ひなたでゆるり

読書のコトとちょっぴり日々のコトブログ

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『第四の郵便配達夫』クレイグ・ライス

第四の郵便配達夫 (創元推理文庫)
第四の郵便配達夫
クレイグ・ライス/創元推理文庫
-THE FOURTH POSTMAN- 1948 田口俊樹訳

1940年代、シカゴ。とある路地で、3人の郵便屋が相ついで殺されるという事件が発生した。弁護士マローンは飲み代欲しさに首を突っ込んだが、世の中そんな甘くはない。ただでさえ厄介なこの事件、例のごとく友人のジャスタス夫妻にかきまわされて、滅茶苦茶な様相を呈していったのだ!笑いとペーソスが彩るライスの秀作。
立て続けに三人の郵便配達屋が殺される。しかも曰くつきの豪邸の前で…。殺人課の警部(常にどうやったら警察を辞められるか考えている)フォン・フラナガンからもちかけられたこの事件。弁護士マローンは思いがけず出会った相棒と事件に関わってゆく。 今回マローンに新しい(というべきか…?)相棒が出来ます。この相棒、大のビール好き。なんでもオーストラリアン・ビア・ハウンドなんだそうです(マローンに言わせると)。というわけで、相棒は野良犬なのでした。

さて、事件。今回は郵便配達屋さんが立て続けに3人も撲殺されます。それを殺人課警部、フォン・フラナガンから持ちかけられたことから話は進んでいくことになります。もちろんマローン、ジェイク、ヘレンも一緒に。ここではジェイク、非常に不幸な目にあってしまいます。そしてわからんちんなことを言ってヘレンを困らせたりします。これを可愛いとみるか、ただのわがまま男とみるか。シカゴ指折りの大富豪が待ちわびるかつての想い人からの手紙がそもそもの発端。ここから事件はさらに複雑化していき、被害者も…。

いつにもましてマローンの懐具合は寒そうです。気の毒なほど。相変わらずのフォン・フラナガンはまた新たに職業を見つけようと躍起になっています。今度はなんと俳優(笑)。彼は彼なりに一生懸命なのはわかるんだけどなぁ。

今回はわりに大人の味、という感じがしました。全体に落ち着いている。でもユーモアさはもちろん失われていない。そして頑張り過ぎなくてもいいのだ、ということに気がつかせてくれるのです。

読了日:2002年4月8日
かりさ | 海外ミステリ(クレイグ・ライス) | comments(0) | trackbacks(0) | 

『こびと殺人事件』クレイグ・ライス

こびと殺人事件 (創元推理文庫)
こびと殺人事件
クレイグ・ライス/創元推理文庫
-THE BIG MIDGET MURDERS- 1942 山田順子訳

改装なったナイトクラブ《カジノ》で、看板スターのこびとが殺された―サイズのばらばらな十一本のストッキングで首を吊られて。店主のジャスタス夫妻と友人マローンは死体をコントラバスのケースにいれて運びだそうともくろむが、目を離した隙にケースは紛失、事件は予想外の方向に転がりだす。マローンたちが獅子奮迅の活躍を見せるシリーズ中期の傑作。
新装開店したばかりのカジノで殺人事件―。ショーの呼び物のひとつとして絶大な人気を誇っていたエンターテイナー、こびとのジェイ・オットーが首を吊られて殺害されていた。たまたま死体を発見してしまったジェイク・ヘレン・マローンはとっさに死体をコントラバスのケースに隠してしまう。
さて、ここまでしたが一体これをどうするか…。ところがこの死体入りのケースが行方不明になってしまう。ますますユーモアさに磨きがかかってます。特に殺人課警部、フォン・フラナガンがおかしくて、おかしくてたまらない。警官嫌いの彼は常に警官を辞めるため、新しい職業を探している(夢見ている)のですが、今度は奇術師になるために教えを受けます。この場面なんぞ愛らしくてほんの一時殺人という暗さから救ってくれます。まぁ彼に言わせれば、世の中の犯罪者たちは彼に迷惑をかけたくて事件を起こすのだそう。

さて、事件。今回もマローン、ジェイク、ヘレンの3人がドタバタ事件に巻き込まれています。こびとの死体をコントラバスのケースに隠しちゃうとか、隠滅しようとしちゃうとか、やることみんなメチャクチャでハラハラしてしまう。しかもそのケース、どっかにいっちゃうのです。行方不明になったケースはどこへ?その前にこびとのジェイ・オットーはなぜ殺された?色んなことがたたみかけるように次々と起こって目まぐるしい。けれどのその目まぐるしさが快感だったりするのです。次はこうくるだろう、この次はきっとこうだろう、と思うことが気持ち良いくらいその通りに発生していくから。けれどもライスは読者をそうやって魔法にかけて、後に仕掛けをちゃんとかけているのです。天晴れ!

ただユーモアなだけでない、その裏にもしっかり土台を作っています。時におかしく、時にかなしく、でも明るく。本作品のマローン、でもちょっと可哀想だったりします…。これもまた彼の魅力かな。

読了日:2002年4月8日
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『時計は三時に止まる』クレイグ・ライス

時計は三時に止まる
時計は三時に止まる
クレイグ・ライス/創元推理文庫
-8 FACES AT 3- 1939 小鷹信光訳

ジェイクは半ば呆れていた。今日はディックが駆け落ちをやらかす日。だが肝心の相手が姿を見せない。やむなく先方を訪ねてみれば屋敷は警官だらけ、おまけに彼女は殺人容疑で逮捕されたという。陳述が凄かった。事件のあった午前三時に、時計がいっせいに止まった?頭を抱えたジェイクは旧友のマローンに弁護を依頼するが…。
バンドのマネージャーであるジェイクは、そのバンドリーダーのディックとディックの駆け落ちの相手、ホリーを待っていた。しかし待てど暮らせど一向に彼女は現れない。待ちきれなくなった2人はホリーの住む屋敷へ。そこは警察だらけ、おまけにホリーは叔母殺人の容疑で逮捕。「悪夢から目覚めたら、目覚し時計の音が鳴り響いていた。それにつられて起き上がり、部屋を見回ったら屋敷中の時計全てが午前三時に止まっていた…。」との不思議なホリーの供述。こんなの信じられるか?ジェイクは友人である弁護士マローンに弁護を依頼する。

楽しくて、ワクワク、登場人物たちのはちゃめちゃぶりにハラハラ、おまけにビックリ箱まで仕掛けられているユーモアミステリィ。大人の味、という印象。禁酒法廃止後のシカゴが舞台。刑事弁護士マローンシリーズの第1作目。そして、ジェイクとヘレンの出会いの作品でもあります。ここでヘレンはホリーの友人として登場しますけど、このヘレンがすごい!パジャマで平気で外出しちゃう、スピード狂、酒好き。このはちゃめちゃなブロンドのとびっきり美人ヘレンにジェイクはメロメロ。この二人の恋の行方も気になるところ。

ホリーの無実を信じて3人(マローン、ジェイク、ヘレン)と1人(ディック)が一番やったことといったら、お酒飲んで酔っ払ったこと(笑)。とにかく何かというと飲んで騒ぐというパターン。シカゴの街をこの酔っ払いたちがドタバタしている図は充分楽しめる。そしてその裏で事件はちゃんと起きているのです。犯人は一体誰か。なぜ時計は午前三時で止まっていたのか。その背景に渦巻く暗いエピソードも事件を盛り上げています。この時計の謎、もう少し深く掘り下げて欲しかったかな。少し曖昧になってしまっていたのが残念。全体的には大満足のミステリィ。

読了日:2002年3月9日
かりさ | 海外ミステリ(クレイグ・ライス) | comments(0) | trackbacks(0) |