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『東京バンドワゴン』小路幸也

4087753611
東京バンドワゴン
小路幸也/集英社
下町の老舗古書店「東京バンドワゴン」。ちょっと風変わりな四世代の大家族が、転がりこんでくる事件を解決する。おかしくて、時に切なく優しい、下町情緒あふれる春夏秋冬の物語。

さて、「東京バンドワゴン」と聞いて何を想像するだろうか。バンドワゴンである。勝手な想像なのだが何か劇団の名前かと思っていた。劇団かぁ(←もう劇団話しと決め付けている)ちょっと興味は湧かないが小路さんの作品だしなー(小路さんは2作品読んでいるがどれも好きである)と図書館から借りてみた。
読み始めた。あれ?これ古本屋が舞台だったのか。古本屋ならば話しは別。絶対面白いはず。小路さんだし。そうなったらもう一気読みである。語り手である堀田サチのやわらかな優しい語りに引き寄せられ、東京下町人情物語を堪能したのである。

いや〜面白かった!小路さんってこういうのも書くのかぁ〜と驚きながらも新鮮な気持ちで読んだ。正直最初に書かれている登場人物の多さに辟易したものの、そんな不安はどこへやら。ちょいと複雑な事情を抱えつつも、わいわい賑やかな家族たちにすっかり溶け込んでしまっていた。
何といってもお気に入りは我南人(「がなと」と読む)である。伝説のロッカー、らしい。ロックンローラーを愛する男、60歳である。「LOVEだねぇ」と語る彼はとっても素敵なんである。時々?なこともあるが、それも全て魅力のうち。飄々としていながら実はやるときゃやるのだ。金髪に染めた長髪を黒短髪にする場面があるのだが(私ここできゃー!と頬染めてしまった。きっとカッコ良いに違いないのだから!)ここのお話しが実に感動的。涙ほろりである。我南人さんちゃんと考えているし、家族のことも愛しているんだよねぇ。LOVEだねぇ。

ここでは春〜冬にかけての東京バンドワゴンが、いや堀田家が語られる。四季折々にちょいと風変わりな事件や謎が持ち上がりそれを解決する堀田家の面々。そして店の常連客たち。日常系ミステリになるのかな、それらが人情を絡めて気持ち良く解決されていく。綺麗にまとめられていて心地良くひとつひとつが収まってゆく。意地悪く言えば面白みがないのかもしれない。ここには悪人が存在しないから。だがこれでいいのである。だって小路さんの描く世界はいつだってそうなのだから。そして私もそれが好きなのだから。

やはり古本にまつわる話しは良い。わくわくする。ああ、いいな古本屋。大好きな神保町界隈を懐かしく思い少ししんみりしてしまった。
読み終えておもむろに物置部屋の本棚の前に立つ。奥にしまわれた古本を手に取る。中井英夫の『幻想博物館』。函入りの初版である。神保町にある小宮山書店で購入したもの。数年前に寄ったところこの初版本を見つけ即買いしたものである。『幻想博物館』の初版本と知ってしまったらもう書架に戻せなかった。そのまま大事に抱えて奥のレジへ持って行った。オレンジの函に収められた黒い表紙に銀文字のタイトル。どこの誰がこの本とともに過ごし、手放すに至ったか…そんな想像が出来るのは古本ならでは。古書店はいつどんな本とどんな出会いが出来るか分からない冒険の場所である。宝探しに胸躍らせるあの何ともいえない高揚感は一度味わってしまったら何度となく懐かしさでいっぱいになり胸疼く。私はまたそんな日が訪れるのを心待ちにしているのだ。

読了日:2006年7月27日


とっても素敵な作品でした。どうやら続くような感じですね。ぜひぜひ続編書いてください!小路さん。この作品はとにかく珈琲が飲みたくなります。読みながら何度も珈琲を入れに立ちました。今度はどんな事件が待ちうけているんでしょう。今から楽しみです(←続編が出るつもりになっている)
かりさ | 著者別さ行(小路幸也) | comments(16) | trackbacks(11) | 

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COMMENTS

Posted by rocket  at 2006/07/28 2:14 PM
Loveだねぇ。
感想にもLoveが溢れているねぇ。
この本とリサさんの過去の記事のおかげで、小路幸也という作家に、激しく興味を持ってしまったわけだねぇ。
これもまたLoveだねぇ。
だから近いうちに「Heartbeat」を読もうと思ってるんだよねぇ。
押しかけ嫁さんのみすずさんも、オレ的にはLoveだよねぇ。

ところでこの口調は移るんだよねぇ。
Posted by リサ  at 2006/07/28 2:50 PM
★rocketさんへ
そうLOVEなんだねぇ。
小路さんの作品はそういえばぁ、みんなLOVEが溢れているねぇ。
オススメなんだよねぇ。
「Heartbeat」は特にいいんだよねぇ。
いいねぇ、みすずちゃんにLOVEとはねぇ。
こんな嫁さんがいたら毎日楽しいねぇ。
LOVEだねぇ。
また続きを読みたいものだねぇ。

口調がぁ、同じく移っちゃったみたいだねぇ。
Posted by トラキチ  at 2006/07/30 3:33 AM
リサさん、こんばんは♪
連続コメントさせていただきますね。
この作品って懐かしい雰囲気を醸し出していますよね。

あんまりテレビでドラマ見ないんだけど(といいつつ下北サンデーズは見てます)、本作のようなドラマがテレビであればみたいなあという気にはさせられますよね。

サチ役のナレーションを誰がするかによってもかなり雰囲気が違うなとは思います。

リサさんの感想を読ませていただいて、私も神保町界隈行って見たくなりました。

グランプリのご投票ありがとうございました。
よければ、チョコビ2もお願いします。
Posted by リサ  at 2006/07/30 10:44 PM
★トラキチさんへ
こんばんは!こちらにもコメント嬉しいです♪
いいですよねぇ、昔のホームドラマのようで。
亡くなられた久世さん&向田さんコンビのあのドラマの
雰囲気を感じました。あのお二人へのオマージュなのかな?
なんて思ったりしましたが…。
私は世代的に(少しずれる)あのドラマは見ていないのですが、それでも何となく雰囲気は伝わります。

サチ役は勝手に八千草薫さんをイメージしていました。
吉永小百合さんのお声でも良いのですがそれだと少し若くなってしまうかしら。八千草さんに失礼ですが…。
それでも何となくおっとりしていて優しいサチのイメージが八千草さんなんですよねぇ。

古書店のお話しを読むとやっぱり神保町が恋しいです。本好き(ただし古書好き)にはたまらない場所ですね。
そうそう、チョコビ2(何だか可愛い呼び名)の投票もしなくては。後ほど伺いますー。

あ!下北サンデーズ、私も見ています(*^-^*)今は見ているドラマはこれだけです。
Posted by ゆーらっぷ  at 2006/08/02 1:17 PM
トラックバックさせていただきました。
還暦過ぎの伝説のロッカー我南人は 私の頭の中では内田裕也でした。(*^_^*)
かっこいいですよねぇ。この家族全部がかっこいい。古本屋と併設したカフェ。私も行って美味しいコーヒーを飲みながら 本のページをめくりたくなりました。
小路幸也は 私も最近気になり始め これで4冊目です。
Posted by リサ  at 2006/08/02 5:13 PM
★ゆーらっぷさんへ
こんにちは!コメントとTBありがとうございます♪
そうそう!私も内田裕也を思い浮かべていたんですよ(笑)
いいですよねぇ、我南人さん(*^-^*)
また是非続編でみんなに会いたいです。
小路幸也さん、私もまた未読の作品を読んでみようと思っていますー。
あと何冊かしら?調べてみなくては!
Posted by Roko  at 2006/08/30 11:10 PM
リサさん☆こんばんは
やっぱり「Love だねぇ!」
我南人さんカッコイイですよねぇ!
ドラマにして欲しいし、続編も読みたいなぁ。(#^.^#)
小路さんの他の作品も読んでみようと思います。
Posted by リサ  at 2006/08/31 4:20 PM
★Rokoさんへ
Rokoさん、こんにちは!
いいですよねぇ、我南人さん。大好きです!
「Loveだねぇ」最高です。
このままもうドラマになっちゃいそう。
是非観て見たいものです。
小路さんの作品、私もまだ3作しか読んでいないのですが、
他の作品も追いかけていきたいです。
Posted by す〜さん  at 2006/09/03 8:49 PM
TBさせていただきました。
続編・・・いいですね〜。
初めてよんだ作家さんですが、
他の作品も読んでみたいと思わせられる
1冊でした。
Posted by リサ  at 2006/09/04 1:28 PM
★す〜さんへ
こんにちは!
コメント&TBありがとうございます♪
続編が待ち遠しいですよね。
…続編が出るかはわかりませんが、切望しています。
小路さん私もまだこの作品を入れて3冊しか読んでいませんが、
とても良いですよ(*^-^*)
Posted by june  at 2006/10/19 9:54 PM
リサさん、こんばんわ。
私はこれを読みながら「寺内勘太郎一家」とか
「ムー一族」とか思い出してしまいました。
思い切りセットっぽいセットでドラマにしたらおもしろそうです。
ナレーターの八千草薫さんいいですねぇ。
吉永小百合さんには池澤さんをやってもらいましょう。
とすっかりその気です(笑)。
Posted by リサ  at 2006/10/20 12:58 AM
★juneさんへ
こんばんは!
そうそう、何となく「寺内勘太郎一家」を彷彿と
させるのかなーと思っていました。
でも「寺内勘太郎一家」自体見ていないので想像にすぎなくて。
本当にこれドラマにしたら面白そうですよねー。
もう私の中ではナレーターは八千草さんです(笑)
あのお声がとても心地良く響きます。
ああ!吉永小百合さんは池澤さんって良いかも。
ふふふ、私もその気です(*^-^*)
Posted by moko  at 2007/04/21 10:22 AM
こんにちは、またトラバさせて頂きました。
最近小路さんの本にハマって立て続けに読んでますがこれも
おもしろかったです。
東京バンドワゴンのような雰囲気のカフェでこの本読みたいなぁって
思いました。続編期待しちゃいますね。
夜は短し・・・に続き古書が作品に出てきて、今まで古書にはあまり
縁がなかった私も興味を持ち始めましたー。神保町いいですね、
今度行ってみたいです。
Posted by リサ  at 2007/04/22 9:54 PM
★mokoさんへ
こんばんは!コメントとTBありがとうございます♪
これは素敵ですよね〜。こんなカフェがあったら私も通い詰めちゃう
だろうな、なんて思いながら読んでいました。
昔懐かしな雰囲気がたまらなく良かったです。続編出ないかなぁ。
古本屋は大好きです。あの何ともいえないむっとむせ返るような空間が
たまらなく良いんですよね。
神保町、是非行ってみてください。あの街に行くとなかなか抜け出せなくなります。
もう帰りたくなくなる魔法がかけられるかのような感覚。
私も久しぶりに行きたくなってきました(*^-^*)
Posted by 雪芽  at 2007/06/17 5:01 PM
こんにちは、リサさん。
よいですねぇ、あったかいですねぇ、それでホロリとさせてくれて、
もういうことなしでした。
いつもなら世の中こんなにいい人のオンパレードじゃないわい、
とかちらりと斜に構えてしまうところですが、
だからいいんじゃないのと手の平返して趣旨変えです。
これでいいのだ!これがいいのだ!!
古本屋で思いもかけない一冊に出会った時の胸の高鳴り。
うっとりします〜
昔、澁澤龍彦の手帖シリーズ初版本を古本屋で見つけたけれど、
その頃は学生の身、手が出ませんでした(涙)
それはそうと、期待どおり続編も出てよかったですね。
Posted by リサ  at 2007/06/23 10:49 AM
★雪芽さんへ
こんにちは!
お返事すっかり遅れてしまいました…ごめんなさい。
素敵ですよねぇ。あったかくてホロリとさせてくれて。
堀田家の面々、とりまきの人々、みんな好きです。
そうです、そうです、これでいいのだぁ(笑)

澁澤龍彦手帖シリーズの初版本!
さぞ高価だったことでしょう。今出会っていたら…と思うことってありますね。
私も手が出なくて泣く泣く…って本ありました。

続編、もう少し先になってしまうと思うのですが必ず読みます!
楽しみ〜。

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