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『スラムオンライン』桜坂洋

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スラムオンライン
桜坂洋/ハヤカワ文庫
Aボタンをクリック。ぼくはテツオになる−現実への違和感を抱えた大学1年の坂上悦郎はオンライン対戦格闘ゲーム<バーサス・タウン>のカラテ使い・テツオとして最強の格闘家をめざしていた。
いつもと変わらぬかきわりの青空、バーサス・タウンはいつも晴れている。ターコイズブルーの空にバターロールのような雲が浮かんでいる。頂点へと上るため今日もテツオは戦う。バーチャルの世界で。
リアルの世界とバーチャルの世界を比べたら社会や他人との煩わしい関わりよりも、自分の都合良く世界が回り現実よりもはるかに刺激のあるゲームの世界のほうが居心地が良いのかもしれない。そうしてバーチャルに飲み込まれ帰ってこれなくなる。本書はその狭間で揺れる青年の成長を描いているのだろうと思う。視点が曖昧ゆえ感じるものは読み手それぞれ違うだろうし、賛否両論ありそうな作品。面白いと感じる人もいればどこが?って人もいそうですね。私は肯定的なんです。リアルもバーチャルもわかるから。だから主人公悦郎の気持ちもわかるし、恋人(に発展しそうな段階ですが)布美子の気持ちもわかる。
面白かったのは、悦郎が彼の誕生日にディナーの予約をした布美子に「その日は予定がある」と断り、まさか別の女と…とショックを受ける布美子に「そうじゃない」と言いながらその理由を言えずますます誤解を受けてしまう場面。その日はバーサス・タウン最強の格闘家を決める武闘会があったのだ。もちろん最強をめざすために戦い続けてきた悦郎にとっては絶対はずせない訳。でもそれを布美子がわかってくれるか自信もない。「なにそれ?」と一蹴されるのを恐れている。自分の時間も大事、布美子も大切、ここでも狭間に揺れる男の子の不器用な恋愛が描かれていて実に微笑ましい。

ゲームってものすごい魔力があって、はまりだすとなかなか抜けられない。私もゲーム大好きだし、一時は(FF7やFF8の時代は特に)はまりにはまって現実に戻る時間のほうが少なかったくらい。ゲームをしない人には異様な生活だと思う。健全じゃないと思う。でもやっている本人はその過程いかにプレイするか、宝箱を一つ残さず開けるか、イベントを見逃さないようにするか、すごく重要なことでありどれか一つでも欠けたらそりゃぁもうショックで立ち直れないくらい。ただここで言っているゲームはゲーム機対自分のプレイなので、本書の舞台であるオンラインゲームとは異なりますが。ちなみに私はオンラインゲームは苦手です。ゲームで誰だかわからない人間と会話したり戦ったりなんて面倒だし煩わしい。だからもっと内に篭った陰湿タイプなのかも(笑)

バーチャル世界に行きっぱなしになりそうな悦郎はやがて布美子によってリアルの世界の楽しさも感じられるようになります。その辺りの変化が唐突でちょっと無理があるのですが、それでも二人の未来の先が明るそうで微笑ましい。人間がなぜ惹かれあうのか、違うタイプの悦郎と布美子が何故分かり合えないと感じながら惹かれてしまうのか、この辺りの記述は感動するくらい素敵な言葉が待っています。大学生よりは対人関係の経験も嫌と言うほど思い知らされている私も納得しながら読みました。
また布美子が悦郎がはまる世界を理解しようと懸命なのもいじらしく可愛い。そう、女は男を振り回すだけじゃなく、男の世界も理解してあげようと努力しなくてはね。
本書は読み方によっては深く掘り下げることの出来るなかなか深い作品なのです。

読了日:2005年7月14日
かりさ | 著者別さ行(その他) | comments(0) | trackbacks(1) | 

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ラノベ365日  at 2005/08/30 5:16 PM
スラムオンライン/桜坂洋
『スラムオンライン』 桜坂洋 ハヤカワ文庫 【格ゲー好きの廃人にもなれない凡人の話】 いたる所で絶賛されてるのは知ってますし、 桜坂フリークからの反感を想像するがあえて言おう。 ゚Д゚)つまらん 初っ端、ただAボタンを押すだけの描写に、 わざわざ1ペー
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