9月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:1415ページ
ナイス数:354ナイス
25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC)『虫と歌』のデザインも好きでしたが、こちらもさらに美しく仕上がっていてうっとり惚れ惚れ。市川春子さんの世界観はさらに壮大になり、人物たちの発する言葉が少ない分、読み手の想像力を高めてくれる。前作よりもSF要素がよりハードになって、さらりと読むには難解で、だから何度でも読み返したくなるしいつまでもこの感覚に浮遊していたい。消え入りそうで儚くも存在感は圧倒的な世界。3作どれも好きですが、お気に入りは「月の葬式」。ぞわっとするあの描写が瞳の奥深くに刻まれて消えないのです。そしてラストが良い。
読了日:09月29日 著者:
市川 春子虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)もう何度読み返したことか。出会ったときからずっとそばにあって、折りに触れ手にとってこの世界に浸って、初めて読んだ時の衝撃や切なさや哀しみなどが変わらず心寄り添って。SFの硬質さの中にじんわり体温が感じられる仄かに人間味溢れる作品たち。市川さんの創り上げる世界観の素晴らしさにただただ息を飲むばかりです。
読了日:09月29日 著者:
市川 春子天地明察(1) (アフタヌーンKC)原作のコミカライズを読むことは滅多にないのですが、大好きな『天地明察』の世界がどんな風に視覚的に入り込んでくれるのか確かめたくて手にとってみました。その前にこの表紙カバーの淡い感じが実に美しくて心惹かれてしまったのですけど。この表紙の美しさのまま世界観も素晴らしかった!隅々まで細やかに時代を描いていて何と言っても春海の豊かな表情がとても良い。これは冲方さんの一言あっての春海だったのですね。大好きな安藤さんも素敵だわぁ。春海の壮大な挑戦‥これからどう描かれていくのかとても楽しみ。追いかけます!
読了日:09月29日 著者:
槇 えびしミステリマガジン 2011年 11月号 [雑誌]とても楽しみにしていました。皆川博子さんの小特集があるから。とても良かった!『開かせていただき光栄です』の前日譚も堪能しましたし、何と言っても"迷宮解体新書"は心躍らせて読みました。著作リストも嬉しい。そしてカラーページも素敵(「死の泉箱」!)これは保存版だわ。これからも皆川さんの世界に触れていたいと思いを強くしています。
読了日:09月26日 著者:
眠る石―綺譚十五夜眠る石の記憶、夢を見続ける石たち。礼拝堂、寺院、回廊などの建築を綺譚十五夜として幻想的に綴る石の物語。栄光の時から歴史を見つめ続け、今なお時代の生き死を刻み続ける。奇妙で夢幻な物語の一編一編が鮮やかに迫り来る。圧巻な筆力にただただ魅了されました。石像と化した王女(第一夜)、時空超え己の乾屍体と出会う玄奘法師(第三夜)、踊る髑髏、密かに絵に秘めたホルバイン「大使たち」を題材にした物語(第七夜、第八夜)、ザナドゥー夢幻閣(第十四夜)など印象的でした。
読了日:09月11日 著者:
中野 美代子うきわねこひゃぁ!なんてなんて愛らしいのでしょうか。この可愛さにキュンとなります。牧野千穂さんの絵が素晴らしい。一枚一枚が絵画のようでどの場面もずっとそばに置いていつでも愛でたい気持ちになります。蜂飼さんの優しい詩的な文章もほかほかにさせてくれます。おじいちゃんからプレゼントされたうきわ。満月の夜にうきわをふくらませてみると‥。幻想的な夜の場面が印象深い。落ち込んだ日の夜に温かなお茶とうきわねこでほんのり優しさと立ち直る元気をもらえそう。上質な絵本は心を豊かに瑞々しくしてくれますね。大切な一冊になりそうです。
読了日:09月09日 著者:
蜂飼 耳きんのたまごのほんもうもう!惚れてまうやろ〜!な、愛らしい絵本。豪華で美しい表紙、うさぎさんの愛らしい仕草、ページごとに華やかに彩られた背景。青い卵がなんとも幻想的です。このまんまるいころころしたものは一体なに?と不思議そうにちょんちょんしたり、転がしてみたり、蹴りを入れてみたり。やがて卵から孵ってきたものは?一匹と一羽の芽生える友情がほのぼの温かく素敵なお話。それにしてもなんて愛らしいのでしょうか。もふもふ感がたまりませんわ。マーガレット・ワイズ・ブラウンとレナード・ワイスガードのコンビ本、他にもぜひとも読みたい。
読了日:09月09日 著者:
マーガレット ワイズ・ブラウン月と蟹子供たちの抱える闇がやがて怪物のように蠢き黒く大きく育っていくさまが不気味で心が凍えるようだった。叫び続けている断末魔が体の中で膨らんでいつ破裂してしまうのだろうか、と彼らの行先を案じた。行き場のない思いをヤドカミ様に託す儀式が残酷で不気味でただただ哀しい。揺らめく不安定な心理描写が殊更上手く見事に気持ちを囚われた。慎一の祖父・昭三の存在が圧巻。少年たちの鬱屈さが目立ちますが、屈託ない子供の冒険心、自然の描写なども読ませてくれて暗く重たさに彩られながらも仄かな光に救われた。春也の心情も読みたかった。
読了日:09月07日 著者:
道尾 秀介おそとがきえた!市川さんの素晴らしい絵と、角野さんのぽかぽか優しいお話。大きな町の小さな家に住むチラさんと猫ちゃんの暮らしが温かい。冬の寒い日、ストーブでスープをことこと煮て、そのそばで猫ちゃんと編み物して過ごす場面がとても好き。冬の夜にだけあらわれる秘密のおそと。チラさんの願い。ささやかだけど夢を持ちながら、今の生活を穏やかに暮らすチラさんの姿勢が素敵です。諦めなければいいことが待っていますよね。灰色の背景がぱっと明るく変化していくと共におばあさんの顔も艶やかでとても活き活きしていて。環境と老い…しみじみ考えます。
読了日:09月07日 著者:
角野 栄子カプチーヌ (魔女のえほんシリーズ)とてもやわらかで優しいタッチの可愛らしい絵、カプチーヌという女の子のお話、動物たちとの会話、お話も可愛らしくてついつい笑顔になってしまいます。お父さんがちょっと魔が差したばかりにカプチーヌの身に大変なことが起こってしまうのですが、動物たちと魔女のお城まで行く過程、お城に入ってからのちょっとした冒険心、これらがとても楽しかっただけにお話の最後がしゅんとしぼんでしまったような感じ。でも子供にはきっとわかりやすいかしら。江國さんの訳もカプチーヌを温かく見守る母のように優しい言葉で紡がれていて素敵です。
読了日:09月07日 著者:
タンギー・グレバン秘密の花園多感な年頃って自分の世界がとても狭くて、だからこそ抱える闇の深さにはまって底のない沼に落ちたかのような絶望感に陥ってしまう。世界はもっともっと広くて自分のそんな闇なんて本当にちっぽけなんだって気がつくのは一体いつだったろうか(ああでも那由多の場合はちっぽけでないけど)。那由多、翠、淑子、3人の心の奥に潜む秘密。那由多と翠の関係性が特に良くてかなり好き。男が決して入り込めない女子同士の、妙に確立した世界観がこの二人にあって読んでいてうっとりするくらい良かった。あとがき冒頭の小さなお話が可愛い。
読了日:09月06日 著者:
三浦 しをんほっと文庫 はちみつ色のセイとテンちゃんのママはブレない。自分の信念の通りに生きて子を育てる。たとえ周りから何と言われようとも。女一人子を育てるって並大抵なことではいかない。けれどもママはブレない。すごく強い。でもね、女だもん、時には男に甘えたくなるんだよね…なんてちょっぴりママの気持ちを思いながら読んだ。セイはこれから成長していく過程でママとテンちゃんとどう生きていくのだろうか、と少し将来をも思いながら。はちみつの甘さと涙のしょっぱさと、人生そんなもんだ。本にうつったほのかに甘く香るはちみつの匂いを楽しみながら読んだ。
読了日:09月06日 著者:
西 加奈子ほっと文庫 郵便少年アオヤマくんにまた会えた!なんてなんて素敵なお話。郵便局に興味いっぱいの、アオヤマくんの素直な可愛さにまたもやメロメロになってしまった。短い物語の中に優しくて愛おしくて切なくて…さまざまな感情がぎゅっと詰まった1冊。すんと甘酸っぱく切ない思いが広がってくる。赤いポストに投函された手紙はどこまででも遠く運ばれていく。ヒサコさんの手紙もハセガワくんの宇宙語の手紙もアオヤマくんの手によってちゃんと届けられるんだ。遠くて近い未来へ。あの日の朝の森の匂いと共に。『ペンギン・ハイウェイ』と並ぶ愛しき1冊になりました。
読了日:09月05日 著者:
森見 登美彦ほっと文庫 ゆず、香る冒頭からゆずの香りが感じられて、ふわふわと体を心地良く包んでいく。互いにきっと想いは繋がっているんじゃないかと仄かに感じている。あの時一歩踏み出せたら二人の関係はもっと近寄っていたのだろうか。学生から社会人へと時が流れてなお、今の関係が壊れてしまうことを恐れるあまりこれ以上歩み寄れない。そんな恋に臆する二人が何とも切なくて愛おしくて。それでも有川さんさすがです、こんなに素敵な贈り物を用意してくれていたなんて。ゆずの入浴剤に添えられた生産地。うまいなぁ。素敵だ。ゆずの香りに包まれて、ほろり。
読了日:09月04日 著者:
有川 浩薔薇と嵐の王子ジョルジュ・サンド生誕200年記念絵本。サンドが晩年孫に残した童話の一編。独特なタッチの絵とサンドの幻想的壮大な物語が絶妙に合っていて、艶やかな色香に魅せられます。時にロマンチックに、時にエロチックさえ感じさせるサンドの世界。それは波乱万丈の人生を生きたサンドだからこそ生み出せたのでしょう。ひとりの少女、アウローラがそっと耳を傾けた薔薇の花の言葉。ショパンをBGMに読めばまた素敵な時間が流れそう。サンドの物語、他にも興味があります。そしてニコル・クラヴルーの鮮やかな絵が忘れられない。表紙が素晴らしく素敵。
読了日:09月04日 著者:
ジョルジュ サンドかえる食堂でいただきます (nina’s+) 24の季節から知る、からだにおいしいレシピ79「天然生活」でだったでしょうか、記憶はおぼろですがかえるちゃんの素朴なけれども忘れられない料理や食事に対する姿勢はずっと忘れずにいました。なかなか本に出会う機会がなかったのですが、図書館で見かけて借りて帰ってからずっとずっと眺めています。春夏秋冬の四季折々のレシピ本は多々あるけれど、二十四節気という暦と共に移り変わる季節や生活、そして順応していく体。その体を思いやって取り入れる季節の野菜のレシピ。中でも四季のおてあてがかえるちゃんの優しさを感じられます。もうすぐ白露。そして秋のおてあてです。
読了日:09月04日 著者:
松本 朱希子2011年9月の読書メーターまとめ詳細読書メーター
⇒ ちづ (04/28)
⇒ 苗坊 (02/03)
⇒ かりさ (01/10)
⇒ タコ焼き (01/07)
⇒ かりさ (12/27)
⇒ みこ (12/25)
⇒ かりさ (12/09)
⇒ みこ (12/06)
⇒ みこ (12/05)
⇒ かりさ (12/01)