ひなたでゆるり

読書のコトとちょっぴり日々のコトブログ

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『墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活』ニール・ゲイマン

墓場の少年  ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活
墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活

ニール・ゲイマン/金原瑞人訳/角川書店
THE GRAVEYARD BOOK
この子をノーボディと名づけよう―。ある夜、一家が殺害された。たったひとり、生き残ったよちよち歩きの赤ん坊が迷い込んだのは、真夜中の墓地。この日から、墓地の幽霊たちの愛情溢れる、世にも奇妙な子育てが始まった…。幽霊に育てられた少年の冒険と成長を描き、カーネギー賞とニューベリー賞をダブル受賞した、ゲイマンの最高傑作。

一家が惨殺された夜、一人生き残り墓場に迷い込んだ赤ん坊。
戸惑いながらも墓場の幽霊たちは子育てを始めます。
心優しき両親に後見人達が愛しみ育てる様がとても微笑ましい。
食屍鬼(グール)や夜鬼(ナイトゴーント)、魔女の幽霊、人間の女の子との出会いや触れ合いが少年の成長と経験値を豊かにさせていきます。

一家は何故殺害されたのか?この謎と共に少年の行く先を見守らずにはいられません。
シンプルに淡々と物語が綴られているのでさらりとした感覚ですが、少年を愛し育てた幽霊たちとの日々は心温かくじんわりと沁みてくるのでした。

雰囲気ある装丁が素敵。手にとってみて初めてわかるその美しさにほぅっとなりました。

読了日:2011年1月9日
かりさ | 海外小説 | comments(2) | trackbacks(0) | 

『ジェイクをさがして』チャイナ・ミエヴィル

ジェイクをさがして (ハヤカワ文庫SF)
ジェイクをさがして
チャイナ・ミエヴィル
Looking For Jake
ロンドンは、どこからともなく出現した謎の存在“イマーゴ”に幾度となく蹂躙され、無秩序状態に陥っていた。わずかに残った数千人の市民は、レジスタンスを組織し抵抗運動を続けていたが、容赦ない攻撃を繰り返すイマーゴの前になすすべもなかった……。グロテスクなイメージに彩られたローカス賞受賞の傑作「鏡」、世界の終焉を迎えつつあるロンドンを彷徨う男を描いた表題作ほか、英国SF界の旗手によるラディカル・ストーリイ全14篇を収録。

ちょいとここ最近SF読みたいな〜な気持ちになってまして、海外SFでチャイナ・ミエヴィルを選んでみました。
いや〜思った以上に楽しめました。
SFというより仄かなホラー(シュールさもあり)を彩った幻想小説、と言った方がしっくりきます。いろんな世界観を描いていてそのひとつひとつが異形たちの物語で、これがたまらなく魅力的。
グロテスクな場面と共に、異形たちの息づかいがすぐそばで感じられるような描写に引き込まれます。
物語の不確定さ、歪んだ世界の不安定さがまとわりつく感覚。
不気味さを感じながらも離れがたい感じが好き。

お気に入りは「ジェイクをさがして」「基礎」「ボールルーム」「使い魔」「仲介者」「もうひとつの空」「鏡」。
そして今の時期にぴったりな「あの季節がやってきた」も良い。
う〜ん全部お気に入りと言ってもいいくらい。

とても好きな世界だったので、今度は長編が読みたいわ、と『ペルディード・ストリート・ステーション』を借りてきましたが、その分厚さに慄いております。はて、読めるのだろうか。
ドキドキ。

読了日:2010年12月9日
かりさ | 海外小説 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『不思議を売る男』ジェラルディン・マコーリアン

不思議を売る男
不思議を売る男
ジェラルディン・マコーリアン著/佐竹美保・絵/偕成社
エイルサが図書館で出会った男は、その翌日からエイルサの母親の古道具店ではたらくことになった。まことしやかにそれぞれの古道具の由来を客に語るその謎の男の話に、客同様エイルサ親子もひきこまれていく…。

わぁぁ〜最高に面白かったです!
久しぶりに物語にのめり込んで一気に読んだ充実感に包まれています。

本の国からやってきたという謎の男(これが胡散臭いのなんのって!)の語る物語がとても不思議で面白く惹き込まれてしまうのです。
さまざまな古道具に纏わるお話はどれも幻想的で好みのものばかり。
いろんな国を舞台にした物語が想像力をむくむくと膨らませてくれます。
文具箱、鏡、鉛の兵隊の話が特にお気に入り。
切り絵のような挿絵も雰囲気たっぷりで素敵でした。

表紙の絵、読み終えてからじっくり見るとまた楽しめちゃうのです。

読了日:2010年11月29日

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『ぬすまれた夢』ジョーン・エイキン

ぬすまれた夢 (くもんの海外児童文学シリーズ)
ぬすまれた夢
ジョーン・エイキン著/マーガレット・ウォルティー絵/くもん出版
ぬすまれた夢をとりもどそうと、〈月の島〉へ旅に出る少年。ねこのひげを切ったために、髪の毛にのろいをかけられてしまう王女。ひとりの少女を愛してしまった木。自分の両足に逃げられてしまう少年。妖怪ケルピーに、世界一の画家にしてくれとたのむ少年…。おどろくべき想像力とユーモアが、不思議なきらめきと魔力にみちた世界を生みだす。イギリス児童文学の巨匠ジョーン・エイキンが贈る珠玉のファンタジー集。

表紙イラストが可愛らしく、どんな物語が紡がれているのかしら?とわくわくと読みました。
とても良かった!短篇集なのですが、それぞれちょっぴりの毒をスパイスに独特の世界観を味わえます。
想像力と創造力の力強さを感じられてもっとこの作家さんのお話が読みたい!と心躍る読書になりました。

お話に登場する欲深く意地の悪い登場人物もお話の中で魅力的に描かれて何故か憎めないのです。
ジョーン・エイキンの奇抜で奇妙な味わいがとても好き。
「ぬすまれた夢」「さけぶ髪の毛」「ことばをひとつ」がお気に入り。
挿画が格別美しいとても贅沢な本。

読了日:2010年11月28日
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『トンネルに消えた女の怖い話』クリス・プリーストリー

トンネルに消えた女の怖い話
トンネルに消えた女の怖い話

クリス・プリーストリー著/デイヴィッド・ロバーツ絵/三辺律子 訳/理論社
初めての一人旅。少し眠って目をあけると、列車は止まっていて、ぼくの前の空いていた席に、白いドレスの女が座っていた。肌は青白く、ほっそりしていて、靴から帽子まですべて白だった。他の乗客は全員ぐっすりと眠りこんでいる。その女は「何か退屈しのぎを考えなくてはね。物語はどう?」とぼくに語りはじめたのだった。欲望、猜疑心、嫉妬…人間の心の隙間に忍び寄るおそろしい魔の手。トンネルの先には一体何が?

モンタギューおじさんの怖い話」「船乗りサッカレーの怖い話」に次ぐ3作目。

児童書ながら児童向けなどという甘さは相変わらずなく、救いようのない結末はさらに妄想を掻き立てます。
ズドンと落とされる怖さではなく、じわじわと侵食されていくような怖さがたまらなく良いのです。

今作は特に子供たちの不幸が描かれていてその哀れさと怖さが絶妙に相まってます。
雰囲気溢れる挿絵も素敵。
一番印象的で好きなのは「ジェラルド」。
「シスター・ヴェロニカ」は子供の残虐さが恐ろしい。
「壁の割れ目」のどこか幻想的なラストにゆらゆらといつまでも余韻が漂いました。

今回も大満足。また続きが読めるかしら?楽しみに待つことにしましょう。

読了日:2010年10月9日
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『雪男たちの国』ノーマン・ロック

雪男たちの国
雪男たちの国
ノーマン・ロック/柴田元幸訳/河出書房新社
LAND OF THE SNOW MEN
目が覚めたら、私は南極にいた。―病院の地下で発掘されたスコット探検隊の生存者による手記。妄想と幻覚の作り話か、それとも―。

史実に見せかけた幻想本か。
どこまでが現実か、はたまた幻覚か妄想か…南極でのスコット探検隊の壮絶な姿が手記の形をもって幻想的に綴られる物語。
「ある日目覚めたら、地獄さえも凍る地にいた」と始まるように来る日も来る日も果てしなく広がる白の世界、過酷な極寒での日々、寒気が体を心までを縮こまらせ、やがて精神を蝕まれていく隊員たちの姿は痛々しいほど残酷です。
けれども彼らの光を失いつつある瞳に映す幻覚はどこまでも美しい。
幻想的な牢獄の中で彼らの運命はどうなってしまうのか分かっていながらもそこには悲壮感というよりも簡素に美しく綴られた幻想世界が素晴らしく大変魅了されました。
もう〜めちゃくちゃ好みの世界。

病院の地下室で発見した日誌をノーマン・ロックが編集したという触れ込みの本なのですが、このノーマン・ロックが柴田さんの紹介によるとかなり変わった作家であるようなのです。ちらっと紹介されていた短い文章を読む限りでも大変興味の湧く変わりっぷりです。

それにしても柴田さんが翻訳してくれてこうして読めることが何よりの幸せ。
図書館本なので、これは是非とも手元に置いておきたい本です。

不思議な感覚にとらわれる大変魅了される作品でした。

読了日:2010年7月10日
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『火を熾す』ジャック・ロンドン

火を熾す (柴田元幸翻訳叢書―ジャック・ロンドン)
火を熾す
ジャック・ロンドン 柴田元幸・訳/スイッチ・パブリッシング
荒野にて、生の掟。狼と人。生き残るのはどちらか? 1本1本の質を最優先するとともに、作風の多様性も伝わるよう、ジャック・ロンドンの短篇小説群のなかから9本を選んで掲載。

「火を熾す」 「メキシコ人」「水の子」「生の掟」「影と閃光」「戦争」「一枚のステーキ」
「世界が若かったとき」「生への執着」9編の短編集。

「生」への執着と、「死」への諦めと…生死のせめぎ合いが臨場感たっぷりに描かれていてその凄まじさといったら!凄まじいけれど文章は実に淡々としていて、劇的な展開があるわけでない。のに、何でしょうかこのひりひりとした緊張感は。
1編1編ついばむように時間をかけて読むつもりが、ついばむどころか貪るように夢中になって読んでいました。

表題作「火を熾す」の厳寒の地での情景、生きるか死ぬか紙一重のギリギリの緊張感、火を熾すために(成功するか否かで生死を分ける、その緊張感は凄まじい)男が力の限り命の限りを費やす状況、気が付いたら物語に入り込んで我を忘れていたほどでした。
他、ボクサーの悲哀を描いた「メキシコ人」、「一枚のステーキ」(特に「一枚のステーキ」のラストは心震える)、ちょっとユーモアな独特な世界な「影と閃光」や「世界が若かったとき」、生きることへの感情がほとばしる「生への執着」、静かに語られる「生の掟」、「水の子」、「戦争」などとにかく素晴らしい作品の数々。
柴田さんの訳も素晴らしいのですよねぇ。

この短編集、アンソロジーなのかと思うほど一つ一つの作品のカラーが彩りとりどりで、味の違うドロップをひとつひとつつまんで味わうような感じ。堪能しました。
夢中で一気に読んで、まだ去りがたく今度は丁寧にゆっくり味わいたくなる。
そうして何度も何度もぐるぐると読み返しているところです。

そして昨年気になるシリーズとして書いた「バベルの図書館」シリーズにジャック・ロンドンの『死の同心円』が入ってまして。
先日図書館から借りてきたので読むのが楽しみです。ふふ。

読了日:2010年2月16日
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『船乗りサッカレーの怖い話』クリス・プリーストリー

船乗りサッカレーの怖い話
船乗りサッカレーの怖い話

クリス・プリーストリー著/デイヴィッド・ロバーツ絵/三辺律子 訳/理論社
「あわれな船乗りを助けてくれないか」 嵐の夜、その男はやってきた。全身ずぶぬれで、まるでたったいま海からあがってきたみたいだ。 「恩に着るよ……嵐がおさまるのを待つあいだ、物語を二つ三つ聞かせるというのはどうだ? ただおれの話は子どもには残酷すぎるかもしれないが……」 『モンタギューおじさんの怖い話』待望の姉妹編登場!ますますコワくて、ますますオモシロイ!

モンタギューおじさんの怖い話』に続く、クリス・プリーストリーの怖い話シリーズ。

「モンタギューおじさん」が気に入ってまして、今回の「船乗りサッカレー」もそれは楽しみに読みました。
こちらも怖くて残酷なお話がたくさん詰まっています。
お話もさることながら、装丁も挿画も雰囲気たっぷりで素敵すぎる。
普段身近にない海の上の世界、知らない世界だからこそ好奇心をかきたてられ、主人公のキャシーのように次々とお話を欲してしまう。
嵐の夜の訪問者・サッカレーの怖い話、終わりに近づくにつれ怖さの闇はさらに色濃くなり…。
怖くて残酷な物語は哀しみにも彩られていました。
月明かりに浮かぶ黒い船が幻想的。

「ピロスカ」「ボートに乗った少年」「カタツムリ」「サル」「黒い船」が好き。

読了日:2010年2月16日
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『古書の来歴』ジェラルディン・ブルックス

古書の来歴
古書の来歴
ジェラルディン・ブルックス 森嶋マリ・訳/ランダムハウス講談社
People of the Book
実在する稀覯本と、その本を手にした人々の数奇な運命。
異端審問、焚書、迫害、紛争――運命に翻弄されながらも激動の歴史を生き抜いた
1冊の美しい稀覯本と、それにまつわる人々を描いた歴史ミステリ。

500年もの歴史を経て現存する「サラエボ・ハガダー」の運命を辿る歴史ミステリ。
古書鑑定家ハンナの保存修復により発見された蝶の羽の破片を始め、いくつかの謎から封印を紐解かれる古書の道筋。
章立てされた数々の謎を追って遡る、むせ返るほどの血なまぐさい歴史の旅に息をのみながら引き込まれました。

ユダヤ人迫害、ユダヤ書物の焚書、紛争の戦火という運命を如何にして乗り越えてきたか。
ユダヤ教が絵画的表現を禁じていた時代に作られた、美しい細密画で彩られたハガダー。
何故細密画が描かれたのか?の謎のくだりはそれはもう感動的でした。

古書との数奇な運命を共にした人々に思いを馳せた時、彼らのわずかであっただろうけれども穏やかな幸福を願わずにはいられないのです。壮大な物語に心震えました。

とても興味深かったのは古書保存修復という仕事。保存修復というひとつひとつの作業シーンにわくわくしながら読みました。
本作品は映画化されるようですが、修復シーンを映像で見られるのが楽しみ。
古書修復の本とか読んでみたいなぁ。探してみようかしら。

読了日:2010年2月14日
かりさ | 海外小説 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『月ノ石』トンマーゾ・ランドルフィ

月ノ石 (Modern & Classicシリーズ)
月ノ石
トンマーゾ・ランドルフィ 中山エツコ・訳/河出書房新社
月と山羊と死者たちが、あなたの恋の邪魔をする。怪異と神秘が田園を包む妖しく美しい異色の名作。イタリア文学の奇才ランドルフィの代表作。

これは夢か現か幻か。
山羊の足を持った美しい女性グルーに魅せられた学生ジョヴァンカルロ。
月夜の晩グルーに誘われた自然界は神秘的で幻想的。
夢幻という言葉がまさに、な世界観です。
主人公と共に読み手も夢幻世界に入り込み帰り道を忘れてしまうほど。
ただ、するすると容易く入り込めるほど簡単な世界ではなく、ランドルフィの想像の世界はなかなか難解であります。

いつしか迷い込んだ、それが次第に居心地良くなった、という読後感。
読み終えてみればなんとも魅惑的な作品でありました。

読了日:2009年3月19日
かりさ | 海外小説 | comments(0) | trackbacks(0) |