ひなたでゆるり

読書のコトとちょっぴり日々のコトブログ

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

スポンサードリンク | - | - | - | 

『ふちなしのかがみ』辻村深月

ふちなしのかがみ
ふちなしのかがみ
辻村深月/角川書店
ひややかな恐怖が胸に迫る―青春ミステリの気鋭が初めて封印を破った現代の怪談!おまじないや占い、だれもが知っていた「花子さん」。夢中で話した「学校の七不思議」、おそるおそる試した「コックリさん」。やくそくをやぶったひとは、だぁれ?その向こう側は、決して覗いてはいけない―。

「踊り場の花子」「ブランコをこぐ足」「おとうさん、したいがあるよ」「ふちなしのかがみ」「八月の天変地異」5編の短編集。

現実と非現実の狭間をうろうろしていたらどちらにも戻れなくなってしまった、むしろ非現実のほうに踏み込んでしまった…非常に不安定な読後感。

いやはや「踊り場の花子」が怖い。かつて自分の子供の頃も「花子さん」はあったけれど、一般に知れていることと微妙にずれているのが逆に怖かったりして。ホラーとミステリー色もあって堪能。
「おとうさん、したいがあるよ」のような一体どっちの言うことが正しいのか次第に曖昧になっていくさま、「ふちなしのかがみ」のあちら側にどんどん侵食されいつの間にか精神まで侵されてくいくさまも実に面白い。
(「おとうさん、したいがあるよ」はブラックユーモア?なんて感覚で読んだのですけど間違っているかしらん)

ストンと腑に落ちず、ざわざわといつまでも落ち着かない心情を抱えていられる。
装丁のような甘く可愛らしいと見せかけて実は毒々しく恐ろしく。

ダ・ヴィンチのインタビューで辻村さんが語っていた
何かいる、何かが起きているんだけど、それが何かが分からずに、想像している時っていうのが一番怖い。それから、日常をはみ出すかはみ出さないか、境界を超えるか越えないかの、どっちつかずのあやふやな状態も怖い。
この言葉がやけにリアルに響いてよりこの作品の怖さを引き立てます。

紙一重の恐怖、堪能しました。

辻村さんのホラー路線の作品、どうやらまだこの先も書かれるのかな?すごく楽しみ。

読了日:2009年9月10日
かりさ | 著者別た行(辻村深月) | comments(6) | trackbacks(1) | 

『凍りのくじら』辻村深月

4061824589
凍りのくじら
辻村深月/講談社ノベルス
7月の図書室。彼に出会ったあの夏は、忘れない。
藤子・F・不二雄をこよなく愛する、有名カメラマンの父・芦沢光が失踪してから5年。残された病気の母と二人、毀れそうな家族をたったひとりで支えてきた高校生・理帆子の前に、思い掛けず現れた一人の青年・別所あきら。彼の優しさが孤独だった理帆子の心を少しずつ癒していくが、昔の恋人の存在によって事態は思わぬ方向へ進んでしまう…。
家族と大切な人との繋がりを鋭い感性で描く"少し不思議"な物語(ミステリー)。

「凍りのくじら」のタイトルとダークブルーを基調にした装丁に惹かれて手にしてみました。読み始めて作者の感性に寄り添うように心地良くなっていたのですが…それも束の間すぐに裏切られることに。

高校生の理帆子の描写を読むのに非常に苦労した。彼女の言動ひとつひとつにもどかしさを感じ、イラついていた。それは自分にも存在する似た性質を感じたことに原因があるのかも。自分の嫌な面を突きつけられて共感するよりも嫌悪感のほうが勝ってしまいどうしようもなかった。
頭でっかちで頑なな理帆子、別所あきらをはじめとする幾人かの出会いによって徐々に解きほぐされていく。ここで特筆すべきは理帆子よりも周りの人物が実に魅力的に描かれていること。理帆子の父は特に素晴らしい。そんな彼らによって理帆子が変わっていく様子をいつの間にか励まし見守っている自分がいました。そしてホッとやれやれ…と気を抜くと思わぬ事態が待っているのです。「はっ」とさせられ一瞬息が止まるくらいの。違和感を感じる場面がいくつかあったのですけど、まさかこう繋がっていたとは…。こういうサプライズ大好きです。

この作品、ドラえもんの道具がとても効果的に使われていてなかなか面白い。ドラえもんはやはり私も小学生の頃夢中で読みました。こんな道具があったらいいのにな〜、なんて夢の世界に入り都合良く自分の世界を思い描いてみたり。今も時々「ドラえもんがいたらあの道具を出してもらうのになぁ」なんて思うことが実はあります(笑)
作中に出てくる映画の話しも昔息子たちと良く観たので(映画も何本か観にいった。結構泣けるのだ、これが)ストーリーに入りやすかったのは助かりました。

読み手の感情を見事に揺さぶる作者の筆力は魅力的だし期待もあります。ただ読んでいて終始思ったのは、自分が後10年若かったら…ということ。作者と同世代だったらもしかしたらこの世界に違和感なく入り込めたかもしれない。それがとても残念。でも辻村さんの感性は好きなので他作品にも是非触れてみたいと思っています。

読了日:2006年1月10日
続きを読む >>
かりさ | 著者別た行(辻村深月) | comments(14) | trackbacks(10) |