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『センセイの鞄』川上弘美

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センセイの鞄
川上弘美/平凡社
鞄の中には何がある? 「センセイ」は私の高校時代の古文の先生。10数年ぶりに再会したセンセイとわたしが、過ごした、あわあわと、そして色濃く流れゆく日々。長篇恋愛小説。 [bk1の内容紹介]
好きなヒトの名前をただ呼ぶだけで安心するという事。そして相手も自分の名前を呼んでくれるという事。温かなやわらかなものが気持ちを満たす。

『神様』の川上さんがまた素敵な話しを書いたらしい。今度は恋愛小説。それも異色の。 …そんな話しを聞いてからずいぶん経ってようやく読むことが出来た。
ツキコさんとセンセイの静かなる、しかしとても暖かな時の流れ。かつての教師と生徒という間柄が時を経て再会し、共に居酒屋で黙々と時々ぽつぽつと会話を交わしながら手酌しで酒を飲み、旬の食材をつつく。生徒だったツキコさんは40歳にほど近くなり、教師だったセンセイは定年退職。燃え上がるような恋はここには存在しない。互いを気にしながらも普通に生活し、たまに会って酒を飲み、お互い干渉しない。しかし確実に二人それぞれの今まで何気に過ごしていた生活に変化が起きてくる。その変化に対するセンセイとツキコの対応の仕方が違っていてそれを読み手がまたどう感じるかなのだろうか。そもそも人を好きになるのに理由はほとんどない。もちろん何かしら惹かれる要素があってそれが好きになり、恋になり、お互いの持ち合わせているものを少しずつ相手にどうかな、こうかな、と試行錯誤しながら見せていく。そこには相手を繋ぎとめるための努力もあるだろう。しかしどちらかが負担になったりしたらその恋はもう苦痛という言葉に変化していってしまう。この二人の間には無理がない。ツキコさんは色々と思い悩んだり、センセイから距離を置いてみたりしているけれど、その点センセイは実に自然。相手に強要しない。見返りも求めない。

しかし私は読んでいてどうしても違和感をぬぐえなかった。まだ40近い年齢でもないし、センセイと同じ年代の男性は周りにいないし、いたとしても接点がない。どうにもこの二人のイメージがつかみにくかった。それでも恋は年齢や生活環境に関係なく発生するものなのである。そして恋という一つの言葉には実にいろんな形があるのだなぁ、としみじみ感じながら読んだ。たぶん文中にもあったように、私も年の離れた男女が並んで歩いていたり、食事をしていたりしたら自然な眼差しで見ることは出来ない。下世話な想像もしてしまう。そういう痛い視線を感じながらもなお、それぞれに発生した温かな形を二人で大切にくるみながら互いに見せ合いながら、二人の形に育てていくんだろう。しかし私はツキコさんの同級生、小島孝とツキコさんのぎこちない様子も結構好きだったりする。

今は遠く離れて生活しているヒトに想いを馳せながら本を閉じた。

読了日:2002年12月4日
かりさ | 著者別か行(川上弘美) | comments(0) | trackbacks(4) | 

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