ひなたでゆるり

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『人生の旅をゆく』よしもとばなな

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人生の旅をゆく
よしもとばなな/日本放送出版協会
人生は自分のもの。人にはゆずれない、かけがえのない、びっくりするような思い出をいっぱい作ろう。旅行、出産、日常、子育て、別れ…。降り積もる記憶を胸に、いまを生きる切なさとすばらしさを綴ったエッセイ集。

年の瀬は何かと気忙しく落ち着きのない日々を過ごすことが常なのですが、今年は今までなんぞ比にならないくらい忙しない日々を送っています。沈んでは浮上し、また沈んで浮上出来ぬままぶくぶくと沈みゆく…なんてこともありました。自分の力ではどうしようもない、そんな非力な自分に嘆いていた頃このばななさんのエッセイを読み始めました。
お友達から贈っていただいたこの本、大事に大事に毎日少しずつ読みました。多忙な日々にはこうしてちょこちょこと楽しめるエッセイはとてもありがたいです。そしてばななさんの文章に癒されていく自分。コチコチと固まった心がゆるゆると温められ開放されていく感覚が広がるのを実感しながら読んでいました。

ばななさんはここで沢山の旅の話を書かれています。そして旅立つ前の自分を惜しむことも書かれています。「もう前と同じ自分では帰ってこられないのだ」としみじみ。
それは旅することで確実に変化していく自分、何かを得る自分、旅する前の自分とは確実に違う自分に成長していることを意味するのでしょう。
読書もきっと同じだと思います。読書も旅するような感覚でいつも読んでいます。それは読む前の自分と読み終えた後の自分は確実に違っているから。書物を読むというのは脳への糧です。知らなかった世界が広がりそこから何かしらを得ていきます。多少でも感情の成長を得られていくのだと思います。もちろん相性の良くない書物にそれは期待出来ないこともありますが、そこで湧き起こる感情に対する自分も含めての成長なのだと思うのです。だからやめられない。旅も読書も同じようにやめられない。それはもう理屈ではないのでしょう。

今年久しぶりにばななさんの作品に出会っていくつか読みました。その紡がれる優しい文章に温かなものが生まれ流れていくのを感じたとき、もっと読んでみたいなと思うようになっていました。そうしてこのエッセイを贈っていただき読みました。不思議かな、小説を読むのと同じように優しくやわらかく温かなもの。何故かはわからないけれどお湯に浸かっているような安堵感。その感覚がとても良くもっともっと浸っていたいと丁寧に読んでいました。
特に3章の生と死を綴ったところは涙したり大いに共感したりと最も心揺さぶられる文章の数々。赤ちゃんのこと、孫を可愛がる両親のこと、愛犬の死、お世話になった店長のこと。みんなそれぞれ精一杯生きている。生はみな平等であり寿命も平等であるはずなのだけれども、天に召される順番は誰にも決められない。死が確実に近づいてくるのを悟ったように語るところなど胸が衝かれてしばし考え込んでしまいました。私にもやがて訪れる死。その形がどんなものであれ死の足音をどのように自分が受け止めるのか今はまだわからないけれども冷静にそれを見つめることが出来るのか、と言ったらたぶん出来ないのではないかと思うのです。必死に抗って認めたくないと喚き散らしてしまうのではないかと思うのです。だからこそ静かにその時を覚悟する様子がもう神に半分召されているのだろうな、と何だかしみじみしんみりとした気持ちになっていました。
ばななさんの愛犬ラブ子もそう。死を悟るってどんなだろう。読み終えてずっとずっと考えています。

どうせならこの世にお別れするときに悔いのないような人生を送っていきたいものです。生きるって制限だらけの中で息苦しくて辛くて時々呼吸困難になってしまうことも多々あるのですが、それ以上に楽しいことを見つけ思い出を作っていくこと、苦しくても楽しいことのために今を踏ん張る、その繰り返しで生きている。楽しいだけの毎日ではありがたみがありません。苦しいことがあって初めて楽しいことの意味を実感するのですから。でも出来るならば楽しいことのほうが沢山あったほうがいい。そのためにどうすればいいのか、日々悩みながらも模索していくのでしょうね。それは人生経験が豊富になっても豊富になるだけまた模索の日々が始まるのです。それもまた楽しいと感じられる大きな人間になっていきたいものです。

素敵なエッセイでした。
最後にこの本を贈って下さったchiekoaさんに感謝いたします!

読了日:2006年12月23日
かりさ | 著者別や・ら・わ行(よしもとばなな) | comments(4) | trackbacks(2) | 

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COMMENTS

Posted by chiekoa  at 2006/12/28 1:04 PM
私はどうもばななさんの書くものには思いいれが強すぎて感想がかけないので…リサさんがこんなにすてきなレビューを書いてくださってなんだかうれしいです。ありがとうございました!
Posted by リサ  at 2006/12/29 10:45 PM
★chiekoaさんへ
わぁん、chiekoaさんにそうおっしゃって頂けるなんて
嬉しいですー。
数年間のブランクがあったばななさんですが、こうしてまた
久しぶりに触れてみて心地良く読んでいる自分がいて
ああ、良かった〜としみじみしています。
来年も沢山読みたいです!chiekoaさんの感想を参考に
させていただきますー。
Posted by よこたろう  at 2007/10/13 10:26 PM
はじめまして。よこたろうと申します。
私もばななさんの作品には、思うことはたくさんあるんだけど、
うまく文章にできなくて・・・

でも、素敵な書評ですね。うむうむうなづきながら読みました。
また遊びに来ます!
同じ本を読んだので、TBさせてください。
Posted by リサ  at 2007/10/26 9:07 PM
★よこたろうさんへ
はじめまして!ご訪問とコメントありがとうございます。嬉しいです♪
お返事が遅れてしまいました。すみません。

ばななさんの作品は昨年から本当に久しぶりに再開しているのですが、当時若かった自分と、今の自分とでは感じ方も与えられ方も違うのだなぁとしみじみ感じています。
嬉しいお言葉をいただけて感激です。
これからもいろいろとお話し出来たら幸いです。
また是非いらしてくださいね!お待ちしております。

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+ ChiekoaLibrary +  at 2006/12/28 1:03 PM
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人生の旅をゆくよしもと ばなな 日本放送出版協会 2006-06 読むたびに、言葉が、文章が、自分の体の中で命を持っていくみたいに、そんな風に感じました。また、人生の宝物の一冊が増えました。
よこたろうBOOKS  at 2007/10/13 10:27 PM
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