箪笥のなか 長野まゆみ/講談社
親戚の家から引きとってきた古い紅い箪笥。この箪笥、なんだか不思議な箪笥だ。抽斗を開けると…。
長野さんの丁寧に書かれた日本語がことさら美しい作品。
11編の連作短編集。
主人公であるわたしが親戚宅から譲り受けた古い樺色の箪笥。この箪笥が呼び込む不思議な現象やイキモノたち…妖しげな雰囲気がたまらない。
長野さんの作品には珍しく女性が主人公であり、少年が一切出てこない。出てくるとしても主人公であるわたしの弟の幼少の頃。それは今までの長野作品とは一風違った作風でありこれぞまさに新境地なのだろう。元々長野さんの紡ぐ言葉は実に美しく日本語の良さをいつも実感させてくれる。その言葉の美しさがこの作品では妖艶さを生み出している。
理系である弟が魅力的。その妻も同じく理系であるのだけど、この夫婦のやり取りがとても新鮮。息子であるハトの愛らしい成長ぶりも楽しませてくれる。何故「ハト」なのか?それは読んでのお楽しみ。なるほど〜と思わず感心させられるくだりだ。
一編、一編の終結にはっとさせられる。下手なミステリーよりも余程楽しませてくれる。中でも「梔子」はなかなかスリリングである。
この古い不思議な箪笥の留め金具や抽斗の四隅の飾り金具はそれぞれ蝶のかたちをしているのに、小抽斗の一方は留め金具のかたちが蝙蝠になっている。蝙蝠のほうの抽斗は何故か不思議なものを呼び寄せる。さて何故蝙蝠なのか。謎は深まるばかり。
この続きを是非にと願う。もっともっとこの美しい文体に触れていたい。図書館本だが、これはもう自分のものにしてしまいたい衝動を抑えきれない。
この本は私の心を絡め取り、そうして離れたがらない。
読了日:2006年2月11日
長野さんもので私の宝物。"御菓子鉱石"と名付けられた3つの鉱石。
今は無きFC(現在はwebに移行)「三月うさぎのお茶会」にて購入したもの。
上から「雪綿…オーケン石」、「桜玉…ピンク霰石」、「翠色ジュレ…方解石」3種の鉱石。ピンク霰石の淡い色が綺麗で手にとって光にかざしてみたりします。オーケン石はまさしく雪綿という感じ。石の周りにふわふわと綿毛のような球状体がびっしりついています。方解石は美味しそうな翠色。
そして…
「青い鳥少年文庫」シリーズ。長野さんコレクションの写真達が美しい。1冊はサイン入り。消しゴムスタンプももちろん押されています。
装丁の美しい天球儀文庫シリーズ4冊。
そして…「三月うさぎのお茶会」会報、数々のハードカバーと文庫たち。
絶対手放せないものたち。
⇒ ちづ (04/28)
⇒ 苗坊 (02/03)
⇒ かりさ (01/10)
⇒ タコ焼き (01/07)
⇒ かりさ (12/27)
⇒ みこ (12/25)
⇒ かりさ (12/09)
⇒ みこ (12/06)
⇒ みこ (12/05)
⇒ かりさ (12/01)