10月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:1358ページ
ふりむく (講談社文庫)ハッと惹かれる煌びやかな松尾たいこさんのイラスト。その絵に添えられた江國香織さんの短いながらも印象深い文。寄り添っているようで、でも相反するような不思議な感覚。ゆらゆらと心に波紋を広げて静まることがありません。なので読み終えてもまた最初から辿ってしまう。一日の終わりに開いてほわんとさせられながらも漲るものを宿しながら眠りについて、一日の始まりにぱらりとまた開いて。ここ最近の私はすっかり『ふりむく』に魅了されてしまっているのです。
読了日:10月25日 著者:
江國 香織トンネルに消えた女の怖い話「モンタギューおじさん」「船乗りサッカレー」に次ぐ3作目。児童書ながら児童向けなどという甘さは相変わらずなく、救いようのない結末はさらに妄想を掻き立てます。ズドンと落とされる怖さではなく、じわじわと侵食されていくような怖さがたまらなく良いのです。今作は特に子供たちの不幸が描かれていてその哀れさと怖さが絶妙に相まってます。雰囲気溢れる挿絵も素敵。一番印象的で好きなのは「ジェラルド」。「シスター・ヴェロニカ」は子供の残虐さが恐ろしい。「壁の割れ目」のどこか幻想的なラストにゆらゆらといつまでも余韻が漂いました。
読了日:10月09日 著者:
クリス・プリーストリー絵で見る十字軍物語まさに絵で見ながら十字軍史を辿るとても美しく贅沢な書。塩野さんがこれから長きにわたり書かれる『十字軍物語』への序曲として大変楽しめました。ギュスターヴ・ドレの絵に塩野さんの簡潔な説明文が添えられてじっくりと向き合えます。ドレの絵が殊更に美しいのです。気がつくと本引き寄せて読み耽ってしまうほど魅入ってしまいます。特に「サラディン、登場」の颯爽たる場面は素晴らしく惹き込まれてしまう。強き闘う女、重なり合う屍たちのその表情、時に凄惨に時に神々しく、光と闇の美しさ。さあ『十字軍物語』へ一歩踏み出すとしましょう。
読了日:10月05日 著者:
塩野 七生魔術師キャッツ―大魔術師ミストフェリーズ マンゴとランプルの悪ガキコンビ素敵に愛らしいねこちゃんたち!もうもう可愛すぎる〜!キャッツシリーズ、以前から幾度となく図書館で借りてはキュンキュンしてましたけど、いよいよこれは手元に置いていつでも好きな時に読めるようにしたいわぁ、と気持ち高めているところ。エリオットの詩にル・カインの素晴らしいイラスト。表情豊かなねこちゃんたち、色彩豊かなイラスト、素晴らしすぎます。本作品が遺作なんですよね…残念です。
読了日:10月05日 著者:
T.S. エリオットガチャガチャゆうれいちょっと怖い?でも可愛い?そんなおちゃめなゆうれいたちのお話。タイトルのガチャガチャのとおり、イラストがガチャガチャ音が鳴るような賑やかさ(主人公の幽霊が「ガチャック」という名前で、何故か足に重りがついていてガチャガチャ言わせているのです。だからガチャガチャゆうれいなんでしょうね)。人間と友達になりたいゆうれいたちでも、人間にしてみれば恐怖の何物でもありません。みな一目散に逃げていくのです。幽霊たちにお友達が出来るのかしら?おかしくもどこか物悲しさも漂っていて不思議なお話でした。
読了日:10月05日 著者:
マイケル コールマン神様のカルテ 2過酷で厳しい地域医療の現実の中で、美しい長野の自然描写や真摯に生きるそれぞれの登場人物たちの姿が、今作も素晴らしく胸に迫ります。医師である前に人間であるのだ、というイチ先生の深く重たい言葉が作品全体に響き渡る時、辛く悲しい別れの場面も救われる思いがしました。過酷な仕事の合間に季節の折々を瞳に映すイチ先生の、ゆるやかな時間の流れを感じながら優しく温かな読後でした。
読了日:10月04日 著者:
夏川 草介いやはやいやはやはどこにでもいる普通の猫。どこにでもいる猫なんだけど、どこにでもいる猫と違うところがあるんだ。どんなに頑張ってもみんなと同じように出来なくて、ため息ついて悩むいやはやの姿が何だか欠点を悩む自分と重なってちょっと悲しい。でもね、いやはやにはだれにもできない「いやはやにだけできる」ことがあったのです。誰にもできないことが、いやはやにはいともたやすく出来ちゃう!なんて素晴らしく素敵なこと!そう、誰にだって自分だけの素晴らしい特技があるのです。いやはやの活き活きとした姿、良かったね、と思わずにっこり。
読了日:10月03日 著者:
メアリー=ルイーズ ゲイきつねのかみさま (絵本・いつでもいっしょ)おねえさんのりえちゃんと、おとうとのけんちゃん、公園になわとびのひもを忘れてしまったことに気がついて二人で探しにいくことに。探しているうちにあらら、森の中へ。森の中にはきつねさんたちが仲良く遊んでました。その遊び道具…あ!りえちゃんのだ!姉弟の姿もきつねたちの姿もとても愛らしくて、あまりに可愛さにキュンとなります。さて、きつねのかみさまの正体は?その意味がわかったとき、思わずにっこり笑みがこぼれます。
読了日:10月03日 著者:
あまん きみこひつじのラッセル綺麗なブルーを背景に、もこもこ気持ち良さそうなひつじくんのおとぼけ顔が楽しそう。ひつじのラッセルくんの悩みはみんなが寝静まった夜、ぼくだけ目がパッチリ開いちゃうこと。全然眠くならない。どうしよう!どうしたらすやすや眠りにつけるのかしら。あれこれ眠れる術を試してはみるんだけど…。ラッセルくんのいちいちの仕草がおかしく可愛らしく楽しく読めました。さて、ラッセルくん眠れたのかな?そんな問いかけをしながら読み聞かせは効果大でした。それにしてもここのひつじたちの寝姿!か、かわいい〜。
読了日:10月02日 著者:
ロブ スコットン水おとこのいるところ開いたまんまの蛇口から流れ出る水から生まれた「水おとこ」。なんとも不思議な水おとこの存在はなかなか人々には受け入れてもらえなかったけれど、彼の優しさがやがて人々の心を開かせるのでした。彼の最後の住処とは?なんて美しい絵本なのでしょうか。一目で惹き込まれるブルーの色があまりに綺麗でついうっとりと眺めてしまいます。幻想的なお話とイラストが見事に合わさって素晴らしい絵本になって、それをこうして読める幸せがたまりません。余韻のある終え方も好き。
読了日:10月01日 著者:
イーヴォ・ロザーティ謎解きはディナーのあとで久々の東川篤哉さん作品だったのですが、突然やってくるくすくす笑いがやっぱりたまらなく良い。今回のお嬢さま刑事と執事探偵の組み合わせがなかなか楽しませてくれました。澄まして毒舌を吐く(毒舌というかほとんど暴言に近いものが…)執事・影山がいい味出しています。この二人の掛け合いも楽しいのですが、風祭刑事のおとぼけぶりも相当なもの。謎解きが意外にあっさりしているのは少し物足りなさも感じますけど、しっかり本格ミステリで、ユーモア交えながらさらっとサクッと読めるこういうミステリは大好き。是非ともまた続き読みたい。
読了日:10月01日 著者:
東川 篤哉星空放送局可愛らしいタイトルと表紙に惹かれて本を開いたら…何とも愛らしいお話たち。一杯の牛乳から一日が始まるという女の子の最初の1ページから温かな気持ちに。じんわり広がる優しい時間に身を寄せながらゆっくり楽しみました。中村さんのどこまでも優しい文章と、中村さんの紡ぐ文章にピタリと寄り添うような宮尾さんのあったかなイラスト。見上げる星空はずっとずっとどこまでも果てしなく続いていて、同じく星空を見上げている誰かと繋がっている。届かぬ思いもきっと伝わる。モノクロに広がるカラスとうさぎと月の話にじんわり。
読了日:10月01日 著者:
中村 航読書メーター
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