ひなたでゆるり

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『図書館の神様』瀬尾まいこ

4838714467
図書館の神様
瀬尾まいこ/マガジンハウス
アクシデントで夢をあきらめ、傷ついた心を抱え、国語教師としてある高校に赴任したヒロイン清(きよ)。彼女が学校の図書館で出会ったひとりの男の子、垣内君。どこからでも海の見える明るい高校で、瑞々しい物語が始まる…。

清く正しく生きることに重きを置く、清(きよ)。正義感に満ち溢れそれを信じて疑わない少女にしかしそれを打ち砕く事件が起きる。それでも少女の頃に打ち込んだものはキッパリ忘れられない。どうにかして繋がっていたい一心で高校の講師になる。どうでも良いのだ、特に指針があるわけじゃない。そんななげやりな清。正義を語ろうにも語れない。
やりたくもない仕事をいい加減にこなしている。
だらしない恋愛におざなりに埋もれている。

清さと正しさが薄れてしまった結果がこれなのだとしたら、何て安易な選択なのだ。そんなとげとげした気持ちで読んでいる自分に気がつきながらも振り切れず悶々と読む。きっぱりと過去を振り切れるほど強い人間はそうそういない。誰しも何かを引きずって生きている。清がどれほどそれから断ち切れずにいるか、もう少しすると分かる。そこに差し掛かり徐々に事情が分かると、とげとげがいつのまにかまんまるくつるつると穏やかに変化している自分いた。そんな自分を感じたとき、これが瀬尾さんなんだ、と妙に感じた。何がどうとか言えない漠然としたもの。ふわりと舞い降りる優しいもの。

清は宙ぶらりんな自分をごまかすかのように浅見さんを愛する。責任のない付き合い。こんなところに清の心許無さがうかがえる。しかし浅見さんは清が必要とした時、清を一番として駆けつけてくれはしないのだ。そうしておいて残酷な言葉をどんどん発する。それが澱となって積もるごとに悲しいかな、逆にますます離れられなくなる。しかし、不本意にも文芸部の顧問になり垣内くんに出会ったことが清の転機となる。文学を知り、その奥深さを感じることにより自分を見つめなおし、認め、一歩を踏みしめる力もみなぎる。そしてそれを見守る弟の拓実くんも魅力的なのだ。

瀬尾さん作品はこれで2作目。最初に読んだ「幸福な食卓」があまりにも衝撃的で深い痛手を負ったので(かなり深刻だったのだ、私は)少し時間を置いたほうが良いと判断、その後古書店で本書を見つけ購入してからもまだ読めず、ようやく数ヶ月後手にとることに。久しぶりに瀬尾さんの文章に触れてみて、最後まで読んで、あぁやはりいいものを書くなぁとしみじみした。唐突に目に飛び込んだ手紙にこれまた唐突に涙が溢れ字が滲んで霞んだ。だから瀬尾さんはずるい。こんな風に最高の結末を用意するんだから。清がこれからどんな文学に出会い、それをどう授業に活かすのか。清先生のこれからがとっても気になる。いつかまた彼女や彼らに出会えたらいいな、と思う。

読了日:2005年9月24日
かりさ | 著者別さ行(瀬尾まいこ) | comments(21) | trackbacks(10) | 

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COMMENTS

Posted by sonatine  at 2005/09/25 9:45 AM
はじめまして!
私も全く同感です!幸福な食卓はずどーん!ってきましたね。
でも、図書館の神様はよんでいてあったかい気持ちになれます。
今度は「天国はまだ遠く」を読んでみたいと思います。
TBさせてもらいました。
Posted by sonatine  at 2005/09/25 9:47 AM
はじめまして!
私も全く同感です!幸福な食卓はずどーん!ってきましたね。
でも、図書館の神様はよんでいてあったかい気持ちになれます。
今度は「天国はまだ遠く」を読んでみたいと思います。
TBさせてもらいました。
Posted by june  at 2005/09/25 2:05 PM
リサさん、こんにちわ
瀬尾さんの作品の中では、これが一番好きです。
ラスト、あの手紙があって、本当によかったですー!
でもこれを読んで、文学作品をきちんと読んでこなかったことに
今更気づきました・・。
Posted by リサ  at 2005/09/25 10:25 PM
★sonatineさんへ
sonatineさん、はじめまして♪
コメントとトラックバックありがとうございます!
同感、と言ってくださって嬉しいです〜。
「幸福な食卓」はかなり衝撃を受けてしばらく思い出しては
どよ〜んと沈んでいたりしていました。
「図書館の神様」は本当に読後がふわっと軽やかになりました。
私まだ2作しか読んでいないので、他の作品も近いうちに
読破したいと思っています。
後ほどsonatineさんのところへ伺いますね♪
これからよろしくお願いいたします(*^-^*)
Posted by リサ  at 2005/09/25 10:32 PM
★juneさんへ
juneさん、こんばんは♪
いつもありがとうございます(^−^)
juneさんはこれが一番のお気に入りなんですね〜。
まだ2作しか読んでいないので早く他作品にも
触れてみたいです。瀬尾さんの紡ぎだす物語…
次はどれを読もうかわくわくしています。
手紙にはまいりましたーもうボロ泣きでした。
文学はやはりしっかり読んでおくべきですよね…
私も改めて実感しているところです。
Posted by sonatine  at 2005/09/26 11:18 AM
コメント、TBありがとうございます。
ブログリストの方に登録させていただきました!
これからもよろしくお願いしますm(_ _)m
Posted by リサ  at 2005/09/27 8:46 AM
★sonatineさんへ
sonatineさん、おはようございます♪
リストへの登録をありがとうございました。
こちらこそこれからよろしくお願いいたします♪
また伺いますね〜(^−^)
Posted by boo  at 2005/10/01 1:12 AM
はじめまして。瀬尾さんのお話はなんだかほわっとしますね。こういう本は大好きです。「幸福な食卓」と、「図書館の神様」は読んだのですが、「優しい音楽」は図書館の予約待ちです。早く来ないかなぁ。。。
最近残念だったのはせっかく図書館で予約して、やっと手に届いた加納朋子さんの本が…忙しくて読めず期限が過ぎてしまったことです。
いい本をさがしにまたお邪魔します♪
長々と失礼しました。。。
Posted by リサ  at 2005/10/02 1:27 AM
★booさんへ
booさん、初めまして!こんばんは。
瀬尾さんの雰囲気好きです。結構リアルに書いているのだけど、
そう感させない書き方、さすがです。
『優しい音楽』私も図書館へ予約入れようと考えています。
加納さんの本、残念でしたね(>_<)
また出会ってその時は読めるといいのですが…。
私もまたゆっくり図書館へ行こうと思います。
是非またいらして下さいね♪
Posted by トラキチ  at 2005/10/02 8:14 PM
リサさん、こんばんは♪
ごぶさたしております。
お元気でしょうか。

『図書館の神様』読まれたのですね。
実質的な出世作と呼ばれている作品で本当に思い出深いです(笑)

それにしてもいい男の子ばかり出てきますね。
読むたびに度肝を抜かれているのは私だけかな(笑)

もう1冊読まれたら投票お願いしますね。
Posted by リサ  at 2005/10/03 10:46 PM
★トラキチさんへ
トラキチさん、こんばんは!
こちらこそご無沙汰していました。元気ですよ〜(*^-^*)
毎日トラキチさんのところへは伺っているんですが、いつも読み逃げ…。

『図書館の神様』はそのタイトルに惹かれながらなかなか
読む機会が得られず、ようやく読了できました。
いつも思うのは早く読めば良かったーです。
人気ある瀬尾さんの作品は図書館では滅多にお目に
かかれないので、こりゃもうハードカバー買うしか
ないのかなぁなんて思うこの頃。
そんな作家さんが年々増えていてさらに本を増やしています。

瀬尾さんは男の子を描くのが上手い!
息子にそれをつい求めてしまうのはちょっと無謀でしょうか(笑)
投票、期日が過ぎてしまいましたが大丈夫でしょうか。
Posted by とも  at 2006/09/27 9:31 AM
3冊、制覇しました。
どの本も本当にステキな本で
心にしみました。

TBさせていただきます。
Posted by リサ  at 2006/09/27 9:42 PM
★ともさんへ
こんばんは!
おお〜読まれたのですね!読んで下さってありがとうございます。
ともさんに差し上げて良かったです♪
『図書館の神様』は本当に良かった。
瀬尾さんここ最近ご無沙汰なので、また何か読んでみようかしら。
TBありがとうございました。
Posted by May  at 2006/10/05 10:45 AM
リサさん、こんにちは♪ また、おじゃましちゃいました〜。
かわいい名前に惹かれて初めて読んだ作家さんでしたが、
そよ風のような軽いタッチの中にも、なんともいえない味わい
深さがあって、とてもよかったです。
そう、弟・拓実くんのキャラ私もすきですね〜。
最後で語られる、垣内くんの文学に対する思いには共感しました☆
次は、どの作品を読もうかな?
Posted by リサ  at 2006/10/05 10:31 PM
★Mayさんへ
Mayさん、こんばんは!
コメントくださって嬉しいです♪
瀬尾さん初めて読まれたのですね。
私もそれほど多くは読んでいないのですが、
やはり瀬尾さん独特の味わいが好きです。
弟くん良いキャラですよね〜。ああいう弟欲しいです(笑)
瀬尾さんの別の作品で衝撃を受けてしばらく読めずにいたのですが、
この作品のおかげで少しその痛手から開放されました。
Mayさんは次何を読まれるのかしら?
また教えて下さいね。
Posted by リン子  at 2006/11/11 2:22 AM
リサさん、こんばんは。リン子です。

リサさんのおっしゃる通り、本当に瀬尾さんはズルイですよね〜。あんな素敵な結末を用意してるんなんて。ラストの手紙、体の力が抜けてしまって、涙が止まりませんでした。眠る前に、あんまり泣かせないで欲しいな…。寝起きの顔、目が腫れて、それはそれは汚いんですもの。自分で言うのもなんですけれど…。

瀬尾さんの作品は「幸せな食卓」以来でしたが、他のもすごく読んでみたいです。

話しは変わりまして、古処さんの「ルール」ですが、残念ながら貸し出し中でした。なので、予約入れて来ましたよ。
私、今まであまり戦争ものは読んだ事がないんです。だから、リサさんのようにトラウマはないのですが、実際に読んでどう感じるのか、それは読んでみないとわからないですね。もし大丈夫だったら、「遮断」とかも読んでみたいと思ってます。

明日から読む本が無い事に、今、気付いてしまいました。どうしよう…。なんだか、ものすごく心許無い気分です。
本棚から未読のものを引っ張り出そうかとも思いますが、なんだかそんな気分じゃないな…。すでに頭ん中は「ルール」を読む準備が万端なのにな。

またまた話しは変わるのですが、私、図書館に行く時は普通の格好(なるべく男性の)をして行くようにしてるんです。というのも、以前、出勤前に女装をして行った事があるのですが、なんだか、自分でも悲しくなるぐらい浮いてる事に気付いてしまいました。皆さん静かに読書されてたのに、私の登場で落ち着きを無くされてしまって、それはそれは申し訳ない気持ちになったんです。でも、考えたら当たり前ですよね。営業用のどぎつい化粧したオカマが不意に図書館に現れたりしたら、あたしなら一目散に逃げるわ!!
あの時は、本当に反省してしまいました。という事で、それ以来、図書館へ行く時は地味な格好を心掛けてます。

またまた余計な話しでスミマセンです。
では、リサさん、また御邪魔させてもらいますね!
Posted by リサ  at 2006/11/13 4:39 PM
★リン子さんへ
リン子さん、こんにちは♪
お返事が遅くなりました。ごめんなさい。
リン子さん読まれたのですね〜。
これ、素敵ですよね。そしてズルイ(笑)
もう、不意打ちだったので涙が溢れて溢れて…困りました。
『幸福な食卓』も泣いてしまったし…。
昨日文庫になったばかりの『天国はまだ遠く』を買ってきました。
楽しみです。

『ルール』貸出し中だったのですね。早く順番が回ってくるといいですね。
早く読んで欲しいなぁ。『遮断』も素晴らしいです。
今は何を読まれているのでしょう〜。

リン子さんの図書館話し読んでいてぎゅっとしたくなりました。
リン子さんのことは女性としてやり取りさせてもらっているので、
こう同性同士のハグみたいな、そうしてあげたい!って
気持ちになってしまいました。
そんな…申し訳ない気持ちになってしまうだなんて、リン子さん
お優しい方なんですよね。周りの雰囲気をいち早く察してしまうくらい
気遣っておられるのだな、と思うと「もうもうもう〜リン子さんったら〜」
ってなってしまいます。
(って何を書いているんでしょうね。意味不明ですね(笑))
リン子さんのいろんなお話、新鮮で私毎回楽しみにしているんです。
そこにはリン子さんのご苦労も垣間見てすごく勉強になります。
リン子さんのことをもっと良く知るためにオススメいただいた
船戸さんの作品も早く紐解きたいです。

ああ!長々と書いてしまいました…。また是非お話ししましょうね〜。
楽しみにしています♪
Posted by 苗坊  at 2006/12/15 5:30 PM
こんばんわ^^
TBさせていただきました。
最初の頃の清は嫌いでした。
でも、垣内くんにであってからは、だんだん成長してるような気がしたんですよね。
清のことに敏感で、気にかけてくれる拓実くんも魅力的でした。
Posted by リサ  at 2006/12/16 7:45 PM
★苗坊さんへ
こんばんは!
コメントとTBありがとうございます♪
そうですね、私も始めの清は何となく好きになれず
このままの気持ちでどう読んでいこうかと不安でしたが、
それは杞憂でした(笑)
瀬尾さん上手いですよねぇ。優しい作品に仕上げてます。
そう!弟の拓実くんが良いんですよね。本当に魅力的でした。
Posted by す〜さん  at 2007/02/09 10:42 PM
この作品は読み終わった後、
とても清々しい気分になれました。
もちろん重い部分もあるんだけど
最後、なんか救われたなぁ〜って感じで。
垣内くんみたいな生徒に出会えたことが
清の一番の出来事かもしれません。
Posted by リサ  at 2007/02/11 12:36 PM
★す〜さんへ
こんにちは!
コメントとTBありがとうございます♪
本当にこの作品は素敵ですよねぇ。
そう!清々しい気分です。
瀬尾さんって重たいテーマも織り交ぜながら、
ちゃんと爽やかさも感じさせてくれて。上手いなぁと思います。
垣内くんとの出会いが清にとっては幸福でしたね。

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