模倣の殺意 中町信/創元推理文庫
七月七日午後七時に服毒死を遂げた新進作家。密室、アリバイ、盗作……様々な要素を絡め、著者が自信を持って仕掛ける超絶のトリック。
いや〜面白かったです。久しぶりに最高!と思わせてくれる本格ミステリに出会いました。
本書は今から34年前、昭和46年に書かれたもので、翌々年昭和48年に双葉社から『新人賞殺人事件』として刊行。その後数回タイトルを変えています。
(先日「
気になる作家:中町信」にも書きましたが、ここでももう一度)
「そして死が訪れる」(1971年第17回江戸川乱歩賞候補作に)
「模倣の殺意」に改題(1972年雑誌に掲載)
「新人賞殺人事件」(1973年双葉社)
「新人文学賞殺人事件」(1987年徳間文庫)
「模倣の殺意」(2004年創元推理文庫)
昨年、2回目に改題した「模倣の殺意」にタイトルを戻し東京創元社から再び刊行。そのおかげでこうして読めたことは何と幸福なことでしょうか。
34年前と書かれた年代を見ても時代背景が古いのではないか、という心配はご無用。今でも充分楽しめます。最近ガチガチの推理物に飢えていたせいもあってもう読んでいる最中もわくわく胸躍らせてました。こんなに純粋にミステリを楽しんだのは正直久しぶりのこと。ミステリの原点に帰った、と言っても過言でないくらい楽しみました。
今だからこそこのシンプルさが逆に新鮮で面白い。ただこれ、ミステリ好きな人はたぶん途中で感づいてしまうかも。私ももしかして…と中盤あたりから気づいて読んだので読後はやっぱり…だったのです(いくつかの書評を読んで薄々感づいていたせいもありますが)。それをしても感想は最高!なのですからいかに本書が面白かったか。これはミステリをあまり読んだことがない人にこそ、オススメしたい!そしてミステリ好きな方、ミステリを渇望している方にも是非手にとって頂き読者への挑戦を受けてみて下さい。
解説にとても詳しく著者なり、本書なりが書かれていますが(注:絶対解説を先に読まないで下さい。解説にも注意書きされていますが、ネタばれされていますので)、とても興味深いです。中町作品はこの後も多く刊行されていて中でもキャラクターもののシリーズもあるようです。是非是非復刊を希望したい。シンプルながらも味わいある中町氏の作品にどうやらはまってしまったようです。続けて『天啓の殺意』(「散歩する死者」改題)を読みますー。
読了日:2005年6月24日
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