2012.05.10 Thursday
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読書のコトとちょっぴり日々のコトブログ
「お前ら、いつか結婚するぜ」そんな未来を予言されたのは小学生のころ。それきり僕は彼女と眼を合わせることができなくなった。しかし、やりたいことが見つからず、高校を出ても迷走するばかりの僕にとって、彼女を思う時間だけが灯火になった…“未来予報”。ちょっとした金を盗むため、旅館の壁に穴を開けて手を入れた男は、とんでもないものを掴んでしまう“手を握る泥棒の物語”。他2篇を収録いつもの「せつない」と称される雰囲気ではなく、どちらかというと今までの感情の起伏が今回はなし。淡々と痛々しく漂う感覚。一番好きなのは「フィルムの中の少女」。そして「失はれた物語」の重々しさからあとがきへと流れる重さが軽くならず、乙一という作家の叫びをそのまんま聞いたような痛々しさをもって本を閉じました。そこまでカラーを持続させることが氏の意図だとしてもやっぱり痛みを感じずにはいられませんでした。社会に関われば色んな軋轢の中で精神が疲れ、社会から遠ざかって組織に組み込まれないフリーな生活をすればしたで焦燥感や不安との闘い、生きているということは大半が辛いということ。しみじみ感じました。
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