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『ネクロポリス』恩田陸

4022500603ネクロポリス 上
恩田 陸
朝日新聞社
2005-10-13

by G-Tools

4022500611ネクロポリス 下
恩田 陸
朝日新聞社
2005-10-13

by G-Tools


懐かしい故人と再会できる聖地、アナザー・ヒル。死者たちを「お客さん」と呼び、温かく迎えるヒガンという祝祭空間。連続殺人、不可思議な風習、天変地異、そこに新たな事件が−。

恩田さん独特のファンタジーとミステリーの融合、読み始めは先に待ち受けるものへの期待と楽しみでわくわくだったのが、次第にホラーを帯びてきてこれがまた怖いもの見たさで高揚感は増すばかり。読後の今も沸々と湧き上がる怖さを拭えずにいる。読み終えてもなお持続するこの感情はどう処理したらいいのだろう。

独自に作り上げた世界なので、まず頭をまっさらにして読み始めないと理解できないし、なかなか馴染むことも出来ないかもしれない。それは独自な世界でありながら、日本とイギリスの文化が入り混じる、という設定なので日本の古来から伝わる行事や建物などの名前がちらほら出てくるからである。それらを取り混ぜながらの不思議な世界に読み手は惑わされながらもすっかり入り込んでしまうのだ。

死者と精霊が現れる場所、アナザー・ヒル。ヒガンの頃Vファーの人々はアナザー・ヒルを訪れる。それは「お客さん」に出会うため。「お客さん」とは故人である。死者が見える→幽霊→恐怖感、という構図が出来上がってしまっている私としたらこんな世界はとんでもない。けれども死者と会うことはここではごく自然なことである。例えば愛する人が突然死んでしまったら…また一目会いたいと願うだろう。それがここでは実現するのだ。「お客さん」はごくごく自然に現れる。それは恐怖感などみじんも感じず、むしろ温かな懐かしい気持ちに満たされる。ふと読みながら今は亡き人々のことを思っていた。こうして死者を静かに弔うのかもしれない。アナザー・ヒルでは会いたい「お客さん」全てに会えるわけでなく、むしろ会える確立は低いのだけど。だがそんな風習も時代の流れと共に変わりつつある。現在の私たちのようにVファーの人々もそんな風習から遠のきつつある。その流れがアナザー・ヒルを変えていく。その行き着き先に待ち受けるものとは…意外な事実がそこに待っている。

イギリスと日本の古来の文化を見事に融合させた壮大な物語。ミステリーよりはホラーに近い感覚。大変贅沢なひとときを過ごさせてもらった。読み終えて紅茶を飲みたくなるか、緑茶を飲みたくなるか…さてあなたはどちらでしょう。

読了日:2005年10月29日


ちょっと余談…

★朝日新聞社の本のサイト:OPENDOORS「ネクロポリス」のページがあるのですが、いつの間にflashになっていた。これを読むと少しアナザー・ヒルがわかりやすくなるかもしれない。わりと詳しい解説が紹介されています。

★本書に登場する「踊る九尾の狐亭」や「笑うゼンマイ亭」などのやたら長く奇妙な名前のパブ。これはイギリスでは珍しいものではなくこんな名前のパブがあちこちにあるのだそう。マーサ・グライムズという作家の作品にもそんな奇抜な名前のパブがタイトルとしてつけられていたりする。「禍いの荷を負う男」亭や「化かされた古狐」亭など。本書でもそんなイギリスの面白い部分が書かれていてちょっとにんまりしてしまったのでした。
かりさ | 著者別あ行(恩田陸) | comments(8) | trackbacks(5) | 

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COMMENTS

Posted by とも  at 2005/11/01 1:55 PM
こんにちは(^^)

OPENDOORS見てきました。
この表紙の通り、不思議な世界ですよね。
アナザー・ヒルって。

文章を読んでいると不思議な世界は頭の中で広がるんですか?

先日本屋に行ったらこの本置いてなかったです。
売り切れるくらい人気ということでしょうか。
図書館予約してきます。
Posted by boo  at 2005/11/03 2:36 AM
お久しぶりです。
昨日「ネクロポリス」と重松さんの「その日の前に」を買いました。ほんとは図書館で借りたかったんですが、何百人待ちはチョット。。

今の悩みはどっちから読もうかということです。ただ、「ネクロポリス」はホラー色がつよいということですが…。ホラーそんなに得意じゃなくても平気ですか?
Posted by リサ  at 2005/11/03 3:22 PM
★ともさんへ
こんにちは!お返事が遅れてごめんなさい(>_<)
恩田さんって本当に想像力豊かだなぁーとしみじみ
思いながら読んでいました。
そのくらいこの世界観は壮大です。
ちゃんとミステリーもあってちょっとホラーで…楽しめる人には
かなり面白い話だと思います。私は思いっきり好みです♪

私はものすごく妄想癖のある人で(笑)読んでいると
いくつものストーリーが広がってしまうんです。
なので、こういうファンタジーな話しはいくらでも想像できるので
不思議な世界は広がりすぎるくらい広がってました〜。

平積みでもないのだとすると、人気あるのかしら?
予約の状況はどうですか?早く読めるといいですね(*^-^*)
Posted by リサ  at 2005/11/03 3:26 PM
★booさんへ
こんにちは!コメントありがとうございます♪
こちらこそご無沙汰してしまって…ごめんなさい。
読み逃げばかりです(>_<)
『ネクロポリス』と重松さんの新刊買われたんですね!
うわー予約そんなにですか!?すごいですねぇ。
私もそれを予想していたので、早々に買ってしまいました。
是非是非ネクロポリスから読んでみてください〜。
(重松さんの新刊は未読です(汗))
ホラーっぽいと書きましたが、スプラッタがあるわけでないし、
ちょっと背筋が寒いかなぁというくらいなので大丈夫です。
ミステリーなんだけど、ホラーっぽくもあるって感じです。
不思議な世界にbooさんも浸ってみてください♪
Posted by 島森  at 2005/12/17 12:20 AM
コメントまでありがとうございました。
リサさんの乙一カテゴリの充実ぶりが素敵です。
乙一はミステリの構成は上手いのに、人と上手く距離を取れないキャラクタのぎこちなさがくすぐったくて、スイスイ読めないので、リサさんほど読めてないのですが、挑戦してみます。

Posted by リサ  at 2005/12/17 11:21 AM
★島森さんへ
こんにちは!コメントありがとうございます♪
乙一さん大好きです!
確かに読んでいると苦しくなることありますが、
そこがまた好きな部分かもしれません。
少しずつ乙一ワールドに浸ってみて下さいね。
また是非入らしてください〜(*^-^*)
Posted by 苗坊  at 2006/04/16 8:09 PM
はじめまして。
苗坊と申します。
恩田さんの作品がたくさんあったので、TBさせていただきました^^
この作品は、ずっと読みたいと思っていて、読み終えたときは、ほけ〜っとしてしまいました。
凄い世界観だなぁと思いましたね。
また、お邪魔させてください^^
Posted by リサ  at 2006/04/17 12:14 AM
★苗坊さんへ
はじめまして!こんばんは。
コメントとTBありがとうございました♪
嬉しいです〜。
壮大な世界観ですよね。さすが恩田さんだなぁ〜と
読了後、私もボーっとしていました。
こういう世界に触れることが出来ること幸せですね。
苗坊さんのところへ伺いますね。
これからよろしくおねがいいたします(*^-^*)

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oser  at 2005/12/06 2:00 PM
同情だけでニュースを見続けるのはもう沢山
そういう方向け。 世の中には時として完全に世間の流れとは隔絶した、独立独歩の天才ってのが出てくるものなのよ、芸術にも科学にもビジネスにも。 今回はそれが犯罪界に現れちゃったってだけの話 『フロイドと夜桜』ってジュリーの『危険な二人』みたい。
苗坊の読書日記  at 2006/04/16 8:01 PM
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*モナミ*  at 2007/01/09 10:44 PM
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necropolis=(特に古代都市の)大(共同)墓地 『麦の海に沈む果実』と似たような、 閉ざされた空間での、異体験。 イギリスと日本の文化が交じり合った不思議な国、 V.ファー。 そこで繰り広げられる、想像し得ないできごと。 霊界との融合、というの
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!  at 2007/03/14 11:45 AM
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ネクロポリス 上 ネクロポリス 下 ■やぎっちょ書評 大作、ですね。上下巻で約800ページ。各1800円。最近少し厚い小説(単行本)は1800円が相場のような感覚があります。 白い表紙をめくると出てくるアナザー・ヒルの昼と夜の絵。表紙をめくったところに描かれてい
AOCHAN-Blog  at 2007/10/11 9:27 PM
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タイトル:ネクロポリス 著者  :恩田陸 出版社 :朝日新聞社 読書期間:2007/08/09 - 2007/08/20 お勧め度:★★★ 上巻 → [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ] 下巻 → [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ] 懐かしい故人と再会できる聖地―アナザー・ヒル。死
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