ひなたでゆるり

読書のコトとちょっぴり日々のコトブログ

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『MOMENT』本多孝好

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MOMENT
本多孝好/集英社
幼馴染みの葬儀屋、森野が紹介してくれた病院で清掃員として働く青年は、その病院で死を目前にした患者だけが耳にする、死ぬ前に願い事を一つだけ叶える黒衣の男の話を聞く。青年は思いがけないことからその仕事を引き継ぐ。

『MOMENT』読了。しっかり穴を開けられてしまいました。そこから吹き込んだり吐き出されたりする虚しさや乾いたものをどうすることも出来ずにいる自分。確かに本多氏の文体は何かを置き去りにします。その課題をどう捉えるかは読み手それぞれによって違うでしょう。私の場合はどうするんだろう。答えは見つかっていません。本多氏という作家が紡ぎだす文体に触れることの幸せ。今作品でもしみじみ感じています。

読了日:2002年9月10日
かりさ | 著者別は行(本多孝好) | comments(2) | trackbacks(1) | 

『ALONE TOGETHER』本多孝好

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ALONE TOGETHER
本多孝好/双葉社
「ある女性を守って欲しいのです」三年前に医大を辞めた「僕」に、脳神経学の教授が切り出した、突然の頼み。「女性といってもその子はまだ十四歳…。私が殺した女性の娘さんです」二つの波長が共鳴するときに生まれる、その静かな物語。『MISSING』に続く、瑞々しい感性に溢れた著者初の長編小説。
「二つの波長が共鳴するときに生まれる静かな組曲。」

前作の短編集『MISSING』を書いた作者が今度は長編でその感性を見せてくれます。静かな旋律と共に始まり、そして静かに終わる。 トントントンと単調に流れる調べが土台にありながら、それでも心揺さぶる熱いものが流れ込みます。

人間は所詮一人で生きてゆくもの。 けれども拠り所をいつも求めている。一人一人が心の澱を自分じゃどうしようも出来なくて、 誰かがかき回してくれるのをきっと待っている。期待している。本多さんの文章は決して明るくありません。 いつも霧の中で彷徨っているような感覚です。方向性を見失いそうになりながらも、あるいは見失ってしまったとしても、そこからまた霧は晴れて歩き出せる。そんな逞しさもあります。いつしか親になり自分という役割以外に役を与えられた時、それを上手く演じることが出来るのか(適切でない言い方かもしれませんが)…。
何が正しくて何が悪いのか、その狭間で揺れ動く心理。静かながらも訴えかけてくるものを感じます。研ぎ澄まされた感性、やはり本多氏の感性は好きです。

読了日:2000年10月25日
かりさ | 著者別は行(本多孝好) | comments(2) | trackbacks(3) |