こちらあみ子 今村夏子/筑摩書房
少女の目に映る世界を鮮やかに描いた第26回太宰治賞受賞作。書き下ろし作品『ピクニック』を収録。
あみ子、と呼んでそっと抱きしめたくなる。
あの子と遊ぶための色褪せたトランシーバーをあみ子はまだ大切にしているだろうか。
「こちらあみ子。おーとーせよ」と発する言葉に誰かが応えてくれているだろうか。
悪気はない、わかってはいても人を苛立たせ、家族の輪も壊してしまうあみ子の言動は、ただのお話とは割り切れないぼんやりした痛みを伴う。
改題される前の「あたらしい娘」のタイトルが知らせてくれるように、母の気持ちが痛いほど伝わって、でもどうしようもなくてただただきゅっと胸が締め付けられる。
あみ子の世界。全てが愛おしい。
もう一編「ピクニック」も不思議な七瀬の雰囲気が不思議であわあわしていて周りがいつの間にか取り込まれるさまが良かった。好感。
装丁の土屋仁応さんの作品の儚い美しさが、あみ子の純真で透明なイメージにぴったりでとても素敵。
見返しのデザインも綺麗です。
読了日:2011年11月18日
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