ひなたでゆるり

読書のコトとちょっぴり日々のコトブログ

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『鳩とクラウジウスの原理』松尾佑一

鳩とクラウジウスの原理
鳩とクラウジウスの原理
松尾佑一/角川書店
恋愛に縁のない貧乏青年・磯野のアパートに学生時代の仲間が転がりこんできた。磯野の新しい職場は「鳩航空事業団」。そこでは鳩が恋文を運ぶ伝書鳩サービスを提供している。ある日、伝書鳩が「クラウジウス団」なる連中に拉致されてしまう。彼らの目的は「この世のあらゆる恋愛を妨害すること」。磯野は無事に鳩を相手に届けられるのか?かくして鳩を巡るナンセンスな闘いが幕を上げた。

ゆるゆるした物語の始まりが軍服男・ロンメルと愛らしい犬さんの登場でぐぐぐっと動き出し、謎のアフロ老人の出現がさらなる物語の渦となって、あれよあれよと惹き込まれました。
主人公・磯野の密かな仕事とは?謎の集団「クラウジウス団」とは?
そこここにクスッとさせられる可笑しさがあったり、かと思えばしみじみした切なさも帯びていて…ああ、青春だなぁ。

ロンメルの個性の強さで磯野がぼやけてしまった感もありますが、どうしてどうして無気力な彼もとある出来事で体温と勇気を持つのです。
ラストに向けて駆け抜けていく爽快さがたまらなく感動的。
鳩は果たして幸せを運ぶのか。
スカッと晴れた青空のように清々しい新しい風が感じられてとても素敵でした。

読了日:2010年6月11日
かりさ | 著者別ま行(その他) | comments(2) | trackbacks(1) | 

『よろこびの歌』宮下奈都

よろこびの歌
よろこびの歌
宮下奈都/実業之日本社
御木元玲は著名なヴァイオリニストを母に持ち、声楽を志していたが、受かると思い込んでいた音大附属高校の受験に失敗、新設女子校の普通科に進む。挫折感から同級生との交わりを拒み、母親へのコンプレックスからも抜け出せない玲。しかし、校内合唱コンクールを機に、頑なだった玲の心に変化が生まれる――。あきらめ、孤独、嫉妬……見えない未来に惑う少女たちの願いが重なりあったときにあふれ出す希望の調べ。

こんなはずじゃなかった。音楽学校を目指したものの、挫折してしまった玲の鬱屈した心。
頑なに閉じてしまった玲の気持ち。
けれども同じ思いを抱えた少女がすぐそばに居て、みんな何かしらの悩みや痛みを持っていて。

閉じた心が少しずつ解れてやわらかであたたかな光がそこに射したとき、そのあまりの眩しさに思わずホロリと涙が。
少女たちのハーモニーがのびやかに高らかに響いた瞬間、確かに私も通り過ぎたあの頃が鮮やかに思い出されました。
もう〜ぎゅっと抱きしめたくなる愛おしさに溢れてます。たまらなく大好きです。

各章のタイトル!ヒロトの詩が曲が脳内に流れてより一層心に響かせながら読みました。
ヒロトの詞がまた良いんだなぁ。

読了日:2009年12月1日
かりさ | 著者別ま行(その他) | comments(0) | trackbacks(0) | 

『ギンイロノウタ』村田沙耶香

ギンイロノウタ
ギンイロノウタ
村田沙耶香/新潮社
成熟を夢見ながらも無差別殺人衝動に襲われていく内気な少女の極限の姿を描いた表題作。そして殺傷行為を恋愛感情とクロスさせる女子大生のラブ・ストーリー「ひかりのあしおと」。――圧倒的なエネルギーを湛えた二作品を収録する小説集。

とにかく不気味でネガティブなパワーがこれでもか、と強い内容でぐわんと狂気の渦にぐるぐるされます。
未成熟な親の元に育った子供たちが痛々しくて哀れなんですが、どうしてもそこへ向かわずにはいられなかった彼女らの狂気じみた思考や行為は何とも言い難い気味悪さを感じさせます。
彼女たちが足掻けば足掻くほど救いの手から離れてしまってその空しさたるや。思慕や愛情を欲しながらそれを与えられなかったその結果の狂気がただただ哀れでならない。
それでも妙に惹きこまれる作品であるのです。

読了日:2009年3月13日
かりさ | 著者別ま行(その他) | comments(0) | trackbacks(0) | 

『完全恋愛』牧薩次

完全恋愛
完全恋愛
牧薩次/マガジンハウス
昭和20年…アメリカ兵を刺し殺した凶器は忽然と消失した。昭和43年…ナイフは2300キロの時空を飛んで少女の胸を貫く。昭和62年…「彼」は同時に二ヶ所に出現した。平成19年…そして、最後に名探偵が登場する。
いや〜素晴らしい!
これはもうしっかりとやられてしまいました。

昭和史を描いた内容の重厚さも素晴らしいのですが、そこに恋愛とミステリを絡めてぐいぐいと引きつけてくれます。
で、ラストですよ。
点在する謎が鮮やかに回収され真実がわかったときの衝撃と驚愕とわっと襲う涙に感情掻き乱されました。いやはや最後のどんでん返しの凄まじいこと。
まさに「完全恋愛」。してやられました…。

ところどころ「ん?」と引っかかりを感じたものの、解決にまでは到達せず謎が謎のまま進んでいくのですけど、やっぱりこの鈍さがあってこそ衝撃と驚愕を味わえるのですから自分は得してるよなぁ(負け惜しみか)。
いや、さすがの貫禄と安定感で実に面白く読みました。

この作家さんの別名義作品をそもそも読んでいないので、いろんな意味でで損しているかもしれませんが今からでも遅くはあるまい。

読了日:2008年12月14日
かりさ | 著者別ま行(その他) | comments(0) | trackbacks(0) | 

『人くい鬼モーリス』松尾由美

人くい鬼モーリス (ミステリーYA!)
人くい鬼モーリス
松尾由美/理論社
ふたりの少女にしか見えない人くい鬼の存在。外界と遮断された別荘地で起きる連続死体消失事件。人くい鬼の仕業じゃないとしたら、犯人はいったい誰? 少女と人くい鬼の不思議な絆を描く、さわやかでマジカルなミステリー。

ミステリーYA!シリーズです。
ファンタジーと本格ミステリーが見事に融合されてこれは良かったです。
ヤングアダルト向けって大人が読むとどうしても不自然さや違和感が目だって感じられてしまってこそばゆい思いをするもんなんですが、松尾さんのモーリスは実に自然にそれらが解消されていて好感、でした。
ものすごく意地悪な目で読んでしまったらその不自然さや違和感はあるにはあるのだけど、ヤングアダルトものに突っ込むのは詮無いことですので。

立て続けに起きる事件に果たしてモーリスは関わっているのか?
その辺の謎解きも大人に取ったら少し助長気味でも、子供からみたら結末に続く道のりはもしかしたらわくわくか、あるいはドキドキか、どちらにしても高揚感増す展開になるのかも。これは中学生と高校生の息子達に読んでもらってその辺の感想を是非とも聞きたいわぁ、とそっちにわくわくしている母でございます。

避暑地でのひと夏の出来事。もう二度と帰らない日々。
誰もがその感覚を持っていて、すっと引き出せる思い出を持っているもの。
それを読み手がそれぞれ引き出しながらそれに浸りながら読む。
そんな思い出から漂う切なさや甘酸っぱさを感じながら読むと、エピローグもさらにきゅんとした何ともいえない気持ちで読めるのでしょう。

そして特筆すべきは装丁であります。加藤木麻莉さんの装画と挿絵がとても美しいのです。そちらも堪能しながら松尾さんの世界に入り込む。
なんとも贅沢で素敵な読書でした。

読了日:2008年7月4日


モーリスがあのモーリスのオマージュだったのか〜と知ったら久しぶりに読みたくなりました。あの作品を思いながら読むと、この人くい鬼モーリスがさらに可愛く愛おしく見えてしまうから不思議。
かりさ | 著者別ま行(その他) | comments(2) | trackbacks(3) | 

宮部みゆき作品BEST3!

My Best Books!」の宮部みゆき作品ベスト3投票します〜。
で、宮部さんの作品で読んでいるのは、「火車」「魔術はささやく」「我らが隣人の犯罪」「スナーク狩り」「レベル7」「R.P.G.」「長い長い殺人」。…他に忘れていなければ(笑)
宮部作品、最近は全く読んでいないので順位を参考にしつつまた紐解いてみたいなぁと思っているところです。

宮部みゆき作品ベスト3
1位「火車」
火車
やはりこれになるでしょう。想像以上の苦しみと痛みを感じながら読んだのを覚えています。壮絶過ぎて読み返したくない作品の1冊なんですが、それ故に10年以上たった今でもインパクトある作品です。10数年ぶりに読み返してみるのも悪くないかもしれない。

2位「レベル7」
レベル7(セブン)
結構分厚いのに一気に読めてしまった作品。

3位「スナーク狩り」
スナーク狩り
コレ、某作家さんにオススメしていただいた作品。
その作家さん、宮部さんの大ファンでいらっしゃるのです。
ずーっと昔光栄なことにチャットして頂く機会がありましてその時オススメしてもらいました。バラバラだったものが一気に終結に向けていく流れが面白く一気読みでした。



もっともっと有名な作品が多いのにそれらを全く読んでいないのは残念。
今からでも遅くないかぁ。実は「ステップファザー・ステップ」と「東京下町殺人暮色」が積読なので、機会があったら引っ張り出して読もうかと。宮部さんは読み始めると一気にいけてしまうのに、読み始めるまでがぐだぐだしてしまう。重たいのがわかっているから拒否反応なのだろうか(苦笑)
かりさ | 著者別ま行(その他) | comments(10) | trackbacks(2) | 

『アーモンド入りチョコレートのワルツ』森絵都

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アーモンド入りチョコレートのワルツ
森絵都/角川文庫
十三・十四・十五歳。きらめく季節は静かに訪れ、ふいに終わる。シューマン、バッハ、サティ、三つのピアノ曲のやさしい調べにのせて、多感な少年と少女の二度と戻らない「あのころ」に語りかける珠玉の短編集。
ブルーの表紙がとても綺麗。このブルー色と同じように清々しく爽やかな印象。ガラスを通して見たようなキラキラした輝きがここには存在していました。

初森絵都さん作品です。今まで機会がなくて手に取ることがなかったのですが、なんとなーく私には合わないかな、と思っていたのです。試しに読んでみて意外にも相性が良かったようです。ただ…すごくいい!ってほどではなかったのが本音。それは森さんの描く世界が綺麗すぎてそれを真っ直ぐ受け入れるにはあまりに眩しすぎるからでしょうか。だからすんなりこの世界に入っていけないもどかさを終始感じていました。
でも思春期の子供を実に良く描いています。私の中学生の頃はどんなだったろう…といろいろと思い出しながら読みました。出来ることなら私も同年の頃にこれを読みたかった。そうしたらすぅ〜っと受け入れることが出来たのかもしれない。

本書は3つの物語が収められています。「子供は眠る」「彼女のアリア」「アーモンド入りチョコレートのワルツ」どれも気がついたら駆け抜けていた多感な時期を生きている男の子と女の子が主人公。気がついたら大切な何かを落としてきてしまった時期でもあります。それは大人になってからふと気がつくのだけど。出来るならばもう一度戻ってみたい、とこういう時考えます。戻ったところでどうこうする、という希望はないのですが今この大人の頭で戻ってみたら面白いだろうなぁ、と。他愛もないことですけれども(笑)
「子供は眠る」は毎年夏休みをいとこの別荘で過ごす。そんなある夏の出来事。毎年当たり前に過ごしていたいとこたちのとの夏…その夏に変化が起きる。明るく無邪気な男の子たち、このままこの明るい夏を描くのだろうか、と思って読んでいたら違った。実に切ないことが待ち受けていた。そう、こうして区切りをつけまた一歩を踏み出すのだ。ちょっぴり甘酸っぱい感覚を覚えながら読みました。
「彼女のアリア」は不眠症に悩む(1ヶ月も眠れないなんて!と彼は嘆いている)中学3年生の男の子。ある日その出会いはやってくる。旧校舎の音楽室から奏でてくる曲に惹かれて覗いてみると女生徒がピアノを弾いていた。その曲はバッハの"ゴルドベルグ変奏曲"。何でもバッハが不眠症に苦しむ伯爵のために作った曲なのだ!そして演奏している彼女も不眠症に悩んでいるという(なんと2ヶ月も!)。それから二人の絆が深まった。同病者同士として…ラスト泣きました。ぽろりと涙が伝いました。あぁやさしいなぁ、とちょっとささくれ立った心に沁みたような気がします。
「アーモンド入りチョコレートのワルツ」。一番好きな物語です。絹子先生が素敵。ちょっと風変わりな(いや、かなり)サティおじさんの登場でここでも変化が生じてしまうのだけど、その変化は決して悪いことなんかじゃなく密かな楽しみとして、そしてふわふわと浮き足立つような幸せを連れてきた変化。ここまで読んで初めて私は今まで視線を大人の視線のままで読んでいたことに気がつく。明らかに絹子先生の側で読んでいた。これを奈緒や君絵の目線で読んでいたら全く違う世界を感じることが出来る。そう、すっかり私も中学生の女の子に戻っていた。そういえば私もこんなことがあった、こんな風景を見た、絹子先生ほど変じゃないけど好きな先生がいた…一気に当時のことが流れ込んできて懐かしさでいっぱいになった。そうして初めて森さんの世界を感じることが出来たような気がする。

3編の物語それぞれピアノ曲がテーマになっています。ピアノ曲はほとんど雨の日や冬の夜に聴くことが多くて夏に聴くことはあまりないのですが、久しぶりにサティなど取り出して聴いてみたくなりました。

読了日:2005年8月16日
かりさ | 著者別ま行(その他) | comments(2) | trackbacks(3) | 

『れんげ野原のまんなかで』森谷明子

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れんげ野原のまんなかで
森谷明子/東京創元社
職員の目を盗んで閉館後の図書館に居残ろうとする少年たちが次々現われた。いったい何を狙っているのか? 新米司書・文子と先輩の能勢がめぐり合う、本の旅人たちの悲喜交々の物語。

すすき野原が生い茂る辺鄙な場所に建つ図書館を舞台に小さな日常系謎が繰り広げられる、連作短編集。図書館好きにはたまらない一冊かと思います。日常系謎なのであまり目立たない作品かもしれません。けれどもそこに見え隠れする人間の感情が実に繊細に織り込まれており読み終えた後、心のどこかをちくちくと刺すかのような後味感。全体的に優しくわかりやすいミステリなので入門書としては最適かと思います。

すすき野原がれんげ野原に様変わりする頃、発生する事件の始まりと終わりがなかなか美しく大好きです。シリーズ化される予感がしますが、次はもう少し毒のある事件を!と望みます。

読了日:2005年5月4日
かりさ | 著者別ま行(その他) | comments(2) | trackbacks(1) | 

『天使の卵』村山由佳

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天使の卵
村山由佳/集英社文庫
そのひとの横顔はあまりにも清洌で、凛としたたたずまいに満ちていた。19歳の予備校生の“僕”は、8歳年上の精神科医にひと目惚れ。高校時代のガールフレンド夏姫に後ろめたい気持はあったが、“僕”の心はもう誰にも止められない―。第6回「小説すばる」新人賞受賞作品。みずみずしい感性で描かれた純愛小説として選考委員も絶賛した大型新人のデビュー作。

ありきたりの恋愛。きっとこうなるだろうと予想したとおりの展開。でも切ない。愛する人を得た時、それを失うことの恐怖が同時に生まれる。そして年上の女性を好きになる男の心情みたいなものを文章として得ることが出来たのも、私にとってはちょっと良かったかな。そうそう、この作品の舞台が以前住んでいた所。出てくるお店や、建物など、懐かしく読みました。
文章を彩る表現が美しく、心地よく惹き込まれました。この『天使の卵』、模試の問題で使われたらしいです。ほぅ。(日記より抜粋)

読了日:2003年1月28日
かりさ | 著者別ま行(その他) | comments(0) | trackbacks(0) | 

『天国の本屋』松久淳+田中渉

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天国の本屋
松久淳+田中渉/かまくら春秋社
天国をご存じですか?そこには、本屋さんも喫茶店も、小さな公園もあります。もちろん、恋だって。この世からアルバイトで雇われたさとしは、緑色の目をしたユイを好きになります。でもユイには人に言えない秘密が…。はたして、ふたりの恋のゆくえは?悲しいことも、死にたいほどに辛いことも楽しくなるラブ・ストーリー。
ファンタジックでなかなか素敵な作品でした。絶対こうなるだろう、という期待をある意味違う角度で裏切られました。この辺大人になってしまったということを痛感。詰めが甘い、と言ったらそれまでです。「泣けます」の他人の感想文に過大な期待をしてしまったのも悔やまれます。でも忘れかけていた無垢な部分が自分の心に染み出してきてそのうっすらとした色や形にハッとさせられる…そんな感覚。冒頭の文章がどうリンクされていくのか。それに気が付いたときの自分の反応もなかなかに味わい深いものでした。気になる人は是非手にとってみてください。単行本でも小さなサイズだし、挿絵もほんわかしているので、読んでいてホッとします。この話の続編として2作目・『うつしいろのゆめ―天国の本屋2』、 3作目・『恋火』(2002.9.12刊行)が出ています。どうやらそれぞれ違う物語のようです。舞台は一緒なのでしょうか。気が向いたら手にとってみようかと思っています。 (2002.9.9)

かりさ | 著者別ま行(その他) | comments(0) | trackbacks(0) |