2011年の読書メーター
読んだ本の数:124冊
読んだページ数:14295ページ
ナイス:3366ナイス
感想・レビュー:119件
月間平均冊数:10.3冊
月間平均ページ:1191ページ
■こちらあみ子
あみ子、と呼んでそっと抱きしめたくなる。あの子と遊ぶための色褪せたトランシーバーをあみ子はまだ大切にしているだろうか。「こちらあみ子。おーとーせよ」と発する言葉に誰かが応えてくれているだろうか。悪気はない、わかってはいても人を苛立たせ、家族の輪も壊してしまうあみ子の言動は、ただのお話とは割り切れないぼんやりした痛みを伴う。改題される前の「あたらしい娘」のタイトルが知らせてくれるように、母の気持ちが痛いほど伝わって、でもどうしようもなくてただただきゅっと胸が締め付けられる。あみ子の世界。全てが愛おしい。
読了日:11月18日 著者:今村 夏子
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■たんぽるぽる (かばんBOOKS)
たんぽぽ咲く可愛らしい装幀本の中の世界に溺れそうになる。雪舟さんの独特な感性に強烈に惹かれてしまう。言葉ひとつひとつの連なりに情景が浮かび、そこはかとなく感じる包み込まれるよな優しさ。…かと思えば不穏な冷たい空気も発している。二面性の妙が強烈に惹かれてしまう理由なのかしら。たんぽるぽるの章は好き。遠く離れて暮らすあの人恋しく夜の静寂にちょっと切なくぽろんとした。
読了日:11月11日 著者:雪舟 えま
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■六つの星星
作家・川上未映子さんの魅力がさらに大きく膨らんだだけでなく、対話された方々のお話も深い知識と見識に満ち溢れていて、大変豊かな読書時間をいただけました。川上さんの好奇心の旺盛さ、そこから得る知識の方向性、独特の感性が対話の中で見事に表され感嘆しました。中でも一番好きなのは生物学者・福岡伸一氏との対話。「入れ子」から「蚊柱」「動的平衡」…もっと読んでいたくなるくらい興味深い話。六つの星星…無限の宇宙のように対話は果てしなく終わりがない。私の狭い世界の入り口を開いてくれた本。一読でなく何度でもおさらいしたい本。
読了日:11月11日 著者:川上 未映子
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■キューピッドとプシケー
綺羅びやかで眩い多彩な世界。見れば見るほどその色の魔術にうっとりしてしまうエロール・ル・カインですが、こちらの作品は色のないモノクロの世界。これがとても美しく素晴らしい。見れば見るほど心惹かれ虜になってしまいます。まさに芸術作品!という一冊。ギリシャ神話を素材にした美しい娘プシケーと恋の神キューピッドの愛の物語。ル・カインの絵とウォルター・ペーターの物語世界が見事に融合されて美しい幻想世界に。これは是非とも手元に置きたいと気持ち高めるのです。
読了日:11月10日 著者:ウォルター ペーター
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■まほうつかいのむすめ
ル・カインのいつも見慣れた彩色とは少し異なり、東洋と西洋が絡みあったかのような美しい絵と、しんみり優しい話。まほうつかいと娘が親子であることに最初は違和感を感じたのですが、読み進んで違和感の正体がわかりました。むすめが成長していくごとに知識を欲することにまほうつかいはどんな気持ちだったのでしょうか。やがて手を離れていくことも覚悟していたはずなのに。むすめが本を読み、新しい世界を知る喜びに満ちている絵がとても素敵。本読みならばここは大いに共感する場面ですね。ル・カインの多才さにも感銘する素晴らしい作品です。
読了日:11月10日 著者:アントニア バーバー
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■おどる12人のおひめさま―グリム童話
昔のとある国のお話。12人の美しいお姫様たちが眠りにつき夜が明けると、どうしたわけかお姫様たちの靴は一晩踊り明かしたかのようにぼろぼろ。何故なのでしょうか。この不思議な謎は解き明かされるのでしょうか。エロール・ル・カインの美しい絵と矢川澄子さんの優しい文章が物語をより一層幻想的世界に創り上げています。お姫様たちの優雅な様子、夜の綺羅びやかな世界、きめ細やかに世界観を描いているさまは何度見ても惚れぼれします。お姫様のドレスもそれは豪華で素晴らしく、色彩やデザインについと魅入ってしまいます。ただただ美しい。
読了日:11月06日 著者:ヤーコプ・ルートヴィッヒ・グリム,ヴィルヘルム・カール・グリム
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■いばらひめ―グリム童話より
エロール・ル・カインの幻想的で美しい絵と矢川澄子さんの優しい調べの文章は、何度読んでも気持ちがときめいてしまいます。表紙絵にもなっている仙人たちとの宴の様子は殊更美しく、カインのきめ細やかで豊かな色彩は秀逸。原画で見ることが出来たらどんなにか幸せでしょうか。文章の周り枠の絵も淡い色調でちょっとレトロな感じで可愛らしい。ボーダーで部屋に飾りたい、壁紙でも可愛いかも、なんてあれこれ想像してすることのなんて幸福な時間。大切にしたい作品。いつか手元に置きたいです。
読了日:11月06日 著者:グリム
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■ミステリマガジン 2011年 12月号 [雑誌]
クレイグ・ライスやウッドハウス目当てでしたが、A・A・ミルンが予想外の秀逸さでにんまり。特集の「ユーモア・ミステリ遊歩」、「黒猫の遊歩あるいはクリスティー講義」ふむふむと読んでおります。今月号も面白く隅々堪能。
読了日:11月06日 著者:
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■空がレースにみえるとき (ほるぷ海外秀作絵本)
ああ!なんて素敵な絵本!とてもとても好きです。バーバラ・クーニーの幻想的で美しい絵と、エリノア・ランダー・ホロウィッツのリズミカルで詩的な文章が素晴らしくうっとりと酔いました。ビムロスの夜を知っていますか?全部がふしぎの世界のむらさきに変わり、薄靄の夜、空がレースにみえるの。特別のパーティにも参加出来るんだわ。ビムロスの夜に起きる不思議な出来事。ページをめくる度にふんわり優しい文章が物語に誘ってくれます。そしてビムロスの幻想的な場面は見惚れてしまうほどの美しさ。水彩、色鉛筆、クレヨンの優しく淡い世界。
読了日:11月05日 著者:エリノア・ランダー・ホロウィッツ
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■ラストリゾート
ただそこにあるだけで存在感ある絵本。飾っておきたくなる美しい表紙。想像力をなくしてしまった画家が辿り着いたリゾート・ホテルでの不思議な日々。あらゆる既存のお話が出てきてそちらも楽しめました。ここからまた新しい出会いが出来そうな素敵な絵本。さて画家は想像力を取り戻せたでしょうか?あとがきにとても丁寧に物語に登場する人物たちのことが書かれています。中でも詩人と木の上にすわる紳士が気になりました。是非とも手元に置きたい絵本。
読了日:11月05日 著者:J.パトリック ルイス
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■百年の家 (講談社の翻訳絵本)
何度も何度も読んで眺めてお話に酔って。これはなかなか離れ難い絵本。とにかく絵が素晴らしい。その時代時代の背景や雰囲気が家の色合いによって鮮やかに伝わってきます。100年の歴史の中で人間と共に築き上げやがて朽ちてゆく。一軒の古い家が自分の歴史を繙き語っていきます。家と共に日々をつなぎ営む人々の喜びも悲しみも機織られ紡がれてゆく。雨風から守り優しく見守りその役割を終えてゆく家の姿は静かに胸を打ちます。愛しさに満ちた絵本。大切な一冊になりました。
読了日:11月05日 著者:J.パトリック・ルイス,ロベルト・インノチェンティ
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■ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで
完全大人のための絵本。娘と借りに行ってこっそりこの絵本は抜き出して夜中に読んだ。ゴーリーの緻密な線画によって創りあげられた世界観。アルファベットブックになっていて順番に子供たちが悲惨な最期を迎えてゆく。このちびっ子たちが一体どんな悪いことをしたの?いいえ、悪さなんてしていないのです(もしかしたら一人や二人はいけないことをしてしまったのかもしれないけれど)。もの凄く凄惨なお話なのに何故か可笑しみも漂う、ゴーリーワールド全開な絵本。読み終えて私の中の闇の本棚にそぅっと仕舞った。
読了日:11月05日 著者:エドワード ゴーリー
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■繕い裁つ人(2) (KCデラックス)
読了日:10月28日 著者:池辺 葵
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■繕い裁つ人(1) (KCデラックス)
読了日:10月28日 著者:池辺 葵
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■鉱物見タテ図鑑 鉱物アソビの博物学 (P-Vine Books)
鉱物を薔薇に見立てた表紙に、鉱物好きならばそのまま素通り出来るはずがありません。手にとって本を開けば好きの気持ちがさらに高まって恋に変わってしまうはず。美味しそうなお菓子のような鉱物など奇跡の産物に惚れ惚れ。鉱物についての説明もきめ細やかで、登場する小説の一片を紹介し、そのタイトルまでも美しく想像豊かに鉱物世界へ導いてくれます。例えば「地界古書」「墜ち羽」「玻璃の翼」「ミルフィール時間」「月下の滝」など。 鉱物好きにはたまらない1冊。鉱物に興味のある方には是非ともこの美しい石たちの姿を見て欲しいです。
読了日:10月26日 著者:フジイキョウコ
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■鉱物アソビ 暮らしのなかで愛でる鉱物の愉しみ方 (P-Vine Books)
もう幾度となく眺め、その度に鉱物たちに心惹かれ鷲掴みにされる本。鉱石好きにとってうふふ、むふふな本。鉱物が高嶺の花ばかりでなく、暮らしの中に雑貨のように何気なくそこに置く提案もされていて鉱物が身近に感じられます。鉱物に出逢える場所や扱い方、戯れ方などもあって美味しいアソビがぎゅっと詰まっているお菓子箱のような本です。そして鉱石への思いを芽生えさせてくれた宮沢賢治や稲垣足穂の世界にまた触れたくなります。小さな石を愛でることは石好きにとってはこの上ない癒しであり心和むことなのです。
読了日:10月26日 著者:フジイキョウコ
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■ようこそ、自殺用品専門店へ
奇妙なタイトルにどこか可愛い表紙、とことんネガティブな(家族の名前が自殺した有名人たち)テュヴァッシュ一家のブラックユーモアな物語。死を漂わせながら彼らは絶対に死ねない運命だったり、未来も希望もなくただ淡々と生き、自殺志願者に確実に成功する品々を売る日々。そんな一家に誕生した末っ子アラン。底抜けに明るくその可愛らしさに触れてゆくうちに家族たちに少しずつ変化が。これから一家で新たな一歩を踏み出そうとしていたのに‥。思いも寄らない結末に衝撃を受け、読み終えてなおアランが生まれた意味をぐるぐる考え続けている。
読了日:10月24日 著者:ジャン トゥーレ
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■Pooka+―酒井駒子 小さな世界
酒井駒子さん特集。やっとやっと読めました。もう〜ぎゅうぎゅう抱きしめたいくらい愛らしい!酒井さんの暮らしや好きや生い立ちなどが読めることも貴重(幻のお仕事も!)。表紙カバーイラストを手がけられた作品リストは嬉しい。本棚がうっとりするくらい素敵でじぃっといつまでも背表紙眺めてしまう。酒井さん好きだーの気持ちをさらに高める1冊です。書きおろしの「お人形さん」が好き。物憂げな表情、夜のように黒の背景、どこか寂しいけれど温かな雰囲気、酒井さんの紡ぐ世界はこんなにも愛おしい。
読了日:10月24日 著者:酒井 駒子
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■マイマイとナイナイ (怪談えほん2)
皆川博子さんと宇野亜喜良さんの幻想的で妖艶な世界に酔いました。これは夢の世界なのでしょうか。夢からもう抜け出せずもがき続けるしかないのでしょうか。声を枯らして叫び続けても。夢に閉じ込められたマイマイはきっと誰の心にもひっそりと存在するのかもしれません。いつしか置き忘れてしまったあの時の自身かもしれません。私たちはマイマイとナイナイがくるりと入れ替わったその瞬間を気づかずに歩み出す。か細き声で呼んでももう気がつかない。皆川さんの美しく妖かしの世界にただただ魅了される。
読了日:10月14日 著者:皆川 博子
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■悪い本 (怪談えほん1)
可愛らしいけれど、どことなく怖さがじわっと滲み出てくるような表紙に惹かれつつ本を開いてみれば、そこには言い知れぬ黒い世界が。読みながらひたひた押し寄せる怖さ。読み終えてじわじわ侵食してくる怖さ。でも病みつきになってしまう怖さ。心の奥底に潜む自分の暗黒部分を起こされるような妙なざわざわ感が残って、いい意味で気味悪い読後感。今は理解出来ずとも子供に読ませていつか大人になった時どこかで蠢く違和感を感じる‥潜在的にひっそりと棲み続けるであろう怖い世界。宮部さんの文章と吉田さんの可愛くて怖い絵が絶妙で素晴らしい。
読了日:10月14日 著者:宮部 みゆき
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■茗荷谷の猫
はらはらと舞い散る桜のように儚くも、人の命はその時代、その土地に確かに存在し出会い別れまた廻り来る。生を受けた時代をその今を懸命に生きる姿、移ろう時代が確かに繋がっている。ゆるやかに繋がってゆく話のひとつひとつがとても良く、はっとさせられることもあり、しみじみ深々と感じ入ったのでした。「染井の桜」「仲之町の大入道」「隠れる」「てのひら」がお気に入り。「ぽけっとの、深く」ではとある場面で胸が締め付けられじんわりと。柔らかく包まれる読後感。染井吉野であろうか桜の表紙が美しく読後の余韻に浸りながら眺めている。
読了日:10月02日 著者:木内 昇
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■25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC)
『虫と歌』のデザインも好きでしたが、こちらもさらに美しく仕上がっていてうっとり惚れ惚れ。市川春子さんの世界観はさらに壮大になり、人物たちの発する言葉が少ない分、読み手の想像力を高めてくれる。前作よりもSF要素がよりハードになって、さらりと読むには難解で、だから何度でも読み返したくなるしいつまでもこの感覚に浮遊していたい。消え入りそうで儚くも存在感は圧倒的な世界。3作どれも好きですが、お気に入りは「月の葬式」。ぞわっとするあの描写が瞳の奥深くに刻まれて消えないのです。そしてラストが良い。
読了日:09月29日 著者:市川 春子
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■虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)
もう何度読み返したことか。出会ったときからずっとそばにあって、折りに触れ手にとってこの世界に浸って、初めて読んだ時の衝撃や切なさや哀しみなどが変わらず心寄り添って。SFの硬質さの中にじんわり体温が感じられる仄かに人間味溢れる作品たち。市川さんの創り上げる世界観の素晴らしさにただただ息を飲むばかりです。
読了日:09月29日 著者:市川 春子
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■天地明察(1) (アフタヌーンKC)
原作のコミカライズを読むことは滅多にないのですが、大好きな『天地明察』の世界がどんな風に視覚的に入り込んでくれるのか確かめたくて手にとってみました。その前にこの表紙カバーの淡い感じが実に美しくて心惹かれてしまったのですけど。この表紙の美しさのまま世界観も素晴らしかった!隅々まで細やかに時代を描いていて何と言っても春海の豊かな表情がとても良い。これは冲方さんの一言あっての春海だったのですね。大好きな安藤さんも素敵だわぁ。春海の壮大な挑戦‥これからどう描かれていくのかとても楽しみ。追いかけます!
読了日:09月29日 著者:槇 えびし
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■ミステリマガジン 2011年 11月号 [雑誌]
とても楽しみにしていました。皆川博子さんの小特集があるから。とても良かった!『開かせていただき光栄です』の前日譚も堪能しましたし、何と言っても"迷宮解体新書"は心躍らせて読みました。著作リストも嬉しい。そしてカラーページも素敵(「死の泉箱」!)これは保存版だわ。これからも皆川さんの世界に触れていたいと思いを強くしています。
読了日:09月26日 著者:
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■眠る石―綺譚十五夜
眠る石の記憶、夢を見続ける石たち。礼拝堂、寺院、回廊などの建築を綺譚十五夜として幻想的に綴る石の物語。栄光の時から歴史を見つめ続け、今なお時代の生き死を刻み続ける。奇妙で夢幻な物語の一編一編が鮮やかに迫り来る。圧巻な筆力にただただ魅了されました。石像と化した王女(第一夜)、時空超え己の乾屍体と出会う玄奘法師(第三夜)、踊る髑髏、密かに絵に秘めたホルバイン「大使たち」を題材にした物語(第七夜、第八夜)、ザナドゥー夢幻閣(第十四夜)など印象的でした。
読了日:09月11日 著者:中野 美代子
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■うきわねこ
ひゃぁ!なんてなんて愛らしいのでしょうか。この可愛さにキュンとなります。牧野千穂さんの絵が素晴らしい。一枚一枚が絵画のようでどの場面もずっとそばに置いていつでも愛でたい気持ちになります。蜂飼さんの優しい詩的な文章もほかほかにさせてくれます。おじいちゃんからプレゼントされたうきわ。満月の夜にうきわをふくらませてみると‥。幻想的な夜の場面が印象深い。落ち込んだ日の夜に温かなお茶とうきわねこでほんのり優しさと立ち直る元気をもらえそう。上質な絵本は心を豊かに瑞々しくしてくれますね。大切な一冊になりそうです。
読了日:09月09日 著者:蜂飼 耳
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■きんのたまごのほん
もうもう!惚れてまうやろ〜!な、愛らしい絵本。豪華で美しい表紙、うさぎさんの愛らしい仕草、ページごとに華やかに彩られた背景。青い卵がなんとも幻想的です。このまんまるいころころしたものは一体なに?と不思議そうにちょんちょんしたり、転がしてみたり、蹴りを入れてみたり。やがて卵から孵ってきたものは?一匹と一羽の芽生える友情がほのぼの温かく素敵なお話。それにしてもなんて愛らしいのでしょうか。もふもふ感がたまりませんわ。マーガレット・ワイズ・ブラウンとレナード・ワイスガードのコンビ本、他にもぜひとも読みたい。
読了日:09月09日 著者:マーガレット ワイズ・ブラウン
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■月と蟹
子供たちの抱える闇がやがて怪物のように蠢き黒く大きく育っていくさまが不気味で心が凍えるようだった。叫び続けている断末魔が体の中で膨らんでいつ破裂してしまうのだろうか、と彼らの行先を案じた。行き場のない思いをヤドカミ様に託す儀式が残酷で不気味でただただ哀しい。揺らめく不安定な心理描写が殊更上手く見事に気持ちを囚われた。慎一の祖父・昭三の存在が圧巻。少年たちの鬱屈さが目立ちますが、屈託ない子供の冒険心、自然の描写なども読ませてくれて暗く重たさに彩られながらも仄かな光に救われた。春也の心情も読みたかった。
読了日:09月07日 著者:道尾 秀介
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■おそとがきえた!
市川さんの素晴らしい絵と、角野さんのぽかぽか優しいお話。大きな町の小さな家に住むチラさんと猫ちゃんの暮らしが温かい。冬の寒い日、ストーブでスープをことこと煮て、そのそばで猫ちゃんと編み物して過ごす場面がとても好き。冬の夜にだけあらわれる秘密のおそと。チラさんの願い。ささやかだけど夢を持ちながら、今の生活を穏やかに暮らすチラさんの姿勢が素敵です。諦めなければいいことが待っていますよね。灰色の背景がぱっと明るく変化していくと共におばあさんの顔も艶やかでとても活き活きしていて。環境と老い…しみじみ考えます。
読了日:09月07日 著者:角野 栄子
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■カプチーヌ (魔女のえほんシリーズ)
とてもやわらかで優しいタッチの可愛らしい絵、カプチーヌという女の子のお話、動物たちとの会話、お話も可愛らしくてついつい笑顔になってしまいます。お父さんがちょっと魔が差したばかりにカプチーヌの身に大変なことが起こってしまうのですが、動物たちと魔女のお城まで行く過程、お城に入ってからのちょっとした冒険心、これらがとても楽しかっただけにお話の最後がしゅんとしぼんでしまったような感じ。でも子供にはきっとわかりやすいかしら。江國さんの訳もカプチーヌを温かく見守る母のように優しい言葉で紡がれていて素敵です。
読了日:09月07日 著者:タンギー・グレバン
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■秘密の花園
多感な年頃って自分の世界がとても狭くて、だからこそ抱える闇の深さにはまって底のない沼に落ちたかのような絶望感に陥ってしまう。世界はもっともっと広くて自分のそんな闇なんて本当にちっぽけなんだって気がつくのは一体いつだったろうか(ああでも那由多の場合はちっぽけでないけど)。那由多、翠、淑子、3人の心の奥に潜む秘密。那由多と翠の関係性が特に良くてかなり好き。男が決して入り込めない女子同士の、妙に確立した世界観がこの二人にあって読んでいてうっとりするくらい良かった。あとがき冒頭の小さなお話が可愛い。
読了日:09月06日 著者:三浦 しをん
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■ほっと文庫 はちみつ色の
セイとテンちゃんのママはブレない。自分の信念の通りに生きて子を育てる。たとえ周りから何と言われようとも。女一人子を育てるって並大抵なことではいかない。けれどもママはブレない。すごく強い。でもね、女だもん、時には男に甘えたくなるんだよね…なんてちょっぴりママの気持ちを思いながら読んだ。セイはこれから成長していく過程でママとテンちゃんとどう生きていくのだろうか、と少し将来をも思いながら。はちみつの甘さと涙のしょっぱさと、人生そんなもんだ。本にうつったほのかに甘く香るはちみつの匂いを楽しみながら読んだ。
読了日:09月06日 著者:西 加奈子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/13239909
■ほっと文庫 郵便少年
アオヤマくんにまた会えた!なんてなんて素敵なお話。郵便局に興味いっぱいの、アオヤマくんの素直な可愛さにまたもやメロメロになってしまった。短い物語の中に優しくて愛おしくて切なくて…さまざまな感情がぎゅっと詰まった1冊。すんと甘酸っぱく切ない思いが広がってくる。赤いポストに投函された手紙はどこまででも遠く運ばれていく。ヒサコさんの手紙もハセガワくんの宇宙語の手紙もアオヤマくんの手によってちゃんと届けられるんだ。遠くて近い未来へ。あの日の朝の森の匂いと共に。『ペンギン・ハイウェイ』と並ぶ愛しき1冊になりました。
読了日:09月05日 著者:森見 登美彦
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■ほっと文庫 ゆず、香る
冒頭からゆずの香りが感じられて、ふわふわと体を心地良く包んでいく。互いにきっと想いは繋がっているんじゃないかと仄かに感じている。あの時一歩踏み出せたら二人の関係はもっと近寄っていたのだろうか。学生から社会人へと時が流れてなお、今の関係が壊れてしまうことを恐れるあまりこれ以上歩み寄れない。そんな恋に臆する二人が何とも切なくて愛おしくて。それでも有川さんさすがです、こんなに素敵な贈り物を用意してくれていたなんて。ゆずの入浴剤に添えられた生産地。うまいなぁ。素敵だ。ゆずの香りに包まれて、ほろり。
読了日:09月04日 著者:有川 浩
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■薔薇と嵐の王子
ジョルジュ・サンド生誕200年記念絵本。サンドが晩年孫に残した童話の一編。独特なタッチの絵とサンドの幻想的壮大な物語が絶妙に合っていて、艶やかな色香に魅せられます。時にロマンチックに、時にエロチックさえ感じさせるサンドの世界。それは波乱万丈の人生を生きたサンドだからこそ生み出せたのでしょう。ひとりの少女、アウローラがそっと耳を傾けた薔薇の花の言葉。ショパンをBGMに読めばまた素敵な時間が流れそう。サンドの物語、他にも興味があります。そしてニコル・クラヴルーの鮮やかな絵が忘れられない。表紙が素晴らしく素敵。
読了日:09月04日 著者:ジョルジュ サンド
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■かえる食堂でいただきます (nina’s+) 24の季節から知る、からだにおいしいレシピ79
「天然生活」でだったでしょうか、記憶はおぼろですがかえるちゃんの素朴なけれども忘れられない料理や食事に対する姿勢はずっと忘れずにいました。なかなか本に出会う機会がなかったのですが、図書館で見かけて借りて帰ってからずっとずっと眺めています。春夏秋冬の四季折々のレシピ本は多々あるけれど、二十四節気という暦と共に移り変わる季節や生活、そして順応していく体。その体を思いやって取り入れる季節の野菜のレシピ。中でも四季のおてあてがかえるちゃんの優しさを感じられます。もうすぐ白露。そして秋のおてあてです。
読了日:09月04日 著者:松本 朱希子
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■キャベツ姫
まず表紙の野菜たちにどこかシュールで幻想的な感じがして、思わず手にとってしまいました。よくよく作家さんを見たら、「キャッツ」のエロール・ル・カインではないですか。それはきっと素敵なはず!と読みましたら何とも不思議でユーモアな絵とお話にすっかり入り込んでました。怒りん坊で悪口ばかりの王様に降りかかった悪夢。絵の色調はどちらかというと暗く重たい雰囲気なのに、明るい印象なのですよね。これもカインの魔術なのでしょう。始めのページをよくよく見ると…仕掛けがあって楽しいです。
読了日:08月30日 著者:エロール ル・カイン
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■眠れぬ王さま (1983年)
鮮やかで独特なタッチのイラストが目を惹きます。森奥深くに住む魔法使いの小人は困っている森の仲間を誰でも助けてあげていました。ある朝小人のもとに一人、いや一匹の白ネズミのお客さま。ネズミは自分の住むお城の王さまのことで相談にやってきたのです。王位についてから一度も眠れない王さま。どうか王さまを助けて!さぁ小人とネズミの旅の始まりです。やがてお城についた小人はどんな風に王さまを眠らせるのでしょう。王さまは眠れるのでしょうか。小人の純粋な無償の行いにしみじみ。ついつい見返りを求めてしまいがちな自分を反省ですわ。
読了日:08月30日 著者:スヴェトスラフ・ミンコフ
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■バタをひとさじ、玉子を3コ
昨年亡くなられた石井さんの食にまつわるエッセイ。50年代フランスで留学時に培われた食のセンスがそこかしこに溢れて読み手を心地良く誘います。食べるだけでなくお料理するのもお好きだったのだな、と読んでいるとこちらまで何か作りたくなってしまう。最初のオムレツの話から強烈に惹き込まれてとにかくオムレツが食べたくなってしまう!生きるために食べること、食べるために生きること、シンプルだったり時に贅沢してみたり、食の奥深さを教えてくれます。
読了日:08月29日 著者:石井 好子
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■森見登美彦の京都ぐるぐる案内
京都ってどうしてこんなに心惹かれるのでしょう。古の香りただよう雅な雰囲気ですけど、一歩路地に入ればくるりと別の世界に迷い込んだかのような妖しい雰囲気もあって。なかなか訪れる機会はありませんが、いつか森見作品とこの案内書を手に散策してみたいな。『夜は短し歩けよ乙女』を愛する私としては古本市の下鴨神社や喫茶「進々堂」、夜の四条木屋町や先斗町が見られて嬉しかった!あ、積んでいる『きつねのはなし』を読む読む。
読了日:08月28日 著者:森見 登美彦
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■開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)
舞台は18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室で増殖する屍体。その屍体は異様な姿で発見された。あるはずのない屍体の謎。18世紀という舞台もうっとりですが、解剖学教室の面々の魅力的なこと。不可能犯罪の解明に挑むダニエルと弟子たち、そして盲目の判事の公正でかつ鮮やかな捜査と推理。詩人を夢見る少年の運命。闇に挑む彼らが辿り着いた真相とは。退廃的で妖しい雰囲気の中に醸しだされる耽美さに酔いました。読み終えてなお深まる哀しみにしみじみ浸っています。装丁画がとても美しい。皆川さん作品を読めることは至上の幸福と喜び。
読了日:08月25日 著者:皆川 博子
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■にぎやかなほん!
ひゃぁ!なんて可愛いらしいのでしょう。動物たちのもふもふの毛の柔らかそうなこと。愛らしい仕草、にぎやかな音に反応する様子がそれはそれはキュンとするくらい可愛らしく描かれています。意味なく何度も開いて愛らしさに心癒されております。江國さんの訳も素敵。「しんとしずかな、ほん」も気になる〜。いや、これは手元に置いていつでも好きなときに愛でたい絵本ですわ。
読了日:08月25日 著者:デボラ アンダーウッド
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■ねずみのへやもありません
クリストファー少年とお母さんとねずみのスニーキー、2人&1匹なのにこんな大きなお屋敷!お母さんのお仕事は一体…?と不思議に思えちゃうほどお母さん毎日毎日忙しいのです。部屋がいっぱいあるからと、街で困っている人をおうちに呼んであれやこれやとお屋敷は人々でいっぱいに!それでもお母さんは自分のことでいっぱいで周りが見えていないみたい。大切なクリストファーはどこ?やっといないことに気がついたお母さん。大切なものが失くなって初めて気がつくこと。可愛くて楽しいお話の中に素敵なメッセージが込められています。
読了日:08月24日 著者:カイル ミューバーン
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■おばけとしょかん (児童図書館・絵本の部屋)
ある夜、ボーが大好きな魔女が出てくる本を読んでいると突然部屋の明かりが消えて…本好きなボーとオバケたちのちょっと面白くて不思議な交流。空っぽのおばけ図書館の壮観さに思わずおお〜!とわくわくしちゃいます。ここにたくさんの本が並べられていく様子を想像したりして。あらゆる場面で想像力が試される絵本。何だか憎めない怖そうでないオバケばかりなので、私もオバケ図書館に出入りしてみたいわぁ。部屋を暗くすると表紙がぼぅっと光るのも面白い演出。
読了日:08月24日 著者:デイヴィッド メリング
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■アカシア騎士団 (1976年)
古書店で購入し、手元に届いてからというもの何度も愛でているところ。古書という古めかしく漂う香り、程良くセピア色に染められたページの色合い、儚く細いフォントのかたち、そしてここに紡がれる金井さんの16編の短編たち。なんて甘美で耽美な幻想世界。夢か現かの揺らめき。読んでいる間も読み終えてからも濃厚なため息に自分で溺れてしまいそう。読み終えてまだここから立ち去りがたくもう一度物語をなぞり浸り溺れるのです。あとがきにかえた「ペネロペーの機織り」金井さんの創作世界を読めて嬉しい。幸福な読書時間でした。
読了日:08月23日 著者:金井 美恵子
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■砂糖菓子の男―ギリシアのむかしばなし
幻想的でシュールなユーリア・グコーヴァの絵に激しく惹かれてます。タイトルの「砂糖菓子の男」まさに砂糖菓子の男の不思議なお話。幻想的な絵と物語に魅せられて何度も何度も繰り返し眺めていました。黄金の船、次のページを想像させる仕掛け、そこここに楽しみが。人を愛するという刹那な思いが王女の行動からひしひし感じられます。ユーリア・グコーヴァにすっかり魅せられました。ギリシアの昔話。
読了日:08月23日 著者:アルニカ エステル
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■あやつり人形ピッパ
あやつり人形のピッパとペッポは長い間カタリーナの子ども部屋で暮らしていました。仲良く壁にぶらさがって来る日も来る日もカタリーナと遊べる日を夢見ていました。でもその日はなかなか訪れません…。とうとうピッパはうんざりして部屋を出ていくことに。外に飛び出したピッパの運命はいかに?ユーリア・グコーヴァのシュールな絵が印象的でお話、というよりも絵に注目して読んでいました。ピッパがちょっと怖い?ようで娘は敬遠気味。でも私はこのシュールな感じがお気に入り。ピッパの新たな一歩、勇気をもらえます。
読了日:08月23日 著者:エーディト ターベット
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■魔女の隠れ家
ちょっと残酷で怖いマザーグースの童話をひらいたかこさんの世界で堪能。シュールで怖いのですけど、ひらいさんのトリッキーな絵でオモシロ怖い世界に。でもよくよく見れば残酷なのです。その落差が余計に怖さを増します。怖い怖いと思いながらなぜか残酷なものに惹かれてしまうもの。じぃっと目をこらして見つめてしまうほど色鮮やかな色彩に魅了されました。
読了日:08月23日 著者:ひらい たかこ
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■きいろいかさ
文字のない絵だけのお話。雨の日一本のきいろいかさは青いかさに出会い、赤いかさに出会い…彩り鮮やかなかさたちがくっついて離れてまるでミュージカルをみているよう。雨音をバックにリズミカルに踊るかさたち。なんて美しい世界なのだろう。韓国の作家さんなのですが、とても綺麗で印象深い絵本になりました。絵本にCDが付いてまして音楽を聴きながら眺めるとまた違った感覚で楽しめます。雨の日がちょっと楽しみになるような素敵なお話でした。大好き。
読了日:08月12日 著者:リュウ チェスウ,シン ドメイル
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■ドラゴンマシーン
幻想的なイラストと少し切ないお話が印象的。ある雨の日、少年はドラゴンが見えるようになりました。でもドラゴンは誰にも見えません。少年にしか見えていないようです。だってドラゴンなんてこの世にいるはずないもの。存在を否定してしまったら見えるものも見えないのです。それはドラゴンだけ?ちゃんと見えてなきゃいけない存在は見えている?大人には考えさせられる物語でした。少年の寂しい気持ちが見せたドラゴンはちゃんと幸せを運んでくれたんだよね。
読了日:08月12日 著者:ヘレン ウォード
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■すてきなおうち
マカロンのような可愛らしい彩りに娘と一緒に読んでみました。すてきなおうち、このおうちは誰のおうちかしら?可愛い動物たちが次々出てきて楽しませてくれます。カラフルな世界がとても綺麗で目にも楽しいのです。2歳の息子にも楽しかったようで一緒にふむふむと眺めていました。とても可愛い絵本。
読了日:08月11日 著者:マーガレット・ワイズ ブラウン
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■すきまのじかん
タイトルと独特な絵に惹かれて読みましたら、これがとっても可愛らしく素敵なお話でした。夕暮れ時のすきまの時間、この時間の生まれた理由を知っていますか?太陽の時間と闇の時間のすきまにするんと入り込んだすきまの時間って何故かとっても切なく寂しい気持ちになるものです。それは誰を密かに恋しているような片思いの気持ち。それはすきまの時間の気持ちと同じでした。ふんわりと優しいお話に癒されました。
読了日:08月07日 著者:アンネ エルボー
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■絵本マボロシの鳥
太田光さんの原作を読む前に藤城さんの作品を読みましたが、なんてなんて素晴らしいのでしょうか。群衆が劇場に押し寄せる場面やマボロシの鳥が光り輝く幻想さや…息を飲むほどの美しさで見惚れてしまいました。太田さんの創った世界を藤城さんの影絵でさらなる素晴らしい光の物語へ。自分の表現したものを誰かが見てくれている。「この世界はきっとどこかでつながっている」−太田さんが発したメッセージが実際に形になったこの絵本が殊更愛おしくてなりません。藤城さんを夢中にさせた原作をちゃんと読んでみなくては、ね。
読了日:08月07日 著者:藤城 清治
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■ミステリマガジン 2011年 09月号 [雑誌]
読了日:08月03日 著者:
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■夜がくるまでは
素敵!ガーゴイルを主役にしたモノクロの世界が魅力的。恐ろしくて奇怪ででも哀愁漂っていたり愛嬌のあるガーゴイル。雨どいとして屋根からにゅっと突き出し虚空を見つめるばかり。でも夜がくるまでは。夜の世界ガーゴイルたちは自由に動きまわり、己の置かれた環境についてぼやきあう。大好きなガーゴイルたちが奇妙に愛らしくて絵本の素敵さに惚れ込んでしまいました。江國香織さんの訳も歌うようにリズムに乗って楽しげ。図書館の絵本棚の片隅に置かれた絵本ですが、私には一際光を放って見えました。これは是非とも手元に置いておきたい一冊。
読了日:07月27日 著者:イヴ バンティング
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■うさぎのおうち
ちょっとレトロな雰囲気に惹かれて。うさぎや植物の細やかな絵に魅了されます。春に芽吹く草花、活き活きと描かれた動物たち、水の中の生き物、そしてうさぎの毛並みの美しさ。素晴らしいです。そして素敵なラストも微笑ましい。
読了日:07月27日 著者:マーガレット・ワイズ ブラウン
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■ぐーぐーぐー―みんなおやすみ
イルソン・ナさんの別作品「ブルルルル」が殊更に可愛らしくてキュンとなり毎夜眺めては癒されている日々。こちらの「ぐーぐーぐー」も楽しみにしていました。空が闇に包まれて月が光りだす夜、みんなぐーぐー眠っている頃みみずくだけは夜の番人のごとくみんなの眠りを見守ります。いろんな動物のそれぞれの眠りの姿。無防備な寝姿にこれまた愛らしさがいっぱい。今宵もみみずくはみんなの夢を守るのでしょう。素敵な絵本でした。
読了日:07月27日 著者:イルソンナ
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■最初の刑事: ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件
ヴィクトリア朝英国で起きた幼児惨殺事件。後に数々の探偵小説が生まれるもとになった事件の顛末と真相。フィクションながらまるでミステリや探偵小説を読んでいるかのような充実感に満ちており、その吸引力は圧倒的。事件の起きたケント家での複雑な家庭環境と人間関係、当時の警察機関の体質、この時代の背景が写真や資料によって興味深く描かれます。その先に待ち受ける真相と犯人とは。事件の真相は加熱する報道や「探偵熱」に浮かされた人々によって数奇な運命に翻弄されるのです。最後の胸突かれる文章は秀逸で深い余韻を残します。
読了日:07月13日 著者:ケイト・サマースケイル
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■ブルルルル―はるはまだ?
東京国際ブックフェアの絵本ブースで娘が一目惚れ!私もあまりの可愛さにメロメロになってしまいました。買って帰ってからずっとずっと眺めています。春待ちうさぎと動物たちの愛らしい姿、鮮やかな彩り、細やかに描かれたモチーフなど見る度に気持ちが和やかになります。独特な色使いは刺繍やアップリケのような感じにも見えてとても興味深いのです。韓国の作家イルソン・ナさんの他の作品にも是非とも触れたい!素敵な出会いが出来ました。
読了日:07月11日 著者:ナ イルソン
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■盗まれっ子
取り替え子伝説を題材に描いた物語。ある日突然ホブゴブリンとして生きることになったエニデイ。何年も待ち続けて人間の子に戻ったヘンリー。彼らの視点から交互に物語は綴られていきます。人間の子に戻ってなお試練と苦悩に苛まれるヘンリーと、森の中で厳しい孤独を生きるエニデイ。これまでの記憶や感性が徐々に薄れ、現在の運命を人生を受け入れて成長していく姿は痛々しくも力強く逞しい。好きなのは森の魅惑的な世界と奇妙で愛らしい妖精たちの場面。おぞましく残酷な物語のはずなのに、温かく煌めきに満ち溢れた自己探求と彼らの成長物語。
読了日:07月07日 著者:キース ドノヒュー
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■クマの名前は日曜日
ある日少年のもとにクマのぬいぐるみがやってきた。名前は日曜日。僕はいつも日曜日といっしょ。大事に大切にしているんだ。でもさ、日曜日は僕のことどう思っているんだろう?子どもらしい視点で微笑ましく物語は進みますが、お話は夢の世界へ…。ちょっとシュールで可愛らしい。ミヒャエル・ゾーヴァの絵も味わいがあって素敵(表紙の絵が何だかいいんですよねぇ)。あまりにも愛情が溢れてしまうと相手がどう思っているのか不安になるのは子供も一緒。大丈夫、日曜日も大好きだよ!と少年に言ってあげたくなるくらい優しさに包まれたお話でした。
読了日:06月29日 著者:アクセル ハッケ
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■なんでもハップン とんちん旧館物語
図書館にて2歳の息子がえっちらおっちら(大型絵本なのです)大事そうに抱えて持ってきてじぃ〜っと穴が開くんじゃないかってくらい真剣に見ているので借りてきました。で、一緒に見始めたらなんて楽しい!私もすっかりとりこになってしまいました。100年以上も前に建てられた「とんちん旧館」。今は5階建てアパートに改築されています。とんちん住人たちのとある一日を時間ごとに描いているのですが、穏やかな平和な一日かと思いきや、えっ?うそ!ありゃまぁ…。と波乱万丈の一日。1ページ1ページが楽しくて何度でも眺めてしまいます。
読了日:06月29日 著者:
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■犯罪
彼らは何故犯罪を犯さねばならなかったのか。それも常人には理解出来ない異様な犯罪を。弁護士である「私」が出会った実際の事件を元に綴った11の犯罪文学。事件はいかにして起きたか。犯人の生い立ちから淡々にけれども丁寧に綴られていきます。凄惨な場面、暴かれていく人間の本性…憎むべき犯罪のはずなのに彼らの人生の語りを読むにつれ、愛おしささえ感じてしまう。シンプルな文章と訥々とした語りの中に著者の真摯な気持ちが感じ取れて、魅了されます。その引き込まれ感は圧巻。「棘」が特に秀逸でずっと胸に突き刺さったままなのです。
読了日:06月27日 著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
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■木暮荘物語
ああ、何だか私の奥底に沈殿されていた孤独感を浮上させられてしまったみたい。木暮荘の住人やそれに関わる人々の日常を綴りながら各人物のひっそりと仕舞われた気持ちを艷めいた文章で紡がれていきます。肌と肌が触れ合った瞬間、それまでなかった感情が生まれてその感情によって振り回されてしまう。穏やかな晴れの時もあれば、吹き荒ぶ嵐の時もある。そうやって乗り越えていくか、繋がれた糸がぷっつり断たれてしまうか。切ない思いいっぱいで読みました。中でも前田とみねちゃんの話が好き。続編で彼らのその後が是非とも読みたい。
読了日:06月26日 著者:三浦 しをん
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/11930866
■ずーっと いっしょ (世界の絵本)
大好きな市川里美さん作品(絵のみ)。ひゃぁ!なんて可愛らしいのでしょう。くまの親子の姿を見て微笑ましくてきゅんとしちゃいました。でもそれと反して少し切ない思いも。今2歳2ヶ月の息子とぎゅ〜っとする日々。けれどもこの時期ってあっという間に終わってしまうのです。成人間近の息子達とのそんな日々を思い出してちょっぴり寂しくなっちゃいました。今でも一緒にお出かけしたり仲良しですけど抱きしめあう日々はもう来ないものね。だから余計にチビ息子との毎日を愛おしく大事にしようと思うのです。ずーっといっしょ、だよね。
読了日:06月26日 著者:マリアン クシマノ
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■デカルコマニア
21世紀に存在する少年が図書室で見つけた革装の古書「デカルコマニア」。そこには23世紀の少年によって書かれた(と言う)、時空を超えた不思議な一族の物語が綴られていた。「デカルコ」とは?そこに書かれた時空世界とは?複雑に絡み合う時代や人物達に戸惑いながらも長野さんの独特に彩られた世界に魅せられました。なぜ21世紀の時代に200年後に作られた本(しかも古書として)が存在するのか。その謎を解くための時空を超えた旅に読み手も誘われます。ファンタスティックで、どこか幻想的でもあって、不思議な時間旅行を堪能しました。
読了日:06月22日 著者:長野 まゆみ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/11845838
■不思議の国のアリス
アリスが大好きで折りに触れ読むのですが、リスベート・ツヴェルガー絵の作品は初めて。ツヴェルガーの淡く優しい色使いながらシュールな様がとても好みで大好きな一冊になりました。絵本と呼ぶには絵よりも文章が多く、読み聞かせよりは自身で読みながら世界に入り込むのがきっとふさわしいのかも。やっぱり三月ウサギと帽子屋の「くるっくる茶会」が好き。チュシャ猫、トランプの女王も大好き。そしてそしてサカナ召使!可愛すぎます!絵の雰囲気によってお話の楽しみ方も変わってくるから面白い。他にもアリス本たくさん読んでいきたいです。
読了日:06月12日 著者:ルイス キャロル
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■月のかがく
読了日:06月11日 著者:えびな みつる
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■かげ (講談社の翻訳絵本)
なんて芸術的!なんてファンタスティック!とても楽しみました。子供の頃、自分の影が光の加減で伸びたり縮んだりするのを見て、自分とは別の意識を持った生き物のように思ったものです。ぐるんと影が私を飲み込んでしまうんじゃないか、って思い(妄想)がまさにここで描かれていて当時の怖い記憶が思い起こされて特別な思いで浸りました。闇の中で蠢く影、なにか企んでいるようで…。字のない絵だけの物語なので、読み手によっていろんな物語が生まれそう。妄想豊かに読めばさらなる不思議な世界が広がりそうです。『なみ』も是非読んでみたい。
読了日:06月10日 著者:スージー・リー
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■ヒュペルボレオス極北神怪譚 (創元推理文庫)
地球最後の大陸ゾティークの幻妖怪異物語に続く、超古代大陸ヒュペルボレオスとアトランティスの物語。今作もスミスの幻妖世界に心地良く浸りました。綴られる幻想怪奇な世界は詩的で澱みなく、言葉の美しさにうっとりと心酔。地底に潜む古代の邪神、魔物や妖術師が跋扈する世界、ギリシア神話に登場する土地ヒュペルボレオスにまつわる創造世界。異郷の物語も堪能しました。お気に入りは魔術師エイボンに絡む物語。特に「土星への扉」が好き。第三作品集(こちらのタイトルも素敵)が楽しみ♪そして今作も東逸子さんの表紙画が素晴らしく美しい。
読了日:06月07日 著者:クラーク・アシュトン・スミス
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■ゾティーク幻妖怪異譚 (創元推理文庫)
詩人である著者が紡ぎ創り上げた、地球最後の大陸ゾティークの物語。幻想怪奇の中に妖しく艷めく世界。終末世界で大きく存在し、支配するのは魔術や降霊術。暗黒的退廃的世界をここまで色鮮やかに艶美に感じるのはどうしてでしょう。たまらなく魅了されます。ゾティークへと誘う冒頭の詩から心地良く惹き込まれます。「降霊術師の帝国」「エウウォラン王の航海」「ウルアの妖術」「最後の象形文字」「アドムファの庭園」がお気に入り。解説も読み応えあり。東逸子さんの表紙絵が素敵です。
読了日:06月05日 著者:クラーク・アシュトン・スミス
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■シュゼットとニコラ (6)
市川里美さんと矢川澄子さんの「シュゼットとニコラ」シリーズ。6巻目。あめふりつづきの日々を描いたこちらも愛らしいお話。せっかくの日曜日なのに朝から雨降りです。季節の神様のいじわる!いつまでも灰色どんよりのお空。おひさまが恋しい。でもでも雨降りでもおうちで遊べるのよ。あんなこと、こんなこと、いろんな遊びができるのよ。とにかく市川さんの絵が素晴らしいです。そして矢川さんの文章の優しさ。こんなに素敵な絵本がそばにあったらそれだけでもう幸せ。こちらも閉架図書だったのが本当に残念。いつか私の元にも、と思います。
読了日:06月05日 著者:市川 里美
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■シュゼットとニコラ (5)
市川里美さんと矢川澄子さんの「シュゼットとニコラ」シリーズ。今回はゆめのどうぶつえんのお話。ニコラとシュゼットが動物園へ。そこにいるさまざまな動物たちには生まれ育った故郷があってそこはきっとこんなところよ。あんなところよ。と想像を膨らませます。動物たちの愛らしいこと!ニコラとシュゼットの夢の物語の素敵なこと!本の画像がでないのがとても残念なくらい装丁が素敵です。こちらも閉架図書だったのですが、これは是非とも古書店で探してずっと手元に欲しいくらい素晴らしい絵本♪眺めていると、すぅんと心癒されます。
読了日:06月05日 著者:市川 里美
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■シュゼットとニコラ 4
市川里美さんの絵本を少しずつ楽しんでいますが、この「シュゼットとニコラ」シリーズはとーっても素敵!かわいい♪すっかりお気に入りになりました。文を矢川澄子さんが書かれているのも素敵です。シュゼットとニコラの村にサーカスがやってきました。サーカスが夏合宿をするのです。もちろんニコラたちも参加します。さぁ練習、練習。見るのとやるのとでは大違い。どうしたらあんなにすごい芸が出来るようになるのかしら。躍動感あふれるかわいらしい絵とどこまでも優しい目線の文章。図書館の閉架図書になっているなんてもったいないです…。
読了日:06月05日 著者:市川 里美,矢川 澄子
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■ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)
これほどまでに高揚し、胸高鳴らせながら物語に浸ることの幸せを噛み締めて堪能しました。ここに悪夢のように描かれる異質な世界が違和感なくするりと入り込んだのは(見慣れない単語等の説明書きが一切ないに関わらず)、混沌とした中での権力争いも、エネルギー源を失い、伝染病に怯える都市の姿が現在の日本においてリアルに迫ったことと、それ以上に運命に翻弄されながらも生命力に溢れた者らの強かさに魅了されたからだと。結局最後に笑うのは誰なのか。次々と語りと視点が切り替わるごとに増す、高揚感と爽快感がたまらない。最高でした。
読了日:06月02日 著者:パオロ・バチガルピ
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■ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)
タイトルに強烈に惹かれて手にしましたが、SF読みでない私に果たしてここに紡がれた世界観を理解出来るのかしら?と不安だったのですが、そんな不安はどこへやらこの入口に立ち扉を開けた瞬間にあっという間に呑み込まれてしまいました。枯渇した石油の代わりに主たるエネルギー構造・新型ゼンマイ、植物病に侵された穀物の耐病性を持つ遺伝子作物を生み出すカロリー企業…近未来のバンコクの混沌とした世界に生きる人々。主たる人物たちの語りが順に紡がれ交わる時、さらなる不穏な蠢き。物語後半からぐっと迫る疾走感に高揚し、下巻へ。
読了日:06月01日 著者:パオロ・バチガルピ
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■幽霊船(魔法の本棚)
何となく幻想怪奇な作風かなと思っていましたが、最初の「幽霊船」でおや?ちょっと違うぞ?と。なかなか愉快な物語にすっかり惹き込まれあれよと無我夢中で次々と読む読む。いや〜大変満足な読書時間を過ごせました。幻想的で詩的な物語が大変魅力的で惜しむらくは作品を多く残さずに命を絶ってしまったこと。もう少し命の終わりを自ら選択することを待っていたら…これは考えても詮無い事だけれどやはり惜しい。「幽霊船」「ブライトン街道で」「棺桶屋」「奇術師」が殊更に素晴らしくお気に入り。「幽霊船」のような作品をもっと読みたかった。
読了日:05月31日 著者:リチャード ミドルトン
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■からまる
ふわふわと心許ない男女の関係を無脊椎動物のように例えて描く人間模様。7人の見えぬけど絡まる糸を手繰り寄せていく描き方がとても好き。これまでの千早さんの幻想的な妖しく毒のある雰囲気とは異なる作風でしたが、こちらも乾いているようで内に秘めた熱っぽさがとてもリアル。多角的に視覚を変えることで、それぞれの痛みや孤独感が切々と感じられ読んでいて切なくなってしまいました。残りの人生どれほどの出会いがあるか、繋がっては途切れてゆく糸がどれほど残ってゆくのか…そんなことをしみじみ感じました。
読了日:05月20日 著者:千早 茜
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■幻視者のリアル (幻想ミステリの世界観) (キイ・ライブラリー)
幻想ミステリの世界観を千街さんの評論、書評で堪能できる集大成的評論集。これまで執筆されてきた評論の中から主に幻想ミステリをテーマにされていて、その選書に興味を持って読みました。読みました、と書くと隅々とガッツり読んだ感じですが、悲しいことに未読の作品に関しては内容に触れていることも危惧して全て堪能とはいかず、未消化な感じになってしまいました。これは出直しですな。ちゃんと作品たちを読んで改めてこの本の入り口に立ちたいと思います。謎と妖艶に満ちた幻想という世界の魅力とは。ますます魅せられてやみません。
読了日:05月18日 著者:千街 晶之
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■ロマンス
昭和初期の華族社会、その光と影、帝都独特の雰囲気が作品を彩り色香に酔いました。上野のカフェーで起きた殺人事件から始まる物語の結末とは。犯人の真意とは。ロシア人の血を引く子爵・麻倉清彬、幼なじみで親友の多岐川嘉人、その妹万里子。各々が抱える思惑が闇で蠢き、やがてそれが光にさらされたとき、その本当の意味を知るとき、あまりに切々としていて悲しくやるせない。清彬のクールで端正な彼の顔に隠された真の闇の深さにぐっと迫るものがあります。春から錦繍の秋へと巡る季節の中で時代に翻弄された彼らの物語。素晴らしい、傑作です。
読了日:05月13日 著者:柳 広司
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■東欧の小さなクロスステッチ---花、鳥、小動物と連続模様など愛らしい図案たち
なんて素敵なんでしょう!表紙に惹かれて手にとったら内容も全て可愛らしくてうっとり眺めています(ハンガリー刺繍の紹介ページに出てくるおばあちゃんたちの刺繍の会?がとても可愛らしい〜♪)。パッチワークばかりでなくクロスステッチも数年ぶりにまた始めたいなぁ、と気持ち高ぶらせながら。表紙のデザインも素敵ですが、まずは手持ちのものにちょいちょいとステッチ出来る小さなモチーフを参考にしたいな。小鳥のデザインがとても可愛いのです。どの小鳥を選ぼうかしら。そしてどこにステッチしようかしら。そう思うだけでもわくわくします。
読了日:05月11日 著者:
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■ゾラン・ジフコヴィッチの不思議な物語 (Zoran Zivkovic's Impossible Stories)
めくるめく物語の巧妙な仕掛けに酔いました。一見シンプルな文章の中に織り成される不思議な味わい。そこに奇妙で幻想的な要素が加味されて読むほどに味わい深くその深さにどはまりしていくのです。入れ子式に複雑に入り組んだ物語「ティーショップ」、幻想的世界に迷いこむ「火事」(この結末がまた妙で惹き込まれる)、SFのようなミステリーのような奇妙な味わい「換気口」…ジフコヴィッチの独創世界にすっかり絡め取られてしまいました。まだまだ未訳の作品が沢山で是非とも翻訳して欲しい。特に『図書館』という作品に興味あり、です。
読了日:05月10日 著者:ゾラン・ジフコヴィッチ
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■おかしな本棚
ああ、なんと本好きの心をくすぐってくれるんでしょうか。本への愛おしさがより一層増します。そして他人の本棚をのぞくことの快楽さと言ったら!久しぶりのクラフト・エヴィング商會作品じっくり堪能しました。その背表紙をじぃっと見つめ、読んだ本ならば共感し、未知の世界ならばこの本の中に広がる世界を妄想し、ああ、妄想するだけでは足らずこれは是非とも読みたい!と気持ち高めてゆくのです。それにしても古書の佇まいの美しいこと。『クラウド・コレクター』好きとしましては「Clouds Note」に心ときめくのでした。
読了日:05月09日 著者:クラフト・エヴィング商會
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■バラがさいた
なんて繊細で美しい薔薇を描くのでしょう!表紙の薔薇に目を惹かれ心奪われて手に取りました。偶然にも今とても気になっている市川里美さんの作品♪風邪を引いておうちに篭もりっきりのノラ。ある日窓辺に美しい薔薇が咲いていました。薔薇に惹かれて次々とお客さま。みなうきうきともらった薔薇を手にお出かけ。ああでもノラはそれを窓から眺めるだけ。そんなノラに素敵なことが起こります!夢ある素晴らしいお話。春の訪れを告げてくれる花々。その鮮やかさ美しさは私たちの心を体をこんなにも温かにしてくれのだと、今年の春はしみじみ感じます。
読了日:05月06日 著者:市川 里美
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■たからさがし
ある日ノラは古ぼけた赤いはこから宝の地図を見つけました。そこに描かれた宝のお城を目指して森の中へ出発!でも暗い森の中は危険がいっぱい?!ノラと仲良しの動物たちはビクビクどきどき。さあ宝のお城は見つかるのかしら?宝ってキラキラ光る綺麗なものとは限らないのですよね。友達の思いやりとかみんなで一緒に何かすることの喜びとか。これってすごく大切な宝物。森の中の情景や、ノラと動物たちの愛らしい仕草、市川里美さんの絵がとても素敵で癒されました。
読了日:04月13日 著者:市川 里美
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■草花とともだち みつける・たべる・あそぶ
綺麗な表紙に惹かれて娘と一緒に借りました。春になって目覚める小さな生きものたち。絵本なんだけど野花など図鑑のように丁寧にわかりやすく描かれて何度見ても飽きません。この本抱えてお散歩したいくらい。名も知らぬ野に咲く小さな花たちの名前…華麗なその花の名を知るとまた違って野花と付き合えます。小さな子とのお散歩は自然の豊かさ恵みを体感させてもらえてとても貴重な時間。和らぐ春の陽射し、風を感じながら今日もお散歩しましょうか。これシリーズなのですね〜。他の本も是非とも読みたいです。とにかくイラストが素晴らしく綺麗!
読了日:04月13日 著者:
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■ハルムスの世界
ハルムスの作品を読めることに感謝と幸福を感じながら読みました。彼の描く不条理な世界、シュールとブラックの世界、残酷さと狂気の世界、それなのににやりと笑えて愛さえ感じる不思議さ。なんて魅力的なんだろう!次はどんな短編が?と1編1編心踊る読書でした。うん、好きだ。
読了日:04月06日 著者:ダニイル ハルムス
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■県庁おもてなし課
読了日:04月06日 著者:有川 浩
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■びっくりたまご
1歳の息子に読んであげるとポンポン飛び上がって大喜び!リズミカルなお話が彼のツボに入っているようです。それにしてもエリック・バテュの多彩さには改めて感嘆します。それぞれ作風が見事に違うんですもん。エリック・バテュの描く青の色合いがやはり美しく心惹かれてしまう。
読了日:04月06日 著者:エリック バテュ
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■石都奇譚集—ストーンタウン・ストーリーズ
鮮やかなエメラルドグリーンの表紙が美しく心惹かれて読みましたら!現実か幻想かの間を行き来するような幻視の世界にすっかり堪能しました。東アフリカ・ザンジバル島、ストーンタウンと呼ばれる石造りの旧市街を旅した著者の旅行記。単なる旅の記録ではなくこの石の都を舞台にした幻想的物語、まさに「石都奇譚集」。この世界に一歩踏み入ってから瞬く間に魅了されました。もう〜素敵すぎます!きのこ文学研究家でもある飯沢さんは『きのこ文学名作選』を手がけられた方なのですね。他の作品、『きのこ文学大全』『考えるキノコ』も気になります。
読了日:03月04日 著者:飯沢 耕太郎
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■水晶萬年筆 (中公文庫)
澱みなくさららと流れるような調べ。水読みに導かれ、影を描き、道草に迷い、月夜の晩に種を蒔き、買えないものを売り、物欲失う隠居のルパン…6つの物語は吉田さんの独特な世界観に綺羅びやかに彩り魅了する。意味は求めずただ歩むのです。十字路で足を止め行き先を見定めまたゆくのです。この歩みがなんとも心地良い。一編一編のタイトルも素敵。「雨を聴いた家」「水晶萬年筆」「黒砂糖」がお気に入り。
読了日:03月04日 著者:吉田 篤弘
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■ベスとベラ (世界傑作絵本シリーズ)
とても可愛らしく、でもどことなく寂しげな表紙。お友達が欲しいひとりぼっちの女の子ベスと、南へ飛んでいきそびれた小鳥のベラのあたたかなやりとりが微笑ましい。ベラの旅行かばんからいろんなものが出てきて雪の庭はにぎやかに!二人はお茶会を始めます。お友達欲しいなぁ、さみしいなぁ、と寂しげだったベスのなんと嬉しそうなお顔!冬が過ぎてやがて春がやってきて…春のやわらかく温かな陽光と共にやってきたのは。冬色から春色に変化する色づかいが鮮やかで一足先に春を感じさせてもらいました。
読了日:03月03日 著者:アイリーン・ハース
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■おやすみなさい
薄紫色に染まる景色の絵の美しさに惹かれて手に取りました。飛行家リンドバーグの娘、リーヴ・リンドバーグの作品。なんて優しい絵、そして優しいメッセージ。世界は一つの空で繋がり、その空と海とあらゆる生き物は地球に抱かれ、地球は宇宙に抱かれる。何億光年と瞬く輝く星々も広い宇宙に包まれている。思いは宇宙にまで広がり、地球というひとつの寝床で世界中のみんなが安心して眠れて明日という日を迎えられますように、そんな平和への願いが込められています。おやすみなさい…一日の終わりがみんな幸せな気持ちで眠れますよう。
読了日:03月03日 著者:リーヴ リンドバーグ
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■バムとケロのおかいもの
娘が学校で借りてきたので私も一緒に読んでみましたら〜なんて可愛いのでしょうか!バムとケロの世界にすっかりはまってしまいました。みんなで市場に行きお買い物する様子が微笑ましくて、市場の細やかな情景に私たちも一緒におかいもの気分。ケロがどうしても欲しかったフライパン、そっか〜そうだったんだね。そして今度はちゃんと焼けて良かったね。バムとケロシリーズ、新しく出た絵本も含めて全部読みたい!嬉しい出会いに娘に感謝、です。
読了日:02月28日 著者:島田 ゆか
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■コワフの消えた鼻 (cub label)
いばりんぼうの市長の鼻が逃げ出した!市長の鼻はどこへやら〜。鼻、鼻、鼻だらけの楽しい絵本。鼻が演説したり、スケートしたり…鼻型のパン(チョココロネみたい?)とかとか、可笑しくて愛らしいのです、鼻が。困った市長は自分の鼻をさがすのですが、さて市長の鼻は見つかるかしら?牧野さんの独特の色使いに惹き込まれて何度も読みました。ゴーゴリの「鼻」も読んでみなくては!
読了日:02月28日 著者:牧野 良幸
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■日本全国 納豆大博覧会
納豆好きにはたまらない!な本。年に一度開催される「全国納豆鑑評会」で過去10年間に入賞した銘柄を紹介しているのですけど、パッケージを見ているだけでも楽しい、いや、見ているうちに是非とも食べてみたい!な気持ちになりお取り寄せしてしまいそうな勢いです。具入りの納豆なども面白そうですが、塩辛納豆という初めて知る納豆に興味津々!
読了日:02月28日 著者:
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■ねむりひめ―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)
読み聞かせにどうかしらと借りましたら、私のほうがすっかり魅せられて夢中になってしまいました。私の生まれるずっと前(いや、そんな前でもないか)に生まれた絵本。現在の絵本にはなかなか見られない絵の美しさにほぅっとなります。この色合い!その繊細さ、素敵過ぎます!占い女の呪いで100年の眠りについてしまったお城の人々、その時間。月夜の明かりに浮かぶうっそうと茂るいばらに囲まれたお城が幻想的で美しい。表紙が綺麗で飾っておきたくなるほど。こういう絵本こそ大切にそばに置きたいな。いつでも好きなときに浸れるように。
読了日:02月16日 著者:グリム
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■ヨールカの白いお客さん (DAYAN’S COLLECTION BOOKS)
こちらも娘が図書館で選んだ本。白くまとダヤンのダンスが可愛く可笑しい表紙。わちふぃーるどが1年に1度だけ外の世界とつながる日、ヨールカ。わちふぃーるどでいうクリスマスのこと。なかなか寒さがゆるまないけれど、おうちにいるのも飽きちゃったし、ちょっと浜に行こうかな。そこには初めて出会う北の国の動物たちがいっぱい!これはいったいどうしたことでしょう。ヨールカの夕方の場面がとても幻想的です。ダヤンの世界、あまりにも可愛らしく素敵なので、もっともっと読みたい!
読了日:02月16日 著者:池田 あきこ
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■なまずの駄菓子屋―DAYAN’S COLLECTION BOOKS
とっても久しぶりのダヤン!娘が図書館で選んだ絵本です。久しぶりに会うダヤンはやっぱり可愛くて素敵でじんわりしました〜。不思議な駄菓子屋さんの不思議なお菓子のネーミングも気になりましたが(「なくなくせんべい」ってどんな味?)、店主の大なまずの存在も不思議。なぜ新しいお客さんがくると目を輝かせるのでしょうか。不思議なお菓子はなぜ出来たのでしょうか?その謎は…?素敵なお話でした。何だかほろっと泣きそうになっちゃった。しんみりとなりながらも温かな気持ちにさせてもらえました。娘に感謝。フーピー、カッコよかったよ!
読了日:02月16日 著者:池田 あきこ
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■まいにち食べたい“ごはんのような“ケーキとマフィンの本
今年のバレンタインはなかしまさんの本を参考にチョコケーキを焼きました。ケーキ型ではなく、マフィン用型で。男子率高い我が家では均等に分けられるように、ということでひとつひとつ配れるマフィンに。ベーキングパウダーを使わず、メレンゲのふんわり立てを利用したケーキ。シフォンケーキの手法通り、シフォンのような軽い焼き上がり。それでいてしっとり感もあります。バターを使わないのにこのコクは何でしょう!毎回不思議です。この本はこれからもどんどん活躍してくれそう。次は「お豆腐ブラウニー」を作りたい(いや、食べたい)。
読了日:02月15日 著者:なかしま しほ
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■まいにち食べたい“ごはんのような”クッキーとビスケットの本
オーブンレンジを新調したことを機に娘とクッキー作りをしたいな、の私にお友達がオススメしてくださった本。なかしましほさんの本は初めてだったのですが、これまでのお菓子作りの材料を覆す品々に興味津々。何よりも小さな子供の体に優しい無添加の材料に心惹かれました。早速いくつかクッキーを作ってみましたが、どれも病みつきになってしまうほどの美味しさ!すぐにまた作って食べたくなってしまう美味しさなのです。これには感動!娘とクッキー作りの願いは意外に早く叶ってとっても嬉しい母さんなのでした。次は何を作ろうかな〜。
読了日:02月15日 著者:なかしま しほ
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■水曜日のうそ
ひとつのうそがどんな波紋をもたらすのか。ここに在るうそはしんみりと深く感じ入るうそ。コンスタンおじいちゃんが大好きな中学生のイザベル。おじいちゃんは毎週水曜日正午にイザベルの家にやってくる。30分だけ。教養に溢れたおじいちゃんとの時間は愛おしい。ある日イザベル一家の環境の変化により、これまでの生活にうその一滴が落とされることになります。そのうそがもたらすものとは。3世代それぞれの人生がそれぞれの彩りで鮮やかに描かれます。人生とは老いるとは。モーツアルトの調べが優しく語りかけるとてもあたたかで素敵な作品。
読了日:02月14日 著者:C. グルニエ
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■蜜蜂職人
黄金に魅せられた青年オーレリアンの物語。養蜂家で成功したものの夢破れ、新たな夢に向かって南仏からアフリカへと海を渡り、過酷な砂漠の日々を乗り越えた最果てに見た真実とは。蜜蜂職人ということで専門用語など並んでいるのだろうか、と少し身構えて読みましたがそんなことは全くの杞憂で問題なし。散文詩のような文章とシンプルな物語の展開、何よりも主人公の真っ直ぐな生き方に心地良くするすると読めました。蜂蜜の黄金、ラベンダーの薄紫、陽光輝く空の青、自然の織り成す色彩と甘い香り漂う豊潤な読書でした。
読了日:02月10日 著者:マクサンス フェルミーヌ
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■本に埋もれて暮らしたい (桜庭一樹読書日記)
桜庭さんの読書に今回も大いに刺激をうけました。読みたい本、気になる本、がどんどん増えていくのですもの。それにしても桜庭さんの本を選び読む姿勢は学ぶものが多い。選り好みせず読みたいの気持ちに素直にダイブし、確実に糧とする。とにかく本を読みたいのだ、という貪欲さが気持ち良い。ネットの手軽さも良いけれど、本との偶然の出会いの喜びもまた忘れてはならないなぁ、と改めて思わされました。編集者さんたちの豊富な知識には毎回感嘆しますが、今回もその打てば響くさまに感動。本の会話をわいわいやっている様子がとても好き。
読了日:02月09日 著者:桜庭 一樹
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■道徳という名の少年
【再読】一度めに読んだときはその美しい装丁に惹かれつつも、ここに紡がれた物語にするりと入り込めず、だったのです。けれども時を経てみると再びとろりと濃密な、むせ返るほどの色香に触れたくなり読み返してみれば、道徳とは裏返った背徳の毒にすっかりやられてしまいました。少し苦手だった挿画もエロチックさが物語に合っていていい感じ、かも。装丁に彩られた赤の色が、一族のどろりと濃い血の色に見えるようでより格別な思いで本の存在を感じました。甘い毒に彩られた大人の童話のよう。「ジャングリン・パパの愛撫の手」がお気に入り。
読了日:02月09日 著者:桜庭 一樹
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■銀河鉄道の夜
大好きな「銀河鉄道の夜」の調べが、清川さんの独創的な世界でキラキラと美しく綺麗な作品で読めて嬉しい!闇に光る星星のビーズやクリスタル、光を受けて煌めくさまを表現した艶めく刺繍。糸の一本一本までジョバンニとカンパネルラの銀河の旅を語っているかのよう。最も好きな「北十字とプリオシン海岸」の場面がことさら美しい。共に旅したふたり。確かにふたりは旅した。銀河の果てまで一緒だった。どこまでもどこまでも一緒に行こう、と約束したはずだったのに。本当の幸いとは。ジョバンニの問いかけが寂しく哀しく響きます。静かに、永遠に。
読了日:02月08日 著者:宮沢 賢治,清川 あさみ
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■陸軍士官学校の死 下 (創元推理文庫)
心臓をくり抜かれるという怪事件の犯人は?そしてその動機は?ポオの人間味ある人物像が実に魅力的で新鮮で惹き込まれてしまいます。彼の属さない自由な性格と、反して詩人としての繊細な心の揺らめき。それがランダーの手記に差し挟まれる、ポオからランダーへの報告書の中で活き活きと描かれていて下巻はますます読ませます。二人のやりとりが知的で面白いと、ぐいぐい読んでいた気持ちが事件の結末を迎え、動機を知ったときの何とも言えない苦々しさ。慟哭する悲しみがこちらの胸になだれ込む。詩情あふれるミステリ、堪能しました。
読了日:02月04日 著者:ルイス・ベイヤード
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/9569492
■陸軍士官学校の死 上 (創元推理文庫)
ウェストポイントの陸軍士官学校で士官候補生の死体から心臓がくり抜かれるという事件が発生。学校長の依頼で元刑事のランダーは捜査を開始。馴染みのない陸軍士官学校という舞台、規律の生活の中で自由を見いだせない学生たちの鬱屈、そんな暗い背景での奇怪な事件。ランダー自身にも何か暗いものを抱えているよう。そこに登場するは若き士官候補生ポオ。この頃から彼の多才ぶりは溢れんばかりでその才能と繊細さを魅力的に描いています。ランダーとポオのコンビで事件の真相は果たしてどう解明されていくのか。怪事件の結末は?ドキドキと下巻へ。
読了日:02月04日 著者:ルイス・ベイヤード
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■アンナと冬のすみれ
ある冬の日、アンナは継母たちに森にすみれの花を摘んでくるよう言われました。今は12月、雪深い森を探してもすみれなんて咲いているはずがありません。それでもしんと白く凍りつく森の中を行きます。途方に暮れていると木々のすきまからたき火の灯りが見えてきました。そこにいたのは…。12の精たちの様子は「森は生きている」のお話を思い起こさせます。エリザベス・ハーバーの繊細で優しい絵がとても素敵で何度も魅入ってしまいました。ほわん、と癒されます。森の動物たちが各頁にちょこんと登場してしているのも可愛らしいです。
読了日:02月04日 著者:ネッティ ローウェンスタイン
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■雪屋のロッスさん (ダ・ヴィンチブックス)
【再読】タイトルといい、装丁といい、薄墨色のタイトル文字、そのフォント…何から何まで丸ごと好き。ここに登場するさまざまな人々、実在しそうな錯覚を感じてしまうのだけど、そこはいしいさんの紡ぐ物語、ありそうでない世界が広がります。30のお話しがそれぞれに色濃くずっしりと重みを帯びて切々と響いてくる。素敵だけど、そ
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