣/講談社ノベルス
飛び降り自殺とされた男性死体の額に描かれた「θ」。半月後、手の平に同じマークのある女性死体が。さらにその後発見された複数の転落死体にも「θ」の刻印が! 「θ」の意味するものは?
Gシリーズ2作目。前作の『φは壊れたね』よりは数段楽しめたかもしれません。今回は一種謎めいた記号つきの自殺者が続く。だが自殺にしては疑問点が多い。自殺か?殺人か?海月、山吹、加部谷の3人組が張り切って謎の解明に挑む…と書けば面白いけど実際解明に張り切っているのは今シリーズかき回し役の加部谷恵美ちゃんのみ。時々山吹くんも推理のお手伝いをするという程度。海月くんにいたっては我関せずの姿勢を崩さず(笑)相変わらずの冷静さに「おおっ!」となかなか自分の中では高感度。萌絵ちゃんも言ってますが、犀川先生のほうがまだおしゃべりですな。あんまり黙されているのも不安感に襲われるので出来るならば身近にいて欲しくないキャラクターです。
S&Mシリーズから読んでいる方はもちろん、Vシリーズ制覇した方にもにんまりな本書。何やらますますここから話しが広がりそうな予感ですよ。
海月くんの推理や如何に?まぁキャラ読みすれば楽しめる最近の森作品、今回はキャラ重視しなくてもなかなか楽しめました。事件そのものというよりは登場人物それぞれの思惑というものに楽しめたのかも。でもこんなにサクッと読めちゃっていいんでしょうか…と不満を覚えつつ次回もきっと読んでしまうんでしょう。
そのうち喜多先生登場しないかなぁー(←実は大ファン)。

読了日:2005年7月31日
かりさ | 著者別ま行(森博嗣) | comments(2) | trackbacks(3) | 

『工学部・水柿助教授の逡巡』森博嗣

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工学部・水柿助教授の逡巡
森博嗣/幻冬舎
ミステリィ作家になった水柿君。時間があれば小説を書き続ける毎日。そして幾星霜、水柿君はすっかり小説家らしくなったが…。作家になる方法も業界事情もよくわかる水柿&須摩子シリーズ。『星星峡』掲載をまとめて単行本化。
前作『工学部・水柿助教授の日常』の続編。『水柿助教授の日常』が結構面白く大笑いさせてもらったので、今回もかなーり期待していました。今作はいよいよ水柿くんが作家になるいきさつが書かれています。出版業界のこととか(嘘のようなホントの話し?)ここまで踏み込んで書いちゃうんだ、とちょっとビックリでしたが期待通り大いに楽しみました。須摩子さん良いキャラです。面白い人です。それを冷静に見る水柿くんとの温度差が結構好き。

私小説風なので(でもきっと私小説)森博嗣氏の作品をある程度読んでいて(特にここではS&Mシリーズ読んでいたほうが面白く読めます)そして森氏の作品が好き、って人じゃないと受け付けないかもしれません…。森さん好きな私でも「ううーん、ちょっと…」って引き気味な部分ありましたし(笑)あまり真剣に受け止めず、サラリと突っ込む感覚で読むと楽しい作品。

読了日:2005年2月22日
かりさ | 著者別ま行(森博嗣) | comments(0) | trackbacks(0) | 

『φは壊れたね』森博嗣

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Φは壊れたね
森博嗣/講談社ノベルス
おもちゃ箱のように過剰に装飾されたマンションの一室に芸大生の宙吊り死体が!現場は密室状態。死体発見の一部始終は、室内に仕掛けられたビデオで録画されていた。タイトルは『φは壊れたね』。D2大学院生、西之園萌絵が学生たちと事件の謎を追究する。森ミステリィ、新シリーズいよいよ開幕。

『φは壊れたね』読了。
あららー本当にシンプル。『暗黒館の殺人』を読み終えたすぐ後だったから尚更そう感じた。新シリーズだそうです。それにしては西之園萌絵ちゃんが結構登場しています。萌絵ちゃんもお姉さんになりましたねぇ。以前ほどわがままでなくなっています。新キャラ海月くんがこれからどう活躍してくれるのかが、次回の楽しみでしょうか。海月くんのキャラは萌絵ちゃんのあのセリフを言わせるためのものだろうか、なんて思ってみたり。新キャラ3人のうちの一人、かき回し役がいますけど、今回の様子だとあんまり好きになれないなぁ。全体にはまぁまぁ楽しめました。

読了日:2004年10月11日
かりさ | 著者別ま行(森博嗣) | comments(0) | trackbacks(1) | 

『探偵伯爵と僕』森博嗣

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探偵伯爵と僕
森博嗣/講談社ミステリーランド
新太が探偵伯爵と出会った夏、親友がトランプの謎と共に次々と行方不明に。彼等は新太とともに秘密基地を作った仲間だった。そしてついに新太に忍び寄る犯人の影!
『探偵伯爵と僕』読了。
「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」と銘打ったMYSTERYLANDシリーズ、初にして森作品を手にしました。子供にも読めるよう(子供向けなんだけど質は高い)ルビがふってありこれだったら小学生にも読めそうかな、というくらいの読みやすさ。

森氏が子供向けに書いたらどんな風になるんだろう…と半ば興味深く本を開きましたが…ふむ〜さすが森さんです、手を抜いてません。

探偵伯爵と僕のタイトル通り、アールと名乗る"探偵伯爵"と "僕"のひと夏の出来事。 "僕"の一人称で語られるため子供の視点で物語は進みます。その"僕"の独り言や"僕"と"伯爵"の掛け合いが実に面白い。現在の犯罪社会を子供たちに知らしめる意味でもとてもわかりやすく解説していると思います。

そして森氏、最後の最後までやってくれています。あぁもう!見事にしてやられましたよぅ。再読の必然にかられます。というか再読しちゃいました。何というか、読んでいて"僕"の感性が研ぎ澄まされているのにちょっと違和感を感じながら読んでいたんですよね。息子を持つ母親として。ちゃんと読み終えてスッキリしたところでさらに奥深さを実感。

森作品がどうもダメ、って方にはまずコレをオススメしたい。これだったら大丈夫かと思う。

読了日:2004年7月9日
かりさ | 著者別ま行(森博嗣) | comments(0) | trackbacks(0) | 

『四季 夏』森博嗣

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四季 夏
森博嗣/講談社ノベルス
米国から帰国した真賀田四季は13歳。すでに、人類の中で最も神に近い、真の天才として世に知られていた。叔父、新藤清二と行った閉園間近の遊園地で、四季は何者かに誘拐される。瀬在丸紅子との再会。妃真加島の研究所で何が起こったのか?『すべてがFになる』で触れられなかった真相が今、明らかになる。

『四季 夏』読了。春はもどかしく読んだものが、こちらは加速度が増して面白くなり一気に読了。四季が犯したあの事件が明かされます。そして嬉しいことに登場人物達の豪華なこと!大好きな人も登場で大いに喜んでしまいました。この『四季』は独立していてS&MシリーズやVシリーズが未読でも OKだそうですが…ホントにそうだろうか。やはり順番に攻略したほうが面白さが倍増すると思うのだけど。逆から読んでみるのもまた違う観点で読めるのだろうか。読みながらふと、そんなどうでもいいことを考えてしまった。 13歳の四季は春の幼少の頃よりもぐっと女らしく清楚に。あまり好ましく思っていなかったけれども、今回は愛しくさえ思いました。

読了日:2004年6月7日
かりさ | 著者別ま行(森博嗣) | comments(0) | trackbacks(0) | 

『四季 春』森博嗣

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四季 春
森博嗣/講談社ノベルス
『すべてがFになる』の天才科学者、真賀田四季の少女時代。叔父、新藤清二の病院で密室殺人が起こる。唯一の目撃者は透明人間だった!?すべてを一瞬にして理解し、把握し、思考する才能に群がる多くの人々。それを遙かに超えて、四季は駆け抜けていく。其志雄は孤独な天才を守ることができるのか!?四部作第一幕。

『四季 春』読了。文体は優しく美しく心地良く。シリーズ全て読んでいるとなお楽しめます。四季の少女時代ですが、最初は子憎たらしくて嫌だったのが、段々と哀れみに。これが四季の成長につれて、その感じ方も変化するのかもしれません。「高度な思考」を突き詰めた結果までの過程が楽しみです。

読了日:2003年9月13日
かりさ | 著者別ま行(森博嗣) | comments(0) | trackbacks(0) | 

『女王の百年密室』森博嗣

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女王の百年密室
森博嗣/幻冬舎
女王が統治する幸福で豊かな楽園。不満も恨みもない世界で起こる空前の殺人事件。女王の塔の中で殺されていたのは…。完全なる密室。そして、完全なる犯罪。誰が、どうやって、何のために…?僕とパートナのロイディは推理を開始する。しかし、住民たちは皆「殺人」の存在さえ認めない。「密室」の謎、「百年」の謎、「女王」の謎、そして「神」の謎。“密室”の扉は、いま開かれる。新世紀=森ミステリィの黄金傑作。

『女王の百年密室』読了。実に、実に深いお話しでした。ある程度の予想の元読んでいたのが外れてなく、すんなりラストを迎えようとしていた矢先の裏切り。あくまでもSFなのでした。全体に悲しみ漂う作品。しかしながらその根底にあるものは希望なのかもしれない。何故神を恐れるのか、なるほどその答えはあまりにも都合が良く、またそれは現代社会に通じるものがあり、皮肉とすら感じました。(日記より抜粋)

読了日:2003年2月11日
かりさ | 著者別ま行(森博嗣) | comments(0) | trackbacks(0) |