2012.05.10 Thursday
スポンサーサイト
一定期間更新がないため広告を表示しています
スポンサードリンク | - | - | - |
読書のコトとちょっぴり日々のコトブログ
庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々出没数多…本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。
−どうした高堂。逝ってしまったのではなかったのか。そして「サルスベリのやつが、おまえに懸想をしている」とくるのである。ここで幽霊だのなんのと突っ込んではならない。この二人の飄々としたやり取りがたぶんどんな不思議なことがこの先起きても何ら問題はないのだよ、とでも言うかの如く雰囲気なのだ。それが実に良い。
−なに、雨に紛れて漕いできたのだ。
ゴロー、と呼ぶと、振り返りざま、おおっ、という顔をしてお愛想に尻尾を振って見せた。それから、急ぎの用事がありますんで、とでもいうように、こちらを振り返りつつ、すまなそうに去っていった。か、かわゆい。このように表現豊かに描いてみせる征四郎(ではないな、梨木さんになるがまぁここは征四郎としておこう)の感性の豊かさにも心地良くするのである。そのゴローは高堂曰く、異形のものたちの世界では有名な仲裁犬らしくあちらこちらに呼ばれて活躍中である。犬にも犬の世界があり、彼も人間にばかり尻尾を振っているほど暇ではないようである。でもちゃぁんとおかみさんや和尚に尻尾振ってお愛想をしてみせる。お利口さんなのだ。大したものなのだ。
「お姉ちゃんは最高におもしろいよ」と叫んで14歳の妹がしでかした恐怖の事件。妹を信じてはいけないし許してもいけない。人の心は死にたくなるほど切なくて、殺したくなるほど憎憎しい。三島由紀夫賞最終候補作品として議論沸騰、魂を震撼させたあの伝説の小説がついに刊行。
ねえ、あたしってなんでこんな生きてるだけで疲れるのかなあ?過眠、メンヘル、二十五歳。人と人とがつながりにくい現代を生きるひとりの女の子の物語。芥川賞候補作。
目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見立て、日日の想いを演奏で伝えることを思いつく。それは、永劫の囚人となった私の唯一の救いとなるが…。表題作のほか、「Calling You」「傷」など傑作短篇5作とリリカルな怪作「ボクの賢いパンツくん」、書き下ろし最新作「ウソカノ」の2作を初収録。
はっきりとした“恋愛”にはおさまらない微妙な感情を鮮やかに描く新しい形の恋愛小説集。
⇒ ちづ (04/28)
⇒ 苗坊 (02/03)
⇒ かりさ (01/10)
⇒ タコ焼き (01/07)
⇒ かりさ (12/27)
⇒ みこ (12/25)
⇒ かりさ (12/09)
⇒ みこ (12/06)
⇒ みこ (12/05)
⇒ かりさ (12/01)