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『ミミズクと夜の王』紅玉いづき

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ミミズクと夜の王
紅玉いづき/電撃文庫
死にたがりやのミミズクと、人間嫌いの夜の王。全ての始まりは、美しい月夜だった。―それは、絶望の果てからはじまる、小さな少女の崩壊と再生の物語。
第13回電撃小説大賞受賞作品

泣きました。それはさめざめと泣くようなものではなく、もっと搾り出すように嗚咽するような泣き方。こんなにまっすぐに真摯に訴えかけてくるものに揺らがない心がありましょうか。漆黒の闇に浮かぶ美しい月の夜。そこで出会ったミミズクと夜の王。崩壊した心にもうなにも鳴り響かない絶望の淵にいた少女・ミミズクはその身を夜の王に差し出そうとする。「あたしのこと、食べてくれませんかぁ」と。
そこに至るまでの少女の生き様はその容姿からして容易に知れます。それがどんな仕打ちを受け、どんな扱いを受けてきたかも。人の優しさや温かさ、抱きしめられること、愛し愛されるということさえも知らずに育った少女の再生を描く物語です。
ファンタジーというよりも御伽噺としたほうがしっくりくる綺麗なお話し。

このまま森の中で話しが展開していくのかと思うと世界はどんどん広がりを見せます。そこで少し読み手をハラハラとさせます。そこからこの先がどうなってゆくのか見届けずにはいられない気持ちが高まって、どんどん引き込まれてしまうのです。それは強い力で。抗うことなんて出来ないくらいの吸引力。
通常ライトノベルは文中にイラストが差し挟まれてそのイラストも共に楽しめるのですが、この作品にはそのイラストが一切ありません。表紙の闇に包まれた森に浮かぶ満月と少女の姿、群生する赤い花のイラストのみで読み手はその想像力の中で物語を読み進めていきます。読み手それぞれがここにある世界とキャラクター像を生み出すのです。だからこそ感情を込めてこの世界に入り込めるのでしょう。

ミミズクに初めて生まれる感情、夜の王の不器用な愛情表現、それが表され相手の心に響く時生まれる感情。それがあまりにもまばゆく輝くものだから胸いっぱいになって涙が止まりませんでした。ミミズクを優しく包むのは夜の王ばかりではありません。その彼らも精一杯ミミズクを愛し慈しみこれからもずっと見守り続けるのでしょう。

今こうして書いているだけでも胸いっぱいで涙が出てきてしまいます。私もまだこんな綺麗な物語に泣けるんだなぁ、汚れきってはいないんだなぁ、と感慨深く思いました。とかく理想を追い求めた話に人は強がりを吐いてそんな綺麗ごとを、と背を向けがちです。世の中そうそう上手いこといくはずはないと思いもします。けれどもその胸にまっすぐ飛び込んでくるものをやっぱり受け止めずにはいられないのです。
私はミミズクの姿を見て同じように愛を一切受けずに育つ子供達のことを考えてもいました。それを思うたびに痛む心が、ここでさらにさらに切り裂かれるような痛みを持って疼くようでした。流した涙の理由にはそれらの強い憤りと哀しみがあります。

少し感想が横道にそれてしまいましたが…とっても素敵なお話しです。イラストが時に押し付けがましいのだ、とライトノベルを敬遠している方にこそ是非手にとって欲しいと思います。「ライトノベルと侮るなかれ」とは良く言うセリフなんですが、この作品こそそのセリフが相応しいのです。

読了日:2007年2月15日
かりさ | 著者別か行(紅玉いづき) | comments(20) | trackbacks(9) | 

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COMMENTS

Posted by sonatine  at 2007/02/15 6:05 PM
面白そうですね!
早速読んでみます。
Posted by リサ  at 2007/02/15 10:56 PM
★sonatineさんへ
こんばんは!
すっごく良かったですよ♪
是非是非〜。
読まれたら感想お聞かせ下さいね!
楽しみにしています。
Posted by リオン  at 2007/02/16 12:08 AM
リサさんも同じような現象が起こってよかった。
いい大人が涙もろくなっただけかと、ちょっと不安だったのですが、この感想を書いているほぼすべてのサイトさんが同じ現象になっていたので、一番最初に感想書いたものとしてはよかったです。

自分は汚れてるなぁとか、でも、すごい可哀想という価値観は、ミミズクには失礼なのかも。
そう思っている自分が汚れてるのかも。
いろんな事を考えた本でした。
聖剣伝説のイメージイラストを書いている方の表紙のみの絵。
ライトノベルでは大英断だったに違いありません。
でも、この物語ではものすごくそれがよかったです。
もう今年の最有力候補が出てきた感じ。

皆さんもぜひぜひこの世界を味わってほしいですね。
Posted by リン子  at 2007/02/16 1:49 AM
リサさん、こんばんは。ニューハーフ・リン子です。
リサさんのブログには、ほぼ毎日のように伺ってるのですが、私の方が全く本を読めていない状態で、なかなかコメントを残せなくて…。

「ミミズクと夜の王」すごく読みたくなってしまいました。リサさんは号泣されたそうですが、私は泣けるかな…と、少し心配です。なんだかんだと心が汚れてしまってるオカマですので、純粋な気持ちで読めるかどうか心配です。
でも、これは絶対に読んでみたいと思います。あと、森見さんの作品も読んでみたいと思ってるんです。

そうそう、全く読書してないわけでなく、唯一、柳美里さんの「命」シリーズは全部読みました。前からずっと気になってた作家さんだったんです、柳美里さん。リサさんは読まれた事あります?
柳美里さんは好き嫌いがはっきり別れる作家だと思うのですが、私は見事にはまってしまいました。

ごめんなさいね、長々と。いつもの事ながら、ほろ酔い気分です♪

Posted by リサ  at 2007/02/16 10:05 AM
★リオンさんへ
うんうん私も同じく泣きました!結構意識してどこで泣けるんだろう
なんて思いながら読んでいたんですが、いや〜不意にきますわ。
純粋さにやられました。
そうなんですよね、ミミズクが可哀想とか自分の汚れさ加減とか
ついつい考えながら読んでしまうのは
実は最もこの作品に反した考えなんだと思います。
けれどもそう思ってしまう自分、でもそうじゃないんだよと
教えてくれるこの作品。いろいろとない交ぜになって
複雑になりましたが、でもだからこそ読んで良かったです!

電撃らしからぬ作品でしたね。でもいい意味で成功していると思います。
次回はどんな世界を見せてくれるのかなぁ、とわくわくします♪
Posted by リサ  at 2007/02/16 10:17 AM
★リン子さんへ
リン子さん〜こんにちは!コメント嬉しいです♪
お元気かしら?と心配していました。お元気で良かったです!
お仕事お忙しいのでしょうね。本が読めない状態は余計ストレスに
なりますよね…。

『ミミズクと夜の王』素敵でしたよー。ファンタジーですが
リン子さんも気に入ってもらえると思います。是非〜♪
たぶんどんな人間にも奥底にあるだろう純粋な心を
この作品で見つけると思います。
リン子さんはどう読まれるかなぁ。感想が楽しみです。

柳美里さん…そういえば私未読の作家さんです。
いろいろと話題になっている作家さんなので、作品なんかは
存じているのですが読んだことはありませんでした。
「命」シリーズも読むと苦しくなるだろうな、と思って遠ざかって
しまったのですが、リン子さんのオススメならば読んでみます。
お引越しの後になると思いますが、忘れずにメモしておきますね。
いつも素敵なコメントに励まされています〜。
ゆっくり読書の時間がまたリン子さんにやってきますように。
(私もまたえらい長いお返事ですね(笑))
Posted by sonatine  at 2007/02/19 10:50 PM
リサさん、ご紹介ありがとうございました。
心から読めてよかった〜と思いました!
もっといろんな人に読んでもらいたいですね。
ブログの記事を書くときに何度も言葉に詰まりました。どう書いたらいいか迷って、消してを繰り返したら、結局よくわからない記事になってしまいました。
言葉で表すのが難しいけど、本当にいい本とめぐり合えたことに感謝です。
ありがとうございました!
Posted by しんちゃん  at 2007/02/22 4:55 PM
まいど〜、しんちゃんです。
泣けたー!ぼろ雑巾みたいになったよ!!
良い本を紹介してくれて、ありがと(笑)。
Posted by リサ  at 2007/02/22 5:21 PM
★sonatineさんへ
こんにちは!
わぁ〜読まれたのですね♪
そうおっしゃってくださって、とても嬉しいです!
もう布教したいくらいですよね。
私も感想書くときはいつもと違う口調になってしまいました。
すごく優しく浸透してずっとずっとこのまま浸っていたい気持ちが
強かったです。
本当に素敵な作品。大好きです!
Posted by リサ  at 2007/02/22 5:31 PM
★しんちゃんへ
こんにちは〜♪
泣けたでしょー!泣いたでしょう!
私ボロボロ泣いちゃってメイク剥げたほどですもん(笑)
どんどん布教したい作品ですね。
しんちゃんに気に入ってもらえて良かったぁ!
Posted by chiekoa  at 2007/03/01 4:38 PM
リサさんのおかげでこの本を読めました。
ほんとうにほんとうにありがとうございました!!

もう感想なんて上手にかけないので、
「リサさんのところを読んでください」
と書いてしまいました。すいません。
でも本音です。リサさんの感想が一番ステキ…。

とにかく、ありがとうございました!
Posted by リサ  at 2007/03/01 11:40 PM
★chiekoaさんへ
わ〜♪読まれたのですね!嬉しいですー。
お気に召していただけたようでオススメして良かった〜と安心しました。

きゃー、もったいないお言葉!恥ずかしいけど嬉しいです。
こんな感想で良かったかな?なんて少々心配な面も
ありましたので、そうおっしゃって頂けるとホッとします。
電撃ってことでなかなか気がつかずに通り過ぎてしまう方も
多いかもしれませんが、もっともっと沢山の方に読んで欲しいですネ。
Posted by 卯月ひせ  at 2007/03/30 11:41 PM
電撃文庫の新刊情報であらすじと表紙絵を一目見て気に入ったものが、この「ミミズクと夜の王」でした。レビューではなかなか紹介してないなあ、こんなにいい小説なのに。と内心少しだけこの本を紹介していないレビューサイトをちょっと恨んだりしたりしましたけれど、リサさんもあたしと同じような感想を抱いていて、すごく共感がもてました。いい人だ…!なんて思っちゃったりして。

あたしもこの小説を読んで泣いてしまいました。泣いてしまった、というか勝手に涙が溢れてきたというか。それにこの涙は止まらないからタチが悪いなあと思いつつ、涙腺が完全に決壊しボロボロに泣きながらもこの本を読みました。
どこの国のどんな時代かもわからない、不思議な世界。だけどミミズクと夜の王、クロちゃんがあたしの周りで呼吸をして生きているみたいで。そんな親近感もわきました。
不器用なやさしさというのは、とてもいとおしいなあと思ったりして。

乱文ですが、とにかくこの小説はとても素晴らしくてみなさんにも是非読んでほしいなあと思ったのが、あたしが一番伝えたいことなのです。

Posted by リサ  at 2007/04/01 9:11 PM
★卯月ひせさんへ
こんばんは!コメントありがとうございます♪
この作品でコメントを頂けるととても嬉しいです。
まだまだ感想を見かけることが少ない作品ですが、それでもじわじわと
感動を広げているようですよね。素敵な感想に出会うと嬉しくなります。
私の感想に共感を持ってくださったとのこと、嬉しいです。

何というか自然に溢れてくるのですよね。意識なく。
それが止め処なくてどうして良いのかしばらく呆然としてしまう感情を
抱きました。とてもとても素晴らしい作品です。
もっともっと多くの方に手にとってもらって読んで欲しいですね。
Posted by Rutile  at 2007/05/29 12:16 AM
こんばんはー★
例にもれず泣いてしまったひとりです。
そしてその涙でこころが洗われました。
登場人物たちがよかったですね。
彼らが抱える"喪失感"を埋めるのは、やはり"愛"なのですねぇ。
至る所にさりげなく散りばめられる愛に、私もこころを満たされました。
Posted by リサ  at 2007/05/31 2:18 PM
★Rutileさんへ
こんにちは!
素敵なお話しですよね。あの真摯な二人につい涙してしまいました。
やっぱり「愛」なんだなぁ、としみじみ思いました。
登場人物それぞれの最高の愛に羨ましさを感じました。
Rutileさんの感想楽しみです!お伺いしますね♪
Posted by chiro  at 2007/07/16 9:36 PM
こんばんは。
私も猛烈に引き込まれていきました。
子供よりは大人に読んでほしい気がします。
Posted by リサ  at 2007/07/22 8:26 PM
★chiroさんへ
こんばんは!
お返事が遅れてしまいました。ごめんなさい。
素敵でしたよね。こんな思いに溢れるなんて読む前では全く想像できなかったことです。
大人に読んで欲しい、本当に同感です。
Posted by 苗坊  at 2008/09/09 10:59 PM
こんばんわ^^TBさせていただきました。
リサさんのブログを拝見して、この作品のことを知りました。
大分前に購入していたのですが、もったいなくて読めずにいました。
ようやく読んで、読み終えて、
読んで良かったと思いました^^
素晴らしかったです。言葉では言い表せません。
純粋で真っ直ぐで。
綺麗な作品でした。
涙が止まらなかったです。
Posted by リサ  at 2008/11/17 2:11 PM
★苗坊さんへ
苗坊さん、こんにちは!
お返事が遅くなりました。ごめんなさい。

ミミズク読まれたんですね!このブログをきっかけにしてくれてすごく嬉しいです。
苗坊さんのおっしゃる言葉が全てです(*^-^*)
本当に純粋で真っ直ぐで圧倒されました。
素晴らしい作品ですよね。
苗坊さんの感想を読ませていただくのを楽しみにこれから参ります〜。

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