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『九杯目には早すぎる』蒼井上鷹

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九杯目には早すぎる
蒼井上鷹/双葉社
休日に上司と遭遇、無理やりに酒を付き合わされていたら、上司にも自分にもまるで予期せぬ事態が―第26回小説推理新人賞受賞作『キリング・タイム』を始め、第58回日本推理作家協会賞・短編部門の候補作に選ばれた『大松鮨の奇妙な客』など、ユーモラスな空気の中でミステリーの醍醐味を味わえる作品の数々。小気味のよい短編集をご堪能あれ。

やや、ややや!これは久々の大ヒットなのではないか?ここ最近ミステリからすこーし遠ざかっていた私。今年初めのミステリは初挑戦の作家さんにしようと、蒼井上鷹さんのデビュー作『九杯目には早すぎる』を選んでいたのであった。これがまぁ何と言うのだろう痛快とはかなり程遠い読み終えてしこりが残る、あるいは黒い染みがじわじわと広がりゆく、そうしてほくそ笑む自分がいることにさらにほくそ笑むというような読後感。簡単に言ってしまうと黒い笑い、つまりブラックユーモア。そうそう!ブラックユーモアの混じった小気味良いミステリに仕上がっているのだ。
短編に差し挟まれたショートストーリーがこれまた秀逸でさらにさらにブラックに仕立てられている。

短編「大松鮨の奇妙な客」「私はこうしてデビューした」「タン・バタン!」「見えない線」「キリング・タイム」、ショートストーリー「においます?」「清潔で明るい食卓」「最後のメッセージ」「九杯目には早すぎる」それぞれ5編ずつ収録されており、それぞれが奇妙に捻ったラストを用意している。読み始めると妙にはまってしまう。それぞれに登場する普通の人々が暗い闇に巻き込まれるさまが可笑しくも悲しく描かれており、その妙さ加減にはまってしまえば後はノンストップで楽しめること間違いなしの面白さなのだ。
特に最初の「大松鮨の奇妙な客」が私にとっては秀逸。ここではミステリにありがちな結末を思い描いていたら必ず「きょとん」となってしまう。そのどんでん返しのさらにどん返し(「どん」だけど「でん」までいかない半端な妙な着地。なんだそりゃ?ですよね?でも読んだらきっと分かってもらえるはず)が待っていてその驚きと居心地悪さがこれまた面白くて、私はもうここでかなりの満足を得てしまったのだ。で、「私はこうしてデビューした」である。順調に読んでいて「んん?」となり「あれ?」となって「なんと!そうだったのか!」んで「ははぁん、なぁるほどねぇ」となるのである。読んだら分かる、ええ。ここまで読んで作者のカラーが見えてくる。そうかこういう描き方をするのか。そうなると一筋縄ではきっといかないであろうとどこでどう捻ってくるのかわくわくしてくる。そして最後の「キリング・タイム」でこれまた見事ブラックに締めてくれるのだ。
短編では「大松鮨の奇妙な客」「キリング・タイム」、ショートストーリーでは「清潔で明るい食卓」「九杯目には早すぎる」がお気に入り。

誰しもが内側に潜めている点のようにポツリとある小さな悪意を上手く描き、そこにユーモアさをスパイスさせた軽快な作風。各短編の最後に記されている参考作品も興味深い。そこからさらにミステリへの扉が開かれる楽しさも味わえる秀逸な短編集。いやいやなかなかの味わいですぞ。是非ご堪能あれ。

読了日:2007年1月5日


Web文芸総合誌「文華」別館にて蒼井上鷹さんのデビュー前のショートストーリー作品集が紹介されています。今回ショートストーリーがお気に入りだったこともあってこちらも充分楽しめそうです。これからゆっくり読んでみようと思っています♪
かりさ | 著者別あ行(蒼井上鷹) | comments(10) | trackbacks(3) | 

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COMMENTS

Posted by とも  at 2007/01/07 11:18 AM
リサさん、今年もよろしくお願いします。
年賀状ありがとうございました♪

ワクワクするようなおもしろそうな
本ですね。
Posted by まめころりん  at 2007/01/07 1:50 PM
りささん あけましておめでとうです
そして激激おひさでーす(^^;

お料理ブログは毎日更新しているんですけれど
読書の方はずーっとほったらかし状態です

読んだ本を忘れないようにお料理のブログに
読書記録の記事を1ページだけ作って
細々と記録していたのを 今日本ブログに
貼り付けてみました( ̄▽ ̄;)

九杯目〜 面白そうですね
さっそく図書館の予約カードに書かせてもらいました
早く読んでみたいな〜

今呼んでいるのは有栖川さんの乱鴉の島っていう
ミステリです まだ序盤ですけれどたぶん私の
好きな孤島の殺人が起こりそうな予感・・

今年はもっと早く本が読めるようになりたいです
なにしろ 娘達は私が2週間かかってやっと
読める本を1日で読めるので・・

今年もよろしくお願いしまーす
Posted by 雨水  at 2007/01/07 3:07 PM
あけましておめでとうございます!

新年から快読??でいらっしゃいますね〜
わたしも、九杯目には早すぎる。読んでみたくなりました!!
早速、文華へいってみます^^
Posted by リサ  at 2007/01/08 2:02 AM
★ともさんへ
こんばんは!
今年もどうぞよろしくお願いいたします♪
こちらこそ年賀状ありがとうございました!
ミステリ好きならばきっと楽しめると思います。
ともさんも是非是非〜。
Posted by リサ  at 2007/01/08 2:07 AM
★まめころりんさんへ
こんばんは!
あけましておめでとうございます〜。
今年もどうぞよろしくお願いいたします♪

本当にお久しぶりです!ご無沙汰していてごめんなさいね。
読書ブログ再開ですね!楽しみです〜。
『九杯目には早すぎる』面白かったですよ!
気軽に楽しめてでもブラックさも味わえて。
早速予約いれてくださったのですね。堪能してくださいね。
まめころりんさんの感想楽しみにしています。
有栖川さんの『乱鴉の島』は未読なんです。
いつか読もうと思っていますがいつになるかしら…(汗)

そうそう!子供って集中力があるしその時間もあるから一気に
読んでしまうんですよね。羨ましい限りです。
今年は沢山本の話ししましょうね!
Posted by リサ  at 2007/01/08 2:09 AM
★雨水さんへ
あけましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしくお願いいたします♪
何故か新年からサクサクと読めています。このペースで
今年はいけたらいいのですけど(*^-^*)
雨水さんも是非読んでみてください〜。
文華は蒼井さんのデビュー前の作品が置いてあるので
興味深いです。私も少しずつ楽しんでいます♪
Posted by 苗坊  at 2007/01/12 5:58 PM
こんばんわ^^
読みましたよ〜。
面白かったですね。
やっぱり裏切られませんでした。蒼井作品はこれからもずっと追っかけていきますよ^^
私も「キリング・タイム」と「大松鮨の奇妙な客」が好きですね。
本当に、想像していたラストとは全然違うので驚きます。
どうしてこんなトリックが思いつくのでしょう。
もう、オススメですね〜^^
Posted by リサ  at 2007/01/14 4:37 PM
★苗坊さんへ
こんにちは!
おお〜もう読まれましたか!早いです。
これも面白いでしょう(*^-^*)
思いもつかなかった顛末に呆然としてしまいましたもの。
ブラックユーモアってのもいいんですよね。
新作も早速入手したので読むのが楽しみです♪
Posted by す〜さん  at 2007/09/17 11:41 AM
ほんと最後はきょとんとしてしまいますね。
そうきましたかーーーってな感じで。
こちらの予想を思いっきり裏切る結末ににやりとはしますね。
まだ自分は3作しか読んでないので
これから少しずつ読めるのが楽しみです。
Posted by リサ  at 2007/09/23 11:55 PM
★す〜さんへ
この結末に一瞬ポカーンとして、そしてにやりと。
で、やられた感が一気にきますよねー。
すごく堪能しました、この作品。
私はなんだかんだ言いながらまだ2冊しか読んでいません。
少しずつ楽しんでいきます〜。

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苗坊の読書日記  at 2007/01/12 5:57 PM
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