ひなたでゆるり

読書のコトとちょっぴり日々のコトブログ

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『ヒトクイマジカル』西尾維新

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ヒトクイマジカル―殺戮奇術の匂宮兄妹
西尾維新/講談社ノベルス
永遠に生き続ける少女、円朽葉をめぐる奇怪極まりない研究のモニターに誘われた「戯言遣い」のぼくは、骨董アパートの住人・紫木一姫と春日井春日と共に京都北部に位置する診療所跡を訪れる。が、そこに待ち受けていたのは…。

うっわー。いろんな意味で凄いな、コレ。もうどうしようもないくらいなところまで来てしまっていて、読み手もここまで来たらもう後は終焉を見届けるしかなく(いや、一体どんな結末が用意されているのか私はとんと想像もつかないが)。いーちゃんの著しい成長を感じながらああ、いよいよなんだな、と寂しさポツリ。

ある人の別れでいーちゃんの変化が見えてくる。あれほど無関心だったいーちゃんがこれほどまでに動揺し、揺さぶられる姿を見ただろうか。別れは辛いが(結構お気に入りだったんだよねー。私も悲しい)いーちゃんのそんな姿を見られたということは今作が最高潮なのだということを思わせる。あの子に関しては確かに匂宮の言うとおりではある。決していい訳ではないことも分かっている。いちいち納得はする。何でこの子だけこんな風に待遇良くいられるの?とは密かにではあるが感じていたことは否めない。そしてやはり彼女は内に蠢くものを抑えられないのだ。運命だったとしても割り切れない複雑な思いが広がり続ける。

今までより確実にミステリ色が薄く(すでになくなっているとも)、登場人物もさほど複雑ではなかったはずなのだが、それ故に油断したようである。すっかり匂宮出夢(いずむ)と理澄(りずむ)に取り込まれ内側でしか見る事が出来なくなっていた。「あれ?どういうこと?」なんてビックリしている自分が何とも滑稽。早く気がつけばにんまりだったはずなのに。豆鉄砲食らってしまったとさ。

さて、今回の最高のセリフ、「初めまして、俺の敵」。ここ、いーちゃんではないがゾッとした。いーちゃんの壊れっぷりも今回すごいものがあったが、それ以上に狐面の男・西東のあの変わりっぷりが怖すぎ。しかもその正体に驚愕。すごいなぁ、こんな展開にしてしまうのか。俄然面白くなってきたんではないか?そうしたら最強の請負人との関係はどうなってしまうのだろう。もう妄想が止まらない。

今作である人物(ま、パロディなのだが)の名前登場でずっと感じていたもやもやがスッキリした。「秋せつら」その人である(先入観与えて欲しくない方のために伏せます。ネタばれではありませんが)。玖渚友の人称の変化によって変わる人格がそう、あの人に似ているではないか。彼も人称が変わると変貌するのだ。ああ、姫ちゃんの技もそうなんではないか?

最後、またまたらぶみさんが最高!彼女主役で何か書きません?らぶみさんの本棚を見てみたいのは私だけではないはず(笑)
さて、いよいよ最終章突入。うわーこりゃ早く読まねば。

読了日:2006年9月20日
かりさ | 著者別な行(西尾維新) | comments(4) | trackbacks(0) | 

『サイコロジカル』西尾維新

サイコロジカル 上 兎吊木垓輔の戯言殺し サイコロジカル 下 曳かれ者の小唄
サイコロジカル 上 兎吊木垓輔の戯言殺し
サイコロジカル 下 曳かれ者の小唄
「きみは玖渚友のことが本当は嫌いなんじゃないのかな?」天才工学師・玖渚友のかつての「仲間」、兎吊木垓輔が囚われる謎めいた研究所―堕落三昧斜道卿壱郎研究施設。友に引き連れられ、兎吊木を救出に向かう「ぼく」こと“戯言遣い・いーちゃん”の眼前に広げられる戦慄の“情景”。しかしその「終わり」は、さらなる「始まり」の前触れに過ぎなかった―。

いや〜これは最高に面白かった。何たって兎吊木垓輔である。彼に魅せられてしまったらそれはもうはまりこんだも同然。後はジェットコースター並みのスピードで読めてしまうであろう。
あまりの面白さにその手を止められず、上下巻2冊を1日半で読了。もういーちゃんの哲学めいた戯言だってなんのその。その頭は上巻の終わりからさらにフル回転し始める。その衝撃的なシーンを読んでしまったら後はもうその謎を解明するだけにこの目は文字を追いかけ、脳はあらゆる登場人物への疑心を前提に、ここで作者に騙されてなるものかと多少の意固地を原動力に謎解きに使い、指はただページを繰るだけに機能する。
そう、作者に騙されてはならぬのだ。そして常にそれが頭にあるのならば、過去のシリーズのさまざまな伏線をしっかり覚えているならば、騙されることはなく意外に簡単にその謎は解ける。そして解けてなおその結末が待ち遠しくてならない。あの人の登場を。そして…そして…あの人の登場も。

「きみは玖渚友のことが本当は嫌いなんじゃないのかな?」。破壊王・兎吊木垓輔の言葉が静かに始まる。そう、ここから始まる。その全ての始まりと終わり。そうして終わってまた冒頭へと戻ってみる。なんと見事な連鎖であろうか。

さて、前作でミステリ度が弱まったことから、またタイトルからミステリものとしては終わりを告げてまた新たな趣向が施されるのであろうか、と勝手ながら想像していた。が、もしかしたら今作がミステリとしては一番らしいものだったかもしれない。犯人当てはもう少し派手な演出でも良かったかな、と思えるほど地味で簡単ではあったが、ほとんどがこの辺りでその隠された仕掛けに気がついているであろうからこれはこれでさり気なく描くことが最良なのかな、と納得してみたり。4作目にしてミステリと呼べる作品になったのではないかな、と思えるんである。ただそこに到達するまでがあまりにも助長過ぎて実はミステリなんだよ、と言われても「ほええ?」となりかねない。

さて、今回は2作目で気になっていた鈴無音々が登場。哀川潤ばりの凶暴さではあるが、その説教ぶりが魅せるキャラである。もっといーちゃんをこてんぱんにしてやっちゃってよ!なんてねー、読みながら加勢していたのはご愛嬌。だって、いーちゃんあまりにもキレッぷりが激しすぎる。玖渚友のことになると何故にこうも熱き男になってしまうのか。見境もなくキレるあたりかなり病んでいるし、それが過去にあるのだろうし、その過去を抱えた結果であるのはわかるが、今作もそれはとうとう明かされなかった。うっすらと友に関する情報が開示された程度。一体この二人に何があったのか、いーちゃんは友になにをしてしまったのか、一番の謎がさらに大きくなり解決にはまだまだ程遠い。
他お気に入りのキャラはもちろん兎吊木垓輔であるのは決まっているとして(そう、もう冒頭から決定なの。あの口調と雰囲気。彼の容貌。エロさ全開なとことか(笑)、変態ぶりとか、もう全てにおいて好み。そして美しい顔立ち…嗚呼!)、根尾古新はちょっとツボはまる面白さ。そしてやはり大垣志人であろう。あの一人乗り突っ込みとか、いーちゃんとの掛け合いとか最高である。そのお茶目さの裏には悲しいものが隠されているのだけど。
そして相変わらずふわんふわんしている玖渚友。が、可愛らしいその顔が無邪気さと陽気さを消し去ったうすら笑いに変貌したとき、その恍惚とした顔を思ったとき、彼女の中に巣食うものが垣間見えてうそら寒さを覚える。友の正体は如何に。

「きみは玖渚友のことが本当は嫌いなんじゃないのかな?」
…そして彼の真意は如何に。

読了日
『サイコロジカル(上)-兎吊木垓輔の戯言殺し』2006年9月16日
『サイコロジカル(下)-曳かれ者の小唄』2006年9月17日
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『クビツリハイスクール』西尾維新

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クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子
西尾維新/講談社ノベルス
「紫木一姫(ゆかりきいちひめ)って生徒を学園から救い出すのが、今回のあたしのお仕事」「救い出すって……まるで学園がその娘を拘禁してるみたいな言い方ですね」
人類最強の請負人、哀川潤から舞い込んだ奇妙な依頼に従って私立澄百合(すみゆり)学園、またの名を《首吊高校(クビツリハイスクール)》に潜入した「ぼく」こと“戯言遣い・いーちゃん”は恐るべき殺戮の嵐に巻き込まれる――。

うわぁ…なんというか容赦ないな、全く。
確か1作目は「いいじゃん!面白いじゃん!」とお気楽に絶賛したものである。それがシリーズを追うごとにお気楽さが虚しくカラカラ音立てるだけで、こうどよーんと重たいものが圧し掛かるような息苦しさのほうが比重は増す。だが面白いのだよ。最高に。言葉遊び(戯言)もいつにも増して遊び心満載であったし。ただ無邪気さに秘めた抗いようも無いものに支配されたどうしようもなさ、そんなものに虚しさを感じてしまったらもうお気楽さなんて微塵も感じられないではないか。深読みし過ぎの感もあるが、どうにもこうにもキャラに感情移入してしまったらもうダメなんである。そしてことごとく壊されゆく様はもう直視出来ないほどなのである。哀れすぎる。あまりにも。
お気に入りのあの人はますますその魅力を放つ。人類最強の請負人、紅き制裁…ああまさに。今回ほどこの呼び名が相応しい。この哀川潤にどれほど喝を受けたことだろう。彼女の発する言葉が沁みた。
「先が見えないとお前は不安になる。お前は何かを待つのは得意でも、何かわからないものを待つのは苦手なんだな」
まさにこれ、自分のことである。時々この先の見えない不安に苛まれてどうにもそれを律することが出来なくなる。基本的にいーちゃんと同じく気が長い。が、それは哀川潤の指摘通り先の見えているものに対して、である。いやはやいちいちこう突いてくるのだよな、哀川潤。そして後半の怒りの言葉たち。すっかりやられた。まさにその通りです、と屈したくなるくらい気持ち良い怒り。素晴らしい。こんなキャラに出会えたこと自体に私は幸せを感じてしまう。いや、暴言でもなんでもなく。

いつになく薄めの今作は密室本であったか。それならば納得。密室本は制限があるのではなかったか。どれも密室本は薄い印象がある。その薄さながらもここまで濃厚に描いてみせる技、徒者でない。(ちなみに密室本で好きなのは舞城王太郎の『世界は密室でできている。』である。今回この『クビツリハイスクール』もそれに加えよう。)何とまぁ内容も濃いがその世界観も濃いのである。そこに広がる死山血河を想像するだけでも凄い。さらっと描いてはいるがかなりグロテスクである。密室本ならでは、と言うのは考えすぎか。
さて、私には珍しく(いつもトリックを見抜けない、騙されやすいゆえ)ジグザグも密室のトリックも何となくだがピンときていた。それが正解していたときの心地良さといったら!トリックを軽く見破る人は毎回こんな心地良さを体感しているのだな、と変に羨ましく感じていたり。ジグザグのほうは萩原子荻が発した言葉に違和感を感じたことから。ん?と引っかかった。そのおかしな言葉遣いに。この場に相応しくない言葉に。

『クビキリサイクル』『クビシメロマンチスト』『クビツリハイスクール』とタイトルで見る限りはクビ絡みが終わっている。ということはもしかするとミステリものがここらで終わってしまうのだろうか、と漠然とながら思った。今まで意味深にいーちゃんと友の過去が見え隠れしているが、そろそろその過去が明かされていくのだろうか。

ところで友ってブルセラっ娘だったのか…。一度は諦めた制服、これで手に入ったんだよね?さぞ喜んだだろうな〜。想像するだに、か、かわゆい。
最後に看護師さん、最高!(笑)

読了日:2006年9月1日
かりさ | 著者別な行(西尾維新) | comments(2) | trackbacks(0) | 

『クビシメロマンチスト』西尾維新

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クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識
西尾維新/講談社ノベルス
鴉の濡れ羽島で起こった密室殺人事件から二週間。京都、私立鹿鳴館大学。「ぼく」こと“戯言遣い・いーちゃん”が級友・葵井巫女子とその仲間たちと送る日常は、古都を震撼させる連続殺人鬼“人間失格・零崎人識”との出会いによって揺らめき脆く崩れ去っていく―。そして待ち受ける急転直下の衝撃。一つの世界が壊れる“そのとき”を描ききった新青春エンタの傑作。

前作『クビキリサイクル』では玖渚友というキャラが際立った作品だった。彼女の独特な物言い、不思議ちゃんが漂いながらも可愛らしさを備えた女の子。今作でもいーちゃんと玖渚友が活躍(というほどいーちゃんは活躍しないけど)するのかと思いきや、友がなかなか登場しない。うわー残念。その代わりにこれまた可愛いキャラが登場−葵井巫女子(あおいい・みここ)である。顔も可愛ければ喋り方も可愛い。いや、たぶんダメな人にはとことんダメなキャラであるのだが、好きな人にはたまらない萌えキャラである。
その天然なのか、はたまた計算ずくなのか良く見えない彼女の性格が次第に見えてくるにつれてそれは意外に根っこの深い部分が露出される。彼女と彼女の友人達(貴宮むいみ・宇佐美秋春・江本智恵)の心のバランスの壊れ具合がすさまじい。

そして主人公・いーちゃんも前作では見せなかったダークな部分を垣間見せるようになる。思いのほか抱えている過去が暗く深いのだということを感じさせる。ある意味いーちゃんも壊れているのかもしれない。いや、一度バラバラに解体されたくらいに壊れたのかもしれない。今それは完全に傷は癒えないながらもこうして普通の日常を送るまでになったのかもしれない。それは明らかに玖渚友が関わっていることは感じる。
だって、いーちゃんのやっていること良く考えたら尋常ではないぞ(一部納得いかない部分があったし。おいおい、それはないんじゃない?っていーちゃんにではなく維新さんに言いたい(笑))。そして彼が言ったこと、やったことは温かみもなにも感じないくらい冷たい残酷な行為ではないか。それを後半で理解したときの戦慄はやられた!というよりも恐怖のほうが強い。いーちゃんの裏の顔が見えてくるにつれてこの先戯言シリーズを読んでいく自信が少し失せたようなそんな感覚。

京都を震撼させる連続殺人鬼・零崎人識といーちゃんの不思議な交流(と言っていいのかどうか)が面白い。殺人鬼なんだよ?殺されかけたんだよ?なのに友情深めてどうすんの?って突っ込みたくなったが彼らのやり取りが意外に興味深かったので、まぁ良しとしよう(笑)彼らから文豪の名が出てくるあたり笑えるではないか。

さて、前作登場ですっかりその凄さに魅力を感じた哀川潤だが、今回もいろいろとやってくれちゃっている。どんだけ恐ろしいのか軽く描写されているが実際にそんなのがいたらはた迷惑だしやっぱり逃げたくなるよー。あんたはロボットか?と問いたくなる。
その哀川潤に勝るとも劣らぬこれまた正体を掴みきれないキャラが登場。いーちゃんのお隣に住む浅野みいこ。そしてみいこの友人・鈴無音々。彼女達はこれからまた登場するだろうか。非常に興味が湧いているので是非とも前面に出していただきたいものである(って完結しているシリーズに対して言うことじゃないか)。みいこの何か達観したような感じに憧れを抱いている私なのであった。

肝心のミステリのほうだが、今回は前作よりもミステリ色は弱い気がした。いつもいつも騙されちゃう私でも今回の連鎖は感じ取ってしまったのだから。まぁこの作品の本質はミステリというよりは戯言にあるのだから(その戯言の中に散りばめられた言葉達がなかなか読ませるんである)。
そして!最大の謎「X/Y」である。これ普通に理解出来るものですかね?私恥ずかながら一発でわからなかったのだよねぇ。消化し切れないまま読み終えてなお一向に解決の道に辿りつけず、うんうん唸りながらパラパラと読み返す。キーワードがあるはず!と無い頭攪拌させて思い当たったこと。いーちゃんの極端な記憶力の悪さ。これ、もう当たり前なくらい読者には認知されていること。そのいーちゃんでも覚えていることがあって、それが意外だったのだが、そこに鍵があるのだと思い至った。そうして考えて見ると…おおーっ!そうか〜!と理解できたのである。嗚呼遅すぎ(泣)ここで知恵の有る無しが試されてしまうのだなぁ。悔しがるほど私は脳が活性化されていないし、むしろ死滅する一方なので、理解出来ただけ良しとしよう。決して答えにたどり着いたわけではないかも。いろんな解釈が出来るようだから。

まだまだ序盤。これからどうなっていくのか、どんなキャラが生まれていくのか、楽しみであり怖くもあり。やや、このうずうず感を抑えるには早く次を読まねば、ね。

読了日:2006年8月23日
かりさ | 著者別な行(西尾維新) | comments(2) | trackbacks(0) | 

『クビキリサイクル』西尾維新

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クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い
西尾維新/講談社ノベルス
絶海の孤島に隠れ棲む財閥令嬢が“科学・絵画・料理・占術・工学”、五人の「天才」女性を招待した瞬間、“孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする!工学の天才美少女、「青色サヴァン」こと玖渚友とその冴えない友人、「戯言遣い」いーちゃんは、「天才」の凶行を“証明終了”できるのか?新青春エンタの傑作、ここに誕生!第23回メフィスト賞受賞作。

「西尾氏、イチ押し。」
清涼院流水の帯の言葉がなかったらもしかしたら手にとって読んだかもしれない。非常に相性が良くなかった(自分にしては珍しい事に)『コズミック』の清涼院の言葉である。何度も何度も手にとってはためらい結局読むことは終ぞなかった。その後戯言シリーズとしてシリーズ化されその面白ぶりをあちこちで目にする度にあぅ〜何故あの時読まなかったのか…と後悔したものだ。今更シリーズを追いかける気にもならなかったし。が、しかし、その時はやってきた。巡り合いというのは不思議である。読む事すら諦めていたシリーズをこうして読み始めることになろうとは。もしかしたら今がその時期だったのだろう。あの時もし読んでいても今ほどの高揚感は得られなかったかもしれないのだ。

語り部・ぼくこといーちゃんの一人称のみで進む作品。いーちゃんの視点で、思考で(戯言で)語られる真実は一人称で語られるが故に盲点もある。そこをどう補うかこの行く末を案じていたが、(いくつか残される謎をまさか放りっぱなしってことになるのかと思ってしまうではないか)漠然と生まれ大きくなっていた不安を見事に払拭させてみせる。お見事である。そうかそれであの人(請負人)の登場なのね、納得。
真実なんてどっからどこまでが嘘か誠か線引きは出来ない。が、衝撃の事実にお口あんぐりな真実は実に恐ろしい。そしてまた一から読み直すはめになるのだ。そうせずにいられないではないか。

ともするとライトノベルに括られそうな印象であるが、読んでみれば立派なミステリ。それもあっと驚く展開にそこまで予想していなかった私は驚きっぱなし。もしかしたらこれも騙されている?これも?あれも?とラストに向かうにつれて疑心暗鬼の度合いが深まる。そうしてぐるぐるした思考はさらにその回転を止めない。事件は解決しても玖渚友(くなぎさ・とも!これ読み辛かった。「くなぎさ」を「くさなぎ」とどうしても読んでしまいキーッとなっていた私(笑)ようやく慣れたのは読了間近のことであった…)と戯言遣いいーちゃんの関係の謎が残っている。一体いつ説明してくれるのか?と待っていても一向にその気配がない。そうこうしているうちに終わってしまった。んん?これはシリーズの中で徐々に明かされるものなのだね?きっと。彼らのことは何やら複雑化していそうでますます目が離せそうにない。

えっと謎がもうひとつ。いーちゃんの本名って??ここには出てこなかったのだが、これも明かされる時がくるのだろうか?うむー。

読了日:2006年8月19日


ようやく読みました。で、紐解いたからにはその終末を見届けねばなりません。だって、謎があまりにも多すぎる!いーちゃんとなりの人間もまだ完全に理解出来ていないし、玖渚友も謎だらけ。そして!請負人(しかも人類最強の(笑))・哀川潤!いや〜この人好き。まさかこんなキャラが出てくるとは思わなかったなぁ。哀川潤が活躍する日が来るのでしょうか。
本作で印象的だったのが、いーちゃんと園山赤音のやりとり。武者小路実篤「真理先生」の引用を交えながらの語らい(というほど穏やかなものではないが)。ここで「真理先生」を登場させたことでますます西尾さんへの好感度が上がったのです。んまぁ読んだのは中学生の頃だったので、実際には詳しい内容なんぞ覚えていません。うろ覚え。それでも爽やかな明るい内容で、その時は好きな作品だったことは覚えている。ここはもう一度読んでみようかなー。
さて、お次は『クビシメロマンチスト』。楽しみです。
かりさ | 著者別な行(西尾維新) | comments(4) | trackbacks(0) | 

DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件

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DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件

西尾維新 大場つぐみ 小畑健/集英社
〈ノベライズ維新、西尾維新!〉日本小説界の最先端を行く作家・西尾維新が、『DEATH NOTE』を渾身の完全オリジナルノベル化。あなたはLの伝説(ノート)を見る!

うわーーーっ、そうきたか!そうだったのか!
見事に騙された者はきっとこう叫ぶに違いない。少なくともそんな人間がここに一人。

コミック「デスノート」のノベライズ版。そのノベライズを西尾維新が書くということで注目度は高まっていた。さて、西尾作品を1冊も読んでいない私だが、それでもその意味は何となく分かるのだ。今回初めて西尾さんが紡ぐ言葉、文章に触れてみて思った。持って生まれた天性なのだろう、このセンスは。兎に角上手い。ああ、言葉一つでもこんな表現が出来るのか。的確な文章、美しくまとめられていく物語。するりするりと気持ち良く吸い上げていくかのように読む。私はすっかり魅せられてしまったようだ。

さて、今回の話しはLが解決したある事件の記録。それを語っているのが何とあの人。あまりいい印象を持っていなかったあの人、これを読んでみて少し見方が変わった。そうなんだよなぁ、この犯人と同じくみんな翻弄されていたんだろうなぁ。そう思うとやはり切なくなる。全てはL、あなたの存在が大きすぎたためなのだから。
さて、Lの風貌はコミックを読んでいればその個性的なキャラゆえに忘れる事はない。あのLにまた会える!という嬉しさ(何で嬉しいのか分からないのだが、どうやら彼に好意的だったようだ)もあってかなり期待を持って読み始めた。コミックではほんの少しの登場だった南空ナオミも今回は主役級である。Lと南空、そして「B」の物語であり、この3人の戦いの記録。今となっては全てが過去の話し。ここには未来に繋がるものは何一つとして存在しない。それが分かっていながらも期待を込めて読み進む。そうして驚きの展開である。お見事!

…ただ、手放しで絶賛するには少し謎が多すぎたし、ミステリとしては弱いし、南空ナオミのキャラ設定にも「んん?」と思わせる相違点があったり(ここで言う相違点とは私の思い描いた南空と西尾さんの描いた南空が少し違ったということ)。南空ナオミという人物はコミックでは非常に登場回数の少ないキャラクターであったが、かなり印象強い人物である。その性格は冷静で思慮深い女性である。たぶん誰もがそう感じているはずである。そこはかとなく漂う雰囲気も近寄りがたいクールな印象である。それがだ、今回西尾さんの手によってその印象がガラガラと崩れてしまった。彼女の本音を読むたびにぶっ飛ぶ。え?こんな人だった?なに?ツンデレ?南空ナオミはツンデレだったのか??ツンデレはないだろう〜…などと、しょっちゅう突っかかりを感じてしまったのはとってもとっても残念。まぁ、クールな性格でお利口さんなキャラでは面白くないだろうし、このくらいじゃなきゃFBI捜査官なんて務まらないか。とまぁ読み終えた頃にはそんな南空にもすっかり慣れてしまったのだけれども。

兎にも角にも楽しめる1冊。装丁も豪華で素晴らしいし、これは是非コミックを読んだ方には手にとってもらいたい。そして是非是非残り2つの事件もノベライズ化して欲しい。切望する。

あとがきに笑った。サブタイトル…まぁある意味ネタばれ?いや別にネタばれではないが、これサブタイトルにしちゃったら全部ぶち壊しでしょう、きっと(笑)
そして西尾維新の文章にすっかり心酔した私はますます西尾作品を追いかける事を決意したのであった。

読了日:2006年8月3日
かりさ | 著者別な行(西尾維新) | comments(4) | trackbacks(5) | 

西尾維新:著作リスト

西尾維新 著作品
★戯言シリーズ
『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』
『クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識』
『クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子』
『サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し』
『サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄』
『ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹』
『ネコソギラジカル(上) 十三階段』
『ネコソギラジカル(中) 赤き征裁vs.橙なる種』
『ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い』

★りすかシリーズ
『新本格魔法少女りすか』
『新本格魔法少女りすか2』

★零崎一賊シリーズ
『零崎双識の人間試験』

★JDC TRIBUTEシリーズ
『ダブルダウン勘繰郎』

★その他
『きみとぼくの壊れた世界』
『ニンギョウがニンギョウ』
『DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件』
『×××HOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル』
「ザレゴトディクショナル 戯言シリーズ用語辞典」
「西尾維新クロニクル」
「ユリイカ 総特集西尾維新」


クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識 クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子 サイコロジカル〈上〉兎吊木垓輔の戯言殺し サイコロジカル〈下〉曳かれ者の小唄 ヒトクイマジカル―殺戮奇術の匂宮兄妹 ネコソギラジカル (上) 十三階段 ネコソギラジカル (中) 赤き征裁VS.橙なる種 ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い 新本格魔法少女りすか 新本格魔法少女 りすか2 零崎双識の人間試験 ダブルダウン勘繰郎 きみとぼくの壊れた世界 ニンギョウがニンギョウ DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件 ×××HOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル
ザレゴトディクショナル 戯言シリーズ用語辞典 西尾維新クロニクル ユリイカ 2004年9月増刊号 総特集 西尾維新
かりさ | 著者別な行(西尾維新) | comments(0) | trackbacks(0) |