水の迷宮 石持浅海/カッパ・ノベルス
夢を実現に導くために。事件の謎を解く鍵は、三年前に片山が見た夢。
―すべての謎が解き明かされたとき、胸を打つ感動があなたを襲う。
初石持作品。「水の迷宮」というタイトルに惹かれるものがあり、3作目と知りながらもこれを初読作品に選びました。
まず水族館が舞台というのが新鮮。水族館という場所はきっと誰もが神秘的に感じる場所だと思うのです。そしてある意味閉鎖的空間でもあります。その空間で起きる事件。その日は3年前に志半ばにして命を落とした片山の命日…。中盤辺りはこの結末がどうなるのか非常にわくわくしながら読んでいたんですが…後半に差し掛かるにつれて雲行きが怪しくなってきた。本当にこれでいいんだろうか?と少し疑問を感じたのです。たぶんここが賛否両論の分かれ道なのかな。でもこういう結末はあってもいいんじゃないかとも思う。そういうミステリーもありなんじゃないかと思う。こういう流れでなければあの最後はなかったのだし、最後は少なからず心動かされたのだから。そして見開きの一文にもう一度目を通してしみじみとこの作品の意味を感じ入るのです。
謳い文句の「胸を打つ感動」とまではいかないかもしれない。けれども読み手によっては感動に導かれるのであると思う。それは何だろう、ロマンを求める者とそうでない者の違いなんだろうか。もしかしたら男性と女性でそれは分かれるのかもしれない。性別によって感想がどう違うのか読み比べるのも面白いかも。
私はすごく好きです。結末には居心地悪さを感じたけれども全体的には映像を見ているかのような錯覚を覚えるほど視覚的にも楽しめる(これはちょっとおかしい言い方ですが)作品でありました。久しぶりに水族館へ行き魚たちの優雅に泳ぐ姿をみたい!と強く思っています。
読了日:2005年6月15日
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