イギリス海岸―イーハトーヴ短篇集 木村紅美/メディアファクトリー
宮沢賢治、イギリス海岸、光原社の中庭、ホームスパン、北上川、小岩井農場のソフトクリーム、双子のサイロ、じゃじゃ麺、遠野の風、雪の浄土ヶ浜…イーハトーヴをめぐる六つの物語。
宮沢賢治の地、岩手を舞台にした連作短編集。
始めの「福田パン」を読んでからつるつると心地良く物語に入り込み、舞台である岩手にすっかり魅せられました。
岩手の地に馴染んでいく翠と早々と岩手から離れ東京で暮らす梢の双子と彼女らを巡る物語はとてもとても静かで淡々としていてここに流れる空気も澄み切っていて。
私は翠のお話しがとても気に入って彼女が幸せになれればいいなぁ、と思いながら読みました。
「中庭」の翠が淡く高揚する感じとか、でも失望感を滲ませたりとか、寂しい気持ちがどうしようもなく支配する感覚がたまらなく良かった。
花巻の宮沢賢治記念館を訪れたのは20年前の修学旅行で、1度きり。
そのときの風景はすっかり忘れてしまったけれど、記念館の様子は今でも鮮やかに思い出されるほど素敵な空間でした。
また行きたい。そしてイギリス海岸にも。ぜひとも。
★追記(10/2)★
イギリス海岸と言えば、今年賢治の命日9月21日に一日限定で復活したのですよね。
北上川に沈んでいたイギリス海岸が当時の風景で再現されているのをニュースで見たとき、当時賢治が見て名づけた白い海岸が(実際は川岸なんだけど)、白亜の海岸がとても美しく輝いていて感動的な気持ちになりました。
一日限定でも復活したことは嬉しいことです。
読了日:2009年8月31日
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